「この世の終わり」再びか…時短要請始まった大阪・キタとミナミで嘆きの声

大阪府による飲食店への営業時間短縮や休業の要請が始まった27日、対象となった大阪市北区と中央区の繁華街では早々と閉める店が多かった。給料日後の金曜日なのに「なにわの冬の味覚」を楽しむ客が消えた店もあり、「こんなことは初めて」と衝撃が広がる。
<大阪市北区、中央区で時短要請 対象2万5000店>
キタの繁華街では「23時閉店」と表示したままの店もあったが、「(午後)8時半ラストオーダー、9時閉店」との看板が目立った。阪急大阪梅田駅に近い焼き肉店「梅田明月館 堂山店」は客が3組だけで、午後8時半ごろには店じまい。「命を守るためには仕方ないが、回復のチャンスを逃して残念だ」。運営会社の専務で店長の高山大基さん(39)は肩を落とす。
春の緊急事態宣言期間は売り上げがほぼなく、「この世の終わり」と絶望。政府の需要喚起策「GoToイート」に加え、煙を吸い込む装置が「安全」と感じられて客足は少しずつ戻り、10月の売り上げは例年の7割近くに回復していた。
忘年会シーズンの週末は100万円以上を売り上げる日もあるが、時短に応じても協力金は50万円。それでも「ないよりはありがたい。早く現金が欲しい」。
◇タクシーチケットに「乗車地を書かないで」 「時短営業が報じられてから夜の人出はガクンと減っていた」とタクシー運転手の男性が話す。26日は時短前の最後の夜のためか少し増えたというが、「北新地からのお客さんに『チケットに乗車地を書かないでくれ』と言われた。会社に怒られるからって」。例年は忘年会を5、6回重ねる人も多い。すでにシーズン入りしているが、「客として乗せたスナックのママから予約が1件もないと聞いた。本当に厳しい」とこぼす。
大阪市中央区の南海難波駅近くの飲食店街。本来は酔客でにぎわう通りの人影はまばらだった。帰宅途中だった大阪府八尾市の会社員、山本直樹さん(42)は「終電まで飲むこともあるが、(要請期間の12月11日まで)15日間は真っすぐ帰ろうと思う」と話した。
道頓堀近くの千日前にあるフグ料理屋「あら磯」は営業短縮要請を受け、閉店を通常より1時間早い午後9時に繰り上げた。旬の冬場は約80席が埋まる日も多いが、この日の客はまさかのゼロ。店長の藤村貴志さん(56)は「この店で35年間働いてきたが、旬の時期に客がゼロになるのは初めて。大阪のフグ屋は忘年会シーズンで経営が成り立つ。50万円の協力金じゃ全然足りない」とうなだれていた。【隈元悠太、園部仁史】