一転して緊急事態の福岡 「時短効果見極め」で感染急拡大

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「まん延防止等重点措置」の適用を要請していた福岡県だが、政府が主導する形で、緊急事態宣言の拡大地域に入ることになった。県は1月の宣言の際にも政府から頭ごなしに発令を決められた経緯がある。「ご意見や批判もあると思う。しっかりと受け止めたい」。服部誠太郎知事は7日の記者会見で、第4波への対応を振り返った。
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県は独自の対策として4月22日に福岡市内の飲食店へ営業時間短縮要請を始め、久留米市内に対象地域を拡大。5月1日に2市へのまん延防止措置の適用を要請し、6日に要請を全県に広げた直後の宣言方針だった。県幹部は「(これまでの対応は)措置の適用を想定したものだった。宣言の発令方針には正直、驚いた」と率直に語る。
県が、全県対象の宣言ではなく、地域ごとに対応が可能なまん延防止措置にこだわったのは、経済への影響を抑えるためだ。発令方針が伝わる前に、ある県幹部は「感染状況にはかなり地域差がある。北九州市などの他の市町村が福岡、久留米と同列というわけにはいかない」と話していた。
しかし「時短要請の効果を見極める」と繰り返すうちに感染は広がり、7日の感染者は過去最多を更新。急拡大には感染力が強いとされる変異株の影響もあったとみられ、服部知事は記者会見で「従来型によるまん延の見込みとは差が出ている」と認めた。宣言の理由には「九州・山口地域への広域的影響の大きさ」もあり、同地域では7日、914人の感染が確認された。服部知事は「国はより広い九州や西日本という観点で考えたということだ」と述べた。
住民からは、さまざまな声が聞かれた。福岡市の無職、原田孝さん(80)は「政府は短期集中でやるとか、県も(福岡、久留米両市のみを対象とした午後9時までの)時短要請で様子を見ると言っていたが、見通しが甘かったというか、なし崩し的に宣言に至った感じ。どれだけ効果があるかは疑問」と話した。福岡県糸島市の飲食業の女性店員(23)は「過去の宣言でシフトが減り給料は3割減った。私たちがこれだけ苦しいことが伝わっていないのではないか」と嘆いた。福岡市のアルバイト男性(19)は「大型連休は普通に友達と遊んだ。緩みと言われれば緩みだけど、もう外出が絶対にだめだという雰囲気はなくなっている」と話した。【光田宗義、今野悠貴】