【岩瀬 達哉】伝説の事件記者がはじめて語る「グリコ森永事件」6人の犯人像〈後〉 元毎日社会部・吉山利嗣氏岩瀬達哉氏

1984年3月、グリコの江崎勝久社長が自宅で入浴中に拉致されたところから発生、そのまま未解決に終わった「グリコ森永事件」。吉山利嗣氏は大阪府警を十数年にわたって担当し、「最後の事件記者」と言われる毎日新聞社会部のエースだった。NHKドラマ「未解決事件file.01 グリコ・森永事件」では池内博之演じる準主役のモデルとなっている。(編集部)
岩瀬 この犯人は新聞をものすごく丹念に、よく読んでいる。ある一定のインテリでないとできない事件ですね。
吉山 そう。事件発生時は毎日新聞の読者だったんですよ。捜査幹部が「犯人は毎日新聞をよく読んでいるな」と言っていました。
岩瀬 毎日のほか読売、朝日も読んでいて、週刊読売もよく読んでいます。週刊読売の問いかけにちゃんと答えたりしている。

吉山 挑戦状も最初は読売、朝日には行ってなくて、はじめ毎日新聞に来て、それから各社に行きだしたんです。尋ね人欄も毎日新聞です。
岩瀬 そうなんです、毎日新聞をよく使っていますよね。
吉山 私の旧知の元警察幹部が、グリ森事件と類似の事件としてニセ夜間金庫事件を調べ直しています。1973年2月25日夜に発生した事件で、大阪市北区梅田の三和銀行阪急梅田北支店でニセ夜間金庫事件というのがあったんです。岩瀬 ありましたね。吉山 夜間金庫に客が現金を投入したところ、金庫の表面が膨れ上がって、これはおかしいと。客が警備員に連絡して、ベニヤ板で作られたニセ夜間金庫と分かったんですね。ホンモノの夜間金庫がすぐそばにあって、そこには「壊れたので仮のものを使用してください」と貼り紙がしてあった。この幹部が言うには、その他に大丸デパート恐喝未遂事件というのがあったんです。これが1972年5月1日、大丸に3000万円を要求する脅迫状が送られてきて、隣のそごうデパートを放火するという予告が来て、実際に放火があったんです。新聞紙が燃やされて、ボヤ程度ですけど。吉山 それで犯人の指示に従って神戸市三宮にある地下駐車場の乗用車のトランクに現金3000万円入りの袋を入れたんですね。そしたらその後、犯人から連絡が途絶えたんです。それで車のトランクを開けて調べたところ、トランクの下にベニヤ板で細工していたんですね。トランクに袋を入れると落とし穴のようにバッと下に落ちるようになっていて、それを釣り糸で引っ張る細工をしていたそうです。このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 ありましたね。吉山 夜間金庫に客が現金を投入したところ、金庫の表面が膨れ上がって、これはおかしいと。客が警備員に連絡して、ベニヤ板で作られたニセ夜間金庫と分かったんですね。ホンモノの夜間金庫がすぐそばにあって、そこには「壊れたので仮のものを使用してください」と貼り紙がしてあった。この幹部が言うには、その他に大丸デパート恐喝未遂事件というのがあったんです。これが1972年5月1日、大丸に3000万円を要求する脅迫状が送られてきて、隣のそごうデパートを放火するという予告が来て、実際に放火があったんです。新聞紙が燃やされて、ボヤ程度ですけど。吉山 それで犯人の指示に従って神戸市三宮にある地下駐車場の乗用車のトランクに現金3000万円入りの袋を入れたんですね。そしたらその後、犯人から連絡が途絶えたんです。それで車のトランクを開けて調べたところ、トランクの下にベニヤ板で細工していたんですね。トランクに袋を入れると落とし穴のようにバッと下に落ちるようになっていて、それを釣り糸で引っ張る細工をしていたそうです。このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 夜間金庫に客が現金を投入したところ、金庫の表面が膨れ上がって、これはおかしいと。客が警備員に連絡して、ベニヤ板で作られたニセ夜間金庫と分かったんですね。ホンモノの夜間金庫がすぐそばにあって、そこには「壊れたので仮のものを使用してください」と貼り紙がしてあった。この幹部が言うには、その他に大丸デパート恐喝未遂事件というのがあったんです。これが1972年5月1日、大丸に3000万円を要求する脅迫状が送られてきて、隣のそごうデパートを放火するという予告が来て、実際に放火があったんです。新聞紙が燃やされて、ボヤ程度ですけど。吉山 それで犯人の指示に従って神戸市三宮にある地下駐車場の乗用車のトランクに現金3000万円入りの袋を入れたんですね。そしたらその後、犯人から連絡が途絶えたんです。それで車のトランクを開けて調べたところ、トランクの下にベニヤ板で細工していたんですね。トランクに袋を入れると落とし穴のようにバッと下に落ちるようになっていて、それを釣り糸で引っ張る細工をしていたそうです。このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
この幹部が言うには、その他に大丸デパート恐喝未遂事件というのがあったんです。これが1972年5月1日、大丸に3000万円を要求する脅迫状が送られてきて、隣のそごうデパートを放火するという予告が来て、実際に放火があったんです。新聞紙が燃やされて、ボヤ程度ですけど。吉山 それで犯人の指示に従って神戸市三宮にある地下駐車場の乗用車のトランクに現金3000万円入りの袋を入れたんですね。そしたらその後、犯人から連絡が途絶えたんです。それで車のトランクを開けて調べたところ、トランクの下にベニヤ板で細工していたんですね。トランクに袋を入れると落とし穴のようにバッと下に落ちるようになっていて、それを釣り糸で引っ張る細工をしていたそうです。このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 それで犯人の指示に従って神戸市三宮にある地下駐車場の乗用車のトランクに現金3000万円入りの袋を入れたんですね。そしたらその後、犯人から連絡が途絶えたんです。それで車のトランクを開けて調べたところ、トランクの下にベニヤ板で細工していたんですね。トランクに袋を入れると落とし穴のようにバッと下に落ちるようになっていて、それを釣り糸で引っ張る細工をしていたそうです。このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
トランクに袋を入れると落とし穴のようにバッと下に落ちるようになっていて、それを釣り糸で引っ張る細工をしていたそうです。このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
このベニヤ板とニセ夜間金庫のベニヤ板が鑑識の鑑定の結果同一だった。それでこの二つの事件もこいつら(グリコ森永の犯人グループ)がしたんと違うかといって、グリコ森永事件の犯人の動きがなくなってから調べたんですよ。岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 面白い話ですね。 犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
犯人グループ6人の構成吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 私がずっと取材してきて、犯人グループは6人くらいと考えていたんです。内訳は、カリスマ的なリーダーと、サブリーダー、兵隊の計6人。リーダーはグリコに恨みを持っていて、その恨みを晴らすのが犯行の目的だった。グリコを脅しているうちに、企業からカネをとれるとサブリーダー以下兵隊が気づいたんですね。じゃあ自分たちでやろうとなって、いったんその時点でリーダーと袂を分かつ。それで自分らだけでやるんです。だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
だけどリーダーは非常に緻密で計画を立てるのが上手な人だったので、そういう人に勝てるわけがないんです。ハウスとか、ああいうところでサブリーダー以下は捜査の網にかかりそうになったと思うんです。そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
そのことを警察は知らないと思うんですけど、犯人グループはすごくヒヤッとしたはずです。ふたたびリーダーのもとに結集して、その指示に従うようになって、手を引いたと思うんです。その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
その間企業との裏取引で現金を得たとも考えられるんですね。警察は公式発表で裏取引はありませんと言っていますけど、ある捜査幹部は「わからんもんな」と言っていました。岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 私が取材した当時の捜査幹部は、具体的な社名をあげて、「あそこはカネ払っている」と言っていました。個人の口座や取引先の口座を全部モニタリングして、確証を持っていたようです。吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 リーダーは家におって、丹念に新聞を読んで、色んな知恵を持った年配の人やと思うんです。サブリーダーと兵隊は喧嘩は強いし度胸もあるしね。当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
当時、自分なりに犯行の手口を分析し、挑戦状を分析したら、あるところで書き方が変わっていたんです。私たち記者にとっては挑戦状が唯一の物証ですから、克明に見ていくと、あるところで内容が変わってきて、犯行のやり方も変わってきているなと思ったんです。ああこれはカネ目当てになってきたなと。岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬さんそう思いませんでした? グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
グリコ創業期との因縁岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 江崎社長を拉致して出した初期のころの挑戦状と、それからしばらくしてから変わったなという印象を受けたんです。最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
最初の頃は間の抜けたような、あまりリアリティのない文章なんですけど、途中からおちょくりながらも整合性のとれた文章を毎回書いているなという感じがしますね。吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 挑戦状をずっと見ていると、おそらく、犯人のグリコへの動機は恨みですわ。グリコは戦前、大正期に創業して、小さい会社から大きくなりましたよね。水防倉庫のなかで江崎社長に着させていたオーバーコートも戦前の朝鮮のものですよね。だから創業当時からのなにかのトラブルがあって、それをずっと根に持っていたんじゃないかと。岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 あのオーバーコートは、戦前のコートを仕立て直したものでしたね。吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 ある捜査幹部は、根本はグリコの創業当時の朝鮮半島にあるのではないかと言っていました。だから私佐賀の江崎社長の父・利一氏が生まれ育ったところへ行って、いろいろ調べたこともありましたけれども。この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
この流れを知っているのは大番頭の大久保武夫会長(当時)しかいないわけです。江崎社長は知らないですわ。だから大久保会長を絶対に聴取しなければいけないとみんな思っていたのに、「ウチは被害者や」といって断られて、それ以上よう突っ込まなかった。吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 江崎社長が水防倉庫から自力で脱出したあと、兵庫県警と大阪府警がそれぞれ江崎社長に事情聴取しているけど、聴取内容の突き合わせさえやっていないんですよ。岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 兵庫と大阪は仲悪いですからね。一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
一方でもう一つ関係ないという説もあってですね。取材しているなかで聞いたんですけど、「グリコへの恨みは関係ないんや」と。じゃあなんでですかと聞いたら、グリコの社長の家のことをある程度知っている人なら、一部上場企業なのに警備が全然されていないから、拉致できると分かった可能性がある、と。 メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
メッキ工場こそがカギだった岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 グリコの事件の前年に、ハイネケンの社長が拉致されて何十億円か要求された事件があり、企業の要人誘拐の時代が来るんじゃないかと当時の新聞にも書かれていたんです。トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
トラウマづくりのために一回拉致するんだけども、学生時代に全共闘の活動家であった作家と雑談したときにこの話をすると、「俺たち全共闘のときはしょっちゅう拉致していたから人を拉致するのは平気だ」と言うんですよ。犯人たちも、年齢的には全共闘世代なんですよね。恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
恨みがあってやったというよりここはやれる、やりやすいと。それをマスコミに伝えて騒ぎを大きくして食品メーカーを連続恐喝して金をとっていくことを計画していたんじゃないかという説もあるんです。いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
いろんな説のなかで私が一番おかしいなと思ったのは北朝鮮スパイ説で、こんなに統率のとれた動きができるのはやっぱり特殊訓練を受けた人間だとか。犯人は最初、金塊100キロと10億円を要求しますね。キャッシュじゃなくて金塊を欲しがるのは北朝鮮だと。そこで滋賀・大津の廃品回収業者がAランクの捜査対象になった。私が会いにいったら、その人は北の出身ではなくて、南からの人だった。捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
捜査報告書には北朝鮮の出身と書かれているんですけど、実際に取材すると「ウチ南でっせ」と言っていましたね。それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
それとメッキ工場をもうちょっと調べておけば面白かった。青酸ソーダと濃塩酸というのはメッキの主要な材料ですからね。吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 そう。岩瀬さんね、私は犯人グループはメッキ工場の物証探しで尻尾を踏まれたんじゃないかなと思っているんです。尻尾触っているか、姿が見える近くまでいったか、それは分からんけど、必ずどこかでやられていると思うんですわ。岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 それは警察庁の元幹部も言っていました。「どこかで触ったはずや」と。「こんなのやってもしょうがないで」と挑戦状に書いて送ってくるのは、逆読みすると近いところを触られていたからじゃないかと。吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 絶対そうですよ。しかし警察はそれを分かっていなかった。時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
時効直前に、山口組にも情報が入っているんちゃうやろかということで宅見組の宅見勝組長を別件でひっぱって、「ポリ(ポリグラフ検査=ウソ発見器)かけてもええか」と了解もらってかけているんです。その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
その結果宅見組長は犯人グループの情報をまったく知らないということが分かったんですけどね。もうそのくらい捜査が混迷していたんです。 DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
DNA鑑定で犯人特定できる岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 最近、ある国会議員と話していまして、この事件は未解決に終わらせてはダメなんじゃないかと、国会の法務委員会で意見を言ってみると話していたんですね。すでに時効だから警察は動かないにせよ、国会でそういう声が盛り上がってくれば、法務検察はもう一回やり直す可能性がある。罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
罪には問えないにせよ、もし再捜査ということになれば、そうなったときが勝負どころになるのかなと私は思っているんです。実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
実は大阪府警が、犯人の血液型を割ったというんですね。滋賀・栗東の現場の遺留品の帽子に髪の毛が一本刺さっていて、そこから大阪府警傘下の科学捜査研究所が血液型を割ったと。そういうレポートはまだ残っているんです。その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
その5・5センチの髪の毛を使って血液型を割るにあたって、鑑定のために何センチ使ったか分からないですが、残っていればあらためてDNA鑑定できる可能性もある。髪の毛などの証拠物は、大阪府警はもう捨てちゃっているんですかね。吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
吉山 そんなことないでしょう。当然保存しているでしょう。岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)
岩瀬 それを聞いて安心しました。(了)