「昼も夜も壊滅的…しばらく我慢だ」札幌の奥座敷、キャンセル続々

新型コロナウイルス感染拡大で、国の観光支援策「Go To トラベル」事業の補助対象から札幌市への旅行が一時除外されて初の週末となった28日。
「札幌の奥座敷」・定山渓温泉(同市南区)では、旅館やホテルの相次ぐ宿泊キャンセルで閑散とし、関係者からは「しばらくは我慢するしかない」との声が聞かれた。
28日午後、粉雪の舞う温泉街に人影はほとんどなかった。「休日なのでさすがにもう少し人がいるかと思っていた」。札幌の繁華街を避け、郊外の温泉であれば安心だろうと訪れていた愛知県豊田市の会社員男性(26)は驚きとともにさみしさものぞかせた。
温泉街のラーメン店「定山渓らーめん忍者」は、昼時でも店内はがらんとしていて、マネジャーの女性(48)は「昼も夜も壊滅的です」と嘆いた。10月には、「トラベル」事業を利用して温泉街を訪れる若い人たちも目立ち、例年の6割ほどまで客足が戻っていた。だが、今月は3割ほどにとどまる。
温泉旅館では、予約済みの旅行も事業の対象外となる12月2~15日に合わせて、臨時休館を決める施設が相次いでいる。「ホテル鹿の湯」、「花もみじ」が同1~15日、「ぬくもりの宿 ふる川」が同2~15日に臨時休館すると発表した。
「定山渓万世閣ホテルミリオーネ」も12月2日から2週間、臨時休館する。運営会社によると、2週間で約3000人分の宿泊予約が入っており、9割以上は「トラベル」事業の利用者だった。24日に事業からの「札幌除外」が発表されると、25日から2日間で約1000人分のキャンセルが出た。多くの客が予約を取り消すと見込み、2週間は日帰り入浴を含めたすべての営業を休止する。
運営会社の担当者は、事業で例年の7割ほどまで客足が戻ってきていたといい、「(札幌除外は)想定していた通り、非常に大きな影響があった。キャンセル料の補償などしっかり対応してほしい」と肩を落とした。
28日には近くの札幌国際スキー場がオープンし、本来なら、スキー客も利用する本格的な温泉シーズンが始まる。各業者は、「年末年始にはにぎわいが戻ってほしい」と願っていた。

「札幌除外」の影響は、近郊にも及んでいる。
透明度の高さで人気の支笏湖(千歳市)に面した「丸駒温泉旅館」では、24日に除外が決まって以降、100人分ほど入っていた28、29日の宿泊予約のうち、本州からの客を中心に3割ほどがキャンセルになった。キャンセルは12月中旬の予約まで続いているという。
支笏湖は新千歳空港にも近く、北海道外の観光客が札幌に滞在する前後に訪れるケースも多い。同旅館の佐々木義朗社長は「札幌除外となれば、北海道旅行そのものを避けようと思う人は多いはず。除外期間の3週間で感染が収まることを期待するしかない」と祈るように話した。
道内を巡る旅行プランを多く販売する「北海道ツアーズ」(札幌市)には、予約客から問い合わせの電話が相次いでいる。札幌以外の道内ツアーを提案するなどしているものの、直近では1日に10~20件ほどのキャンセルが出ているという。
今の時期は、札幌市と登別や洞爺湖などの札幌市外の温泉街を組み合わせたツアーが人気だ。客からは予約を取り消すか戸惑う声も多いという。
吉松邦貴取締役は札幌除外について、「旅行はお客が安心、安全でないといけないので、現在の感染状況では仕方ない」と理解を示した。一方で、「これからスキーリゾートへの人気が高くなる季節。停止解除後に予約が戻るか心配だ」と不安を口にした。
(中尾敏宏)