ウズラ農家が全国でたった27軒に…コロナ禍の現状を浜名湖ファームに聞いた

新型コロナウイルスは、弁当や料理に使われることが多く、子供にも人気のウズラの卵に影響を与えていた。
「うずら農家は全国で30軒しかなく」と今まで人に説明するときに言っていたのですが、現在27軒にまで減ってしまったそうです。2020年、実にいろいろなことがあって、私たちも大変でしたが、いろいろなチャンスにも恵まれ、なんとか今年も無事に年末を迎えることができそう…。よかった…!
この投稿をしたのは、静岡県湖西市にある完全無投薬オーガニックウズラ農家「浜名湖ファーム」のファンアカウントうずらの人(@uzura_hamanako)さん。ウズラ農家は全国にたくさんあると思っている人が多いと思うが、実は全国に30軒しかなく、さらに現在は27軒に減ってしまったというのだ。投稿には「ちょっと今日ウズラのたまご買ってくる!」「そんなに少ないのですね。もっと食べる機会ふやそ」「八宝菜にうずらの卵が入っていない未来なんて想像もしたくない。」と驚いたコメントが来ており、1万3000いいねが付いている。(11月26日時点)さらに、『「え全国のウズラたったの27軒でまかなってんの!?」と思われる方へ』と追加情報が投稿されており、実際に生卵を卸しているのはその中の9軒くらいなのだそうだ。
「え全国のウズラたったの27軒でまかなってんの!?」と思われる方へ実際、生卵を卸しているのはその中の9軒くらいなのでビックリですよね…!容器と流通コストが結構大変で…。うちは9割水煮になるため工場に運ばれ、たまに近隣で雑な包装で売ってます。「食べづらい」と好評です!
衝撃的な数字だが、うずらの人さんは浜名湖ファームの近藤哲治社長からこの話を聞き、投稿したという。近藤社長にウズラ農家の現状について詳しい話を聞いた。
ーーウズラ農家について教えて?ウズラ農家のほとんどは、自社で生まれた卵のほぼ全てを加工卵用に出荷しています。だいたいは水煮になります。浜名湖ファームの場合は道の駅などで生卵を販売したり、オンラインショップを持っているので、加工卵の出荷は9割くらいです。その加工卵は、多くの場合水煮としてパック詰めされ、全国の問屋・スーパー・飲食店などに卸されていきます。ーー新型コロナの影響はあった?4月の緊急事態宣言から外食産業の雲行きが怪しくなってしまい、ウズラの水煮工場が多くの在庫を抱えてしまいました。しかし、ウズラはそんなのお構いなしにどんどん卵を産むので、水煮工場には多くの卵が持ち込まれます。当然、水煮工場はいつものように買い取ることができなくなるので、工場は各ウズラ農家にウズラの卵の出荷の量を減らすようにお願いします。その結果、浜名湖ファームでは5月に緊急事態宣言後初めて3割の生産調整をしなければいけなくなってしまいました。9万羽飼っていたウズラのうちの3割を処分しなければならなくなったのです。
ーー新型コロナに対応して販売方法は変えた?出荷してもお金にならない。売上が下がって利益も下がったから、売り方を変えました。具体的にはファーマーズマーケットなどの産直を通じて生卵を売ることで販路の拡大をしました。ーー変えてみてどうだった?初めてやることばかりでしたので結構バタバタしました。ネットワークがまだできてなかったため、新しいネットワークを、作って前に進む。人手不足とやりきる時間がなく苦労しました。ーー他に大変だったことはある?4月にウズラの雛を仕入れていた農場が廃業し、自分たちで雛を孵化・雄と雌の鑑別をしなければいけなくなりました。また、5月から自社で孵化用の有精卵をつくらないといけなくなりました。有精卵を違う農場の孵卵器(卵の孵化に必要な装置)にセットし、鑑別して、それを農場にもってきて飼育を始めることができます。孵化用の有精卵つくりなど初めてなことばかりでした。
ーーウズラ農家が3軒減ったと知りどう思った?驚きましたが、仕方がないなと思う部分も多かったです。もともと、ウズラ農家は減少傾向で、以前豊橋(全国のウズラ農家の6割が集中)では100戸ありましたが、現在では全国で27戸ですからね。ーーなぜウズラ農家が減っているの?減っている原因としては、仕事そのものにやりがいが少ないこと。基本的に加工卵になって、自分たちの名前が消えるし、収入も上がらない。売れ行きも景気に左右されます。また、新規参入が基本的にゼロなのも減っている原因です。ウズラ農家の開業のために、雛の育成場、ウズラが卵を産むまでの管理する場所、卵を産んでくれるウズラを育てる場所、糞の処理場、在庫を置いておくための倉庫などかなり広い敷地が必要になります。うまく分業しておかないと休みも取りづらいです。そして、魚粉を餌とするウズラの糞が腐敗してひどい臭いを発するため、周囲の理解が得づらいのも大きいですね。ちなみに、浜名湖ファームは私の妻の実家がウズラ農家だったので、それを引き継ぐ形でスタートしました。
ーー減少している現状をどう思う?もともと課題の多い業界でしたが、今回は改めてもっと消費者のことを考えて生産し、販売していく必要があるなと思いました。浜名湖ファームでは完全無投薬でウズラを育てているので、比較的食べてくれる人のことや私たちの周りの環境のことを配慮してきた方ではありますが、まだまだできることがあると思いました。工場に卸すだけでなんとかなっていた時代ではなくなったので、よりウズラの卵を食べて喜んでもらえるように気を引き締めていきたいです。ーーウズラの卵の魅力を教えて一般的に言われているのは、鶏の卵よりもB12や葉酸、鉄分などの栄養価が高いため、比較的濃厚な味わいになっています。また、黄身や白身が小さいので、ざるそばや納豆など少しだけ卵がほしいときに便利なのも特徴です。ちなみに浜名湖ファームのウズラは、ミネラルや酵素や乳酸菌などを含んだ独自の発酵飼料を与えていることから、濃厚なのに臭みが少なくさっぱりとした味わいで、栄養価もより高くなっています。
ーーおすすめの調理方法・食べ方を教えて実はウズラの卵を生で食べたことがない方が多いので、まずはしらす丼や卵かけご飯で味わっていただければと思っています。しらすの塩みと濃厚なウズラの卵の相性は最高で、お醤油をかけなくても十分に味わい深いです。また、目玉焼きや糠漬けなどもおすすめです。その他、鶏卵1つ=うずら5~7個分くらいの換算で、ホットケーキやお好み焼きなどを作っても大変美味しくなります。すき焼きに使ったり、焼肉で焼いたカルビに生卵を潜らせるのもおすすめです。
ーー今回話題になったけど、どう思う?浜名湖ファームの名前が広まってくれたのが嬉しいです。そして、ウズラを大好きな人が数多く確認できたのがとても嬉しかったです。もともと浜名湖ファームは、食べてくれる人が喜び、自分たちの発酵ウズラ肥料を使った農家の人が喜び、自分たちの発酵液技術で浜名湖沿岸の牡蠣殻の悪臭問題を解決するなど地球や周りの人も含めた全ての人を喜ばせることをビジョンとしていたところがあります。そのため、まだまだやれることが多いなと感じ、いろいろなことにチャレンジしていきたいと思いましたーー反響はあった?多くのウズラファンを確認できた他、猛禽類愛好家の方からの熱い応援メッセージをたくさんいただけました。今回、減産で処分してしまったウズラたちはフクロウの餌として買い取られました。自分たちで育てたウズラたちの命のリレーをつないでくれる人たちがいたのも嬉しかったです。12月には青山ファーマーズマーケットに出店する予定なので、そこに行きたいと言ってくれる人たちも多くでてきてくれたのも嬉しいです。ーー今後、ウズラ農家はどうなって欲しい?できる限り、みんなで生き残っていきたい次第です。
ウズラ農家の現状に驚いた人も多いと思うが、コロナ禍で大変な中、我々の食卓を支えてくれている全国27軒の農家を応援したい。