バイトが書いた署名の行方 示された領収書、残る疑問

「当選おめでとう。でも、絶交します」
4月26日。
名古屋市長選で河村たかし氏が4期目の当選を決めて一夜明け、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は、朝日新聞の取材にこう語った。
100万筆を目標とし、昨年8月に始まった大村秀章・愛知県知事に対するリコール署名。運動団体の会長に高須氏が就き、河村氏は街頭演説で肩を並べた。
しかし、署名の偽造が明るみに出たころから、誰がリコールを発案したかをめぐり、2人の言い分は食い違うようになっていた。
「これは何べんも言っとりますよ」。河村氏は「絶交宣言」を受け、高須氏の側からリコールの誘いがあったと改めて主張。仲介したのは、運動団体の事務局長となった元県議の田中孝博容疑者(59)=地方自治法違反(署名偽造)容疑で5月19日に逮捕=と言う。
高須氏は、河村氏が「リコールしようと思うが、手伝ってくれるか」と尋ねてきた、としている。「間違いない。信用できない人とは絶交します」と話す。
どちらが発案したのか。真相ははっきりしない。

多数のアルバイトを動員した「書き写し」は佐賀県青年会館で行われた。事情を知らないまま、バイトとして加わった40代男性によると、監督にあたった複数の人物は「急いで書いて」と繰り返したという。