涙ぐんだ10分後に笑い出し……河井案里“法廷の一人芝居”

「主人と暮らす議員宿舎に秘書から電話がありました。彼女が(取り調べで)長時間拘束されてかわいそうだと思ったので、『悪かったわね、大丈夫?』と聞くと、彼女は『大丈夫、大丈夫。それより担当検事がすごくイケメンなの』と。以来、彼女から連絡はありません。その後、彼女は70回以上調べを受け……検事の手下になりました」
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声の主は、公選法違反(買収)の罪に問われている河井案里参院議員(47)。東京地裁の大法廷で3日に分けて行われた被告人質問の最終日(11月20日)、案里氏はまるで昼ドラの主演女優の如く、2分以上も長いセリフを諳(そら)んじた。
自民党離党後も二階派の特別会員 共同通信社
その中で、右腕だった女性秘書の法廷証言を「彼女は検事と不適切な関係にある」ゆえの「虚偽だ」と主張。一人芝居の間、検事たちは呆気にとられていた。
6月に逮捕された案里氏は勾留中、手錠と腰縄につながれて出廷していた。就活生が着るような地味なパンツスーツに薄汚れたピンク色のサンダルを履き、被告席では伸び切った髪を重たそうにして背中を丸めていた。
だが、10月下旬に保釈されると容姿が一変する。ショートに整えた黒髪から耳を出し、目元も念入りにメイク。足元は黒いピンヒールに履き替え、常に背筋を伸ばし、胸を張る。一度として同じ服の組み合わせはない。
「参院選に出なかったら、広島県議を辞めて、ミラノにファッションの勉強に行こうと思っていたの」
逮捕直前、私のインタビューにこう答えた案里氏は、見せ場である被告人質問の初日、13日は細身のスカートで登場。首から胸元にかけて色白な素肌を見せつける「デコルテ見せ」の状態で濃紺のロングジャケットを羽織り、弁護人を相手に時折笑い声を上げつつ、饒舌に無罪を訴えた。
妖艶な勝負服に裁判担当記者は「普通、被告人は謙虚さを印象付けようと努めるのに」と苦笑する。
被告人質問2日目は一転、黒いジャケット姿の胸元を白い服で埋めたシックな装い。克行氏から資金提供について、「あんたは知らない方がいい」と言われ、「私の選挙は私に知る義務があるし、責任もある」と言い返した場面に言及した際は、涙に声を詰まらせた。だが、10分後にはあっけらかんと笑い出すなど、法廷を舞台に喜怒哀楽を情感たっぷりに表現する。

一方で、検察の反対尋問で事実関係を詰められると「記憶にない」を連発し、計7時間のやりとりの中で100回以上も答えを避けた。追い込まれているはずの“主演女優”だが、その眼には勝ち気さが漲っていた。
一審判決は年明けに下る。
(常井 健一/週刊文春 2020年12月3日号)