神奈川県「ステージ3」見送り 医療現場は引き上げ要望、知事「国とそろえた」

神奈川県は27日、県庁で新型コロナウイルス対策本部会議を開き、4段階の感染状況を上から2番目の「ステージ3(感染急増)」に引き上げるかについて議論した。医療現場からは重症者が増えていることから引き上げを求める声が上がったが、黒岩祐治知事は政府の判断などを理由に引き上げを見送った。感染者が増え続けるなか、飲食店への休業や時短営業要請といった具体的な対策がない状況に、医療従事者の懸念が広がっている。【木下翔太郎】
<見えぬ感染源 専門家「考えられるのは…」>
県内の感染者数は11月に急増しており、26日に1日あたりで過去最多となる254人に上った。これに伴い、ステージの引き上げを判断する指標の一つとしている病床利用率も上昇。26日時点で全体の病床利用率は22・9%、重症者向けは過去最悪の32・0%となっており、いずれもステージ3の引き上げの基準となる20%を超えている。
医療体制が逼迫(ひっぱく)しつつある状況を踏まえ、医師でもある阿南英明・県医療危機対策統括官は対策本部会議で「ステージ3を宣言してもいいのではないか。これは現場の声だ」と語気を強めて主張した。
これに対して、黒岩氏は27日朝に面会した西村康稔経済再生担当相から「国としては神奈川県はステージ3に至っていない。他の感染急増地帯を抜いて宣言するのは容認しがたい」と言われたことを明かした。ステージの引き上げを見送る代わりに、需要喚起策「GoToイベント」と、県内旅行を割り引く「かながわ県民割」を一時的に販売停止するなどの「ステージ3警戒宣言」を新たに出すとした。
一方、阿南氏は重ねて「複雑な判断が必要だというのは理解しているが、患者がどんどん発生しており、医療現場は相当につらい中で戦い続けている。どうかそこのところはくんでいただきたい」と発言し、食い下がった。しかし、黒岩氏も「(引き上げは)国と不整合になる」などとして譲らなかった。
会議終了後、黒岩氏は報道陣に対し、引き上げ見送りについて「国との区分けをそろえた。総合的な判断だ」と理解を求めた。ステージ3警戒宣言が「場当たり的ではないか」との質問には「その時その時のことで的確に対応してきていると思っている」と述べた。
阿南氏は「なかなかつらいというのが正直な感想。目いっぱい現場のつらさ、状況はお伝えしたが、医療従事者は私も含めてもっと強い対策を恐らく求めていた。できる限りの結論なんだと理解している」と厳しい表情で語った。

県は27日夜、県庁で感染症対策協議会を開催。入院患者の急増に伴い、県内の医療機関の入院病床が逼迫していることなどを踏まえ、感染が判明した高齢者は無症状でも入院とする現行の入院基準の見直しを決めた。