相次ぐコロナ検査拒否 症状自覚も差別・失職恐れ…「見えない感染源」か

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染の有無を判定するPCR検査などを拒否する事例が相次いでいることが27日、医療関係者への取材で分かった。
適切な隔離がされず、経路不明の感染を広げている恐れがある。感染者に対する不適切な対応が検査拒否を助長している可能性もあり、医療関係者は早急な対策を求めている。(荒船清太)
「私はコロナではありません」
大阪市にある太融寺町谷口医院では6月、発熱や倦怠(けんたい)感を訴えた20代女性が頑として検査を拒否した。女性は頭痛もせきの症状もあったが、「仕事を辞めて地元に戻ります。引っ越し会社の手配も済んでいます」と告げた。翌朝の電話でも、せき込みながら「もう大丈夫です。治りました」と強調し、そのまま連絡を絶ったという。仮に感染していれば、移転先などで感染を広げた可能性がある。
同院の谷口恭院長によると、このほかにも「今の会社に入ったばかりなので」という30代の女性会社員や「就職が決まっている」と訴える20代の女子大学生などが、いずれもPCR検査を拒否。差別や内定取り消しを懸念したと推測されるという。
今月、検査を拒否した患者は2~3人。夏よりは減ったが、谷口院長は「初めから検査を拒否する人が来なくなったのではないか」とし、「拒否するのは感染を隠したいから。その場合、感染拡大につながる恐れがある」と危惧する。
「検査拒否が続くのには会社側の姿勢もある」とみるのは都内の会社の人事担当者だ。「感染者ゼロを目指すあまり、体調不良でも検査を受けさせない暗黙のプレッシャーを与える場合がある」といい、「積極的に検査させて感染者を早期に把握し、感染を広げないことを目指すべきなのだが…」と嘆く。
厚生労働省のデータによると、全国の感染者数に占める感染経路不明の割合(1週間平均)は7月初旬にはいったん、40%を割り込んだが、8月以降は44~54%で高止まりしている。
政府の分科会も政府への提言(今月20日)の中で、「感染の可能性を自覚しながらも、何らかの理由で検査を受けない事例が増えはじめている。結果として、家族などへの2次感染に至る事例が見られる」と言及した。検査を避けることで、感染の実態が見えなくなる可能性がある。
東京都が11月に公表したアンケートでは、「周囲に感染者が出ても検査を受けたくない」とする設問に「あてはまる」「ややあてはまる」と答えた人が11・8%に上り、「コロナかなと思っても受診しない」とする設問には11・9%が「あてはまる」「ややあてはまる」と答えている。
谷口院長は「検査を申し出た人を称賛するような『空気』をつくることが大切だ」としている。