マイナンバー、口座ひも付け義務化見送りへ 時期尚早と判断

社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度について、政府は27日、預貯金口座情報とのひも付け(連結)義務化を見送る方針を固めた。義務化への抵抗感が根強い中、時期尚早だと判断した。国民の資産状況を正確に把握し、社会保障の給付と負担を適正化する制度本来の目的は、さらに遠のくことになる。
<失敗を認めない?GoTo縮小に触れぬ首相>
政府は同日に首相官邸で開いたマイナンバー制度を検討する作業部会に新たな制度案を示した。それによると、ひも付けの義務化を見送る一方、国民が任意で緊急時の給付金などの公的な給付を受けるための1口座をマイナンバーとひも付けて登録。申請手続きの簡素化や素早い給付を可能にする仕組み作りを進める。
これとは別に、相続時や災害時に通帳が行方不明になった場合に備え、複数の預貯金口座をマイナンバーとひも付けて本人や家族が口座情報を確認しやすくする仕組みを設ける。新規の口座開設などの際、金融機関には預金者にマイナンバー提供を求めることを義務付けるが、預金者には告知義務は課さない。
制度案を実現するための関連法案は2021年の通常国会に提出する。緊急時の公的な給付を受け取る1口座の登録は22年度以降、複数口座へのひも付けは24年度の開始を想定している。
マイナンバー制度は、国民の利便性向上と行政の効率化のほか、全ての口座情報とひも付けることで不正受給や脱税を防ぐ「公平・公正な社会の実現」を目的としていた。現行法では口座情報のひも付けは本人の同意が必要で、金融機関が任意で行っている。
新型コロナウイルス対策として実施した一律10万円の給付を巡っては、口座情報の確認作業に遅れが生じ、マイナンバー制度の不備が指摘された。高市早苗前総務相は6月、1人につき1口座についてマイナンバーとのひも付けを義務化することを検討する考えを表明。全口座とのひも付けについては結論を先送りしていた。【後藤豪】