「10万円で即打てる」経営者、芸能人も殺到する”NYワクチンツアー”の全容

「日本にいては接種の見通しが立たない。このまま待っていたのでは、ワクチン接種がいつになったら自分の順番が来るのか」
日本政府が主導するワクチン接種の手際の悪さに耐えかね、「海外接種ツアー」に出かける日本人が少しずつ増えている。
こうした人々の目的地は米国ニューヨーク(NY)。デブラシオNY市長は「観光客にもワクチン接種を解禁する」と自らPR、自身のツイッターにも「各国からのワクチン接種者の来訪を心待ちにする」と記したツイートが掲載され、現地からは歓迎ムードも漂ってきた。
コロナ禍で大きく痛手を受けた観光業へのテコ入れとしては「禁じ手」と思える手段だが、NYへは実際に中南米をはじめとする国外からの観光客が続々と渡航。現地のホテルはもとより、近隣国からNYに向かうフライトは混み合うようになったという。NYではこうした人々に対し、1回の接種だけで済む「ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製ワクチン」を投与する。
筆者は、日本から観光客として渡米し、実際にワクチン接種を受けたという50代の日本人夫妻に話を聞くことができた。夫妻は「日本のスケジュールではまだいつ打てるか分からず、年内に順番が回ってくるかどうかも分からない」と現地に赴いたのだという。
現地旅行会社や夫妻の話をもとに、NY接種ツアーの概要をリポートする。■富裕層、芸能人など150人超が予約「わが社がアテンドした接種希望の日本人ご夫婦の様子がニュース映像で流れるや否や、電話やメールが一気に殺到しています。1日も早く接種を受けたいと考える人々がこんなにいるとは正直思いませんでした」NYで日本人向けの旅行代理店を経営する「あっとニューヨーク」の土橋省吾(せいご)社長は、あまりの反応の大きさに驚いたという。筆者はテレビ報道の3日後となる5月19日に取材をしたが、すでに150人余りからアテンドの手配希望が届いているという。ツアーの予約者はどのような人たちなのだろうか。土橋社長は「これまでの感触では比較的社会的地位の高い方が多め。おひとりでNYに渡航される、という方がメインです」と語る。「東証一部に上場している法人の経営者さんから電話をいただいたりするなど、いわゆるVIPや芸能人、有名人といわれる方がいらっしゃいます。不特定多数との接触が多いとか、さまざまな場所に出かけなければならないといった方たちです」個人ではなく、「団体接種」の打診もあったという。「40代以下の社員を多く抱えられているIT企業です。『グループに分かれて順々にNYに社員を送るので、接種のアテンドは可能か』という問い合わせでした。こうした声があるということは、いまの日本の現状では順番を待ちきれないという方が多いということでしょう」写真提供=土橋省吾氏米ニューヨークに設置されたワクチン接種会場 – 写真提供=土橋省吾氏■接種手配+ホテル航空代で30万円ほど土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
「わが社がアテンドした接種希望の日本人ご夫婦の様子がニュース映像で流れるや否や、電話やメールが一気に殺到しています。1日も早く接種を受けたいと考える人々がこんなにいるとは正直思いませんでした」NYで日本人向けの旅行代理店を経営する「あっとニューヨーク」の土橋省吾(せいご)社長は、あまりの反応の大きさに驚いたという。筆者はテレビ報道の3日後となる5月19日に取材をしたが、すでに150人余りからアテンドの手配希望が届いているという。ツアーの予約者はどのような人たちなのだろうか。土橋社長は「これまでの感触では比較的社会的地位の高い方が多め。おひとりでNYに渡航される、という方がメインです」と語る。「東証一部に上場している法人の経営者さんから電話をいただいたりするなど、いわゆるVIPや芸能人、有名人といわれる方がいらっしゃいます。不特定多数との接触が多いとか、さまざまな場所に出かけなければならないといった方たちです」個人ではなく、「団体接種」の打診もあったという。「40代以下の社員を多く抱えられているIT企業です。『グループに分かれて順々にNYに社員を送るので、接種のアテンドは可能か』という問い合わせでした。こうした声があるということは、いまの日本の現状では順番を待ちきれないという方が多いということでしょう」写真提供=土橋省吾氏米ニューヨークに設置されたワクチン接種会場 – 写真提供=土橋省吾氏■接種手配+ホテル航空代で30万円ほど土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
NYで日本人向けの旅行代理店を経営する「あっとニューヨーク」の土橋省吾(せいご)社長は、あまりの反応の大きさに驚いたという。筆者はテレビ報道の3日後となる5月19日に取材をしたが、すでに150人余りからアテンドの手配希望が届いているという。ツアーの予約者はどのような人たちなのだろうか。土橋社長は「これまでの感触では比較的社会的地位の高い方が多め。おひとりでNYに渡航される、という方がメインです」と語る。「東証一部に上場している法人の経営者さんから電話をいただいたりするなど、いわゆるVIPや芸能人、有名人といわれる方がいらっしゃいます。不特定多数との接触が多いとか、さまざまな場所に出かけなければならないといった方たちです」個人ではなく、「団体接種」の打診もあったという。「40代以下の社員を多く抱えられているIT企業です。『グループに分かれて順々にNYに社員を送るので、接種のアテンドは可能か』という問い合わせでした。こうした声があるということは、いまの日本の現状では順番を待ちきれないという方が多いということでしょう」写真提供=土橋省吾氏米ニューヨークに設置されたワクチン接種会場 – 写真提供=土橋省吾氏■接種手配+ホテル航空代で30万円ほど土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
ツアーの予約者はどのような人たちなのだろうか。土橋社長は「これまでの感触では比較的社会的地位の高い方が多め。おひとりでNYに渡航される、という方がメインです」と語る。「東証一部に上場している法人の経営者さんから電話をいただいたりするなど、いわゆるVIPや芸能人、有名人といわれる方がいらっしゃいます。不特定多数との接触が多いとか、さまざまな場所に出かけなければならないといった方たちです」個人ではなく、「団体接種」の打診もあったという。「40代以下の社員を多く抱えられているIT企業です。『グループに分かれて順々にNYに社員を送るので、接種のアテンドは可能か』という問い合わせでした。こうした声があるということは、いまの日本の現状では順番を待ちきれないという方が多いということでしょう」写真提供=土橋省吾氏米ニューヨークに設置されたワクチン接種会場 – 写真提供=土橋省吾氏■接種手配+ホテル航空代で30万円ほど土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
「東証一部に上場している法人の経営者さんから電話をいただいたりするなど、いわゆるVIPや芸能人、有名人といわれる方がいらっしゃいます。不特定多数との接触が多いとか、さまざまな場所に出かけなければならないといった方たちです」個人ではなく、「団体接種」の打診もあったという。「40代以下の社員を多く抱えられているIT企業です。『グループに分かれて順々にNYに社員を送るので、接種のアテンドは可能か』という問い合わせでした。こうした声があるということは、いまの日本の現状では順番を待ちきれないという方が多いということでしょう」写真提供=土橋省吾氏米ニューヨークに設置されたワクチン接種会場 – 写真提供=土橋省吾氏■接種手配+ホテル航空代で30万円ほど土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
個人ではなく、「団体接種」の打診もあったという。「40代以下の社員を多く抱えられているIT企業です。『グループに分かれて順々にNYに社員を送るので、接種のアテンドは可能か』という問い合わせでした。こうした声があるということは、いまの日本の現状では順番を待ちきれないという方が多いということでしょう」写真提供=土橋省吾氏米ニューヨークに設置されたワクチン接種会場 – 写真提供=土橋省吾氏■接種手配+ホテル航空代で30万円ほど土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
「40代以下の社員を多く抱えられているIT企業です。『グループに分かれて順々にNYに社員を送るので、接種のアテンドは可能か』という問い合わせでした。こうした声があるということは、いまの日本の現状では順番を待ちきれないという方が多いということでしょう」写真提供=土橋省吾氏米ニューヨークに設置されたワクチン接種会場 – 写真提供=土橋省吾氏■接種手配+ホテル航空代で30万円ほど土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
土橋社長によると、「あっとニューヨーク」で申し込む際の料金は1人当たり900ドル(約10万円)。NYのワクチン接種は無料で行われているため、費用は日本帰国時に求められるPCR検査へのアテンドや空港送迎(専用車)に充てられるという。滞在期間は4泊6日を奨励しており、この間滞在するホテル代や食事、往復の航空券は別途かかる。もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
もろもろ込みで計算すると、1人当たりの旅行代金は30万円前後となろうか。夫婦や家族、グループならホテルや車代などのコストは応分できるので、1人分の費用はさらに下がる。いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
いうまでもなく、日本の旅行業界もコロナ禍で利用者が激減している。そんな中、「NYでの観光客接種可能」の知らせに飛びついた国内の旅行会社もある。コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
コロナ以前に行われていた3泊5日や4泊6日のNY観光ツアーのコンテンツを、観光の代わりに接種アテンドを入れて商品を売り出したい、と食指をのばしている日本の旅行会社もあるようだ。今後はNYの空港に降り立ったら、接種ツアー参加の日本人でいっぱいといったことが起こるかもしれない。東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
東京都在住のTさん夫妻は、外国人観光客でもワクチン接種を受けられるとの情報を知り、急遽NYへ飛んだ。■到着後すぐに接種…「本当に感無量」夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
夫妻は渡航前72時間以内にPCR検査を行い、陰性証明を取得。羽田空港から米国へ出発した。現在、日本からNYを目的地に米国へ入る場合の強制隔離や自主隔離は不要で、4月10日以降の入国者の隔離は強制から「推奨」にグレードダウンされている。5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
5月15日に到着し、「あっとニューヨーク」が手配した送迎車で空港から直接NY市内へ向かった。そのまま、中心地のターミナル駅に設けられた接種会場で予約なしで接種を受けたという。50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
50代のTさんは接種の見通しが立たない日本の現状に失望していたが、これで感染リスクと重症化リスクが減少し、仕事での海外渡航も行きやすくなり、「本当に感無量だ」と話す。気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
気になるのはワクチンの副反応だが、筆者と親しい開業医は「38.5度前後の発熱と、異様な倦怠感に襲われる人も多い」と説明。熱は48時間ほどで改善するといい、「早めに解熱剤を飲めば楽になる」としながらも、NY観光に取り組む際は「街の人々はもうマスクなしで歩いているが、接種者は感染対策に今まで以上に留意すべきだ」と警鐘を鳴らす。帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
帰国前に体調が良ければ、他人との距離をしっかりとって、散歩程度なら良い、と言ったところだろうか。目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
目下、日本への入国者は、現地(NY)出発前72時間以内に検体採取した陰性証明の取得が必要になる。ただ、米国と違うのは、日本到着後に14日間の自主隔離が求められることだ。ワクチン接種者への隔離免除制度は、日本はまだ未導入。従来規定と同じく、隔離期間中の公共交通機関の使用は禁止だ。夫妻は自家用車で都内の自宅に戻った。■NYで打ったのは日本未承認ワクチン以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
以上の通り、ツアーの概要を聞く限りは大きなトラブルなどもなく接種は済ませられるようだ。しかし、海外でワクチンを打つことによる問題点はないのだろうか。写真提供=土橋省吾氏ワクチン接種を啓発する看板 – 写真提供=土橋省吾氏日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
日本のワクチン承認に関する現状をみると、米ファイザーと独ビオンテックの共同開発によるワクチンが先行承認され各市町村に配布されている。このほか、防衛省による集団接種会場で使われることになった米モデルナ製と、各国で血栓発生が取り沙汰されている英アストラゼネカ製のワクチン(接種は当面見送り)が5月21日に特例承認された。NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
NYで観光客向けに接種が進むJ&J製は、初の「1回接種で有効」なワクチンとして2月、米国で承認された。しかし日本での承認については3月2日、菅義偉首相が「調達の検討対象」と述べたものの、日本政府は同社とのワクチン購入契約はなく、承認申請も受けていないという。J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
J&J製のワクチンをめぐっては、接種した人に血栓が生じる事例が米国で複数報告されたことを受け、米疾病対策センター(CDC)など保健当局が接種を一時中止する勧告を出したことがある(現在は再開)。日本では未承認のワクチンを打つことで、今後自治体から接種の声がかかったときに問題視される可能性はなきにしもあらずだろう。■日本で接種証明書がもらえない?もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
もう一つは、世界各国で議論が進んでいる接種証明書(ワクチンパスポート)の問題だ。日本政府は発給の意義について、「経済の復興を左右するインバウンド客のスムーズな入国管理を実現するためのもの」と位置付けている。発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
発給の要件を満たすワクチンは当然、日本政府が承認した企業のものに限られる。今後J&J製ワクチンが承認されれば問題ないが、もし承認を見送った場合、米国など海外で未承認ワクチンを打った人にも接種証明書が発行されるかは未知数だ。日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
日本での接種の広まりは「先進国で最遅」と揶揄される中、「接種のための海外渡航」という新たなトレンドが生まれつつある。それでなくても、海外には150万人近い日本国籍者が暮らしている。日本未承認のワクチンを接種した人々をどう扱うのか、今後議論が必要になってくるだろう。■接種渡航は今後増えると思われるが…夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
夫妻のように海外でワクチンを打てば、日本で待つよりもずっと早く接種が実現し、目前の安心感が得られることは間違いない。実際に米国など、ワクチン接種が先行して進んでいる国々では、集団免疫を得ることで、経済活動が急速に回復。街行く人々の数も増え、コロナなど存在しなかったかつての世界に戻ったような錯覚を感じるほどだ。ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
ただ、上記で述べたように、住んでいる国が承認していないワクチンを打つことへのリスクは相応にある。加えて、日本では依然、入国者の水際対策が厳しく実施されている。自身の選択で接種のために外国に渡航し、日本に再入国する人が増えれば、各検疫所のいっそうの負荷は避けられない。やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
やむにやまれぬ手段として、実行する人が増えるであろうNYへの接種渡航。くれぐれも、コロナウイルスの持ち込み者にはならないよう、留意してほしい。———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
———-さかい もとみ(さかい・もとみ)ジャーナリスト1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter———-(ジャーナリスト さかい もとみ)
(ジャーナリスト さかい もとみ)