茨城一家殺傷事件、容疑者の「過去の事件」を、朝日、読売、毎日、はこう報じた

新聞各紙で分かれた、過去の事件の実名報道茨城県境町の民家で2019年9月、住民の夫婦が何者かに襲われ殺害され、当時中学生と小学生だった夫婦の子ども2人も重軽傷を負った事件。茨城県警は、5月7日に埼玉県三郷市に住む無職の岡庭由征容疑者(26)を夫婦殺害の容疑で逮捕した。1年半以上にわたり未解決となっていた凶悪事件とあって、新聞やテレビは連日、捜査当局の発表や独自取材に基づいて大きくこのニュースを取り上げた。

岡庭容疑者が重要参考人に浮上するまでの経緯や、逮捕の決め手となった証拠など、各社の報道内容は概ね共通していた。一方、決定的に判断が分かれたのが、2011年に当時16歳だった岡庭容疑者が起こした連続少女通り魔事件について触れるか否かだった。少年法61条では、<家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のときに犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりそのものが当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない>と規定している。罰則付きではないが、少年法は少年犯罪について実名報道を禁じているのである。Photo by iStock 少年犯罪を巡っては、時には実名報道に踏み切る週刊誌とは異なり、新聞やテレビはこれまで、更生の観点から本人が特定される報道を禁じた少年法に基づき慎重だった。折しも今回の逮捕は、18歳や19歳の少年が起訴された後は実名報道を認める内容を含む少年法の改正案が、4月20日に衆議院を通過した直後のタイミングだった。今回、大手メディアの一部はどのような経緯で、従来の姿勢を崩したのだろうか。オープンリーチの状態まず、5月7日の岡庭容疑者逮捕に至った茨城一家殺傷事件から振り返る。境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
茨城県境町の民家で2019年9月、住民の夫婦が何者かに襲われ殺害され、当時中学生と小学生だった夫婦の子ども2人も重軽傷を負った事件。茨城県警は、5月7日に埼玉県三郷市に住む無職の岡庭由征容疑者(26)を夫婦殺害の容疑で逮捕した。
1年半以上にわたり未解決となっていた凶悪事件とあって、新聞やテレビは連日、捜査当局の発表や独自取材に基づいて大きくこのニュースを取り上げた。
岡庭容疑者が重要参考人に浮上するまでの経緯や、逮捕の決め手となった証拠など、各社の報道内容は概ね共通していた。
一方、決定的に判断が分かれたのが、2011年に当時16歳だった岡庭容疑者が起こした連続少女通り魔事件について触れるか否かだった。少年法61条では、
<家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のときに犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりそのものが当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない>
と規定している。罰則付きではないが、少年法は少年犯罪について実名報道を禁じているのである。Photo by iStock 少年犯罪を巡っては、時には実名報道に踏み切る週刊誌とは異なり、新聞やテレビはこれまで、更生の観点から本人が特定される報道を禁じた少年法に基づき慎重だった。折しも今回の逮捕は、18歳や19歳の少年が起訴された後は実名報道を認める内容を含む少年法の改正案が、4月20日に衆議院を通過した直後のタイミングだった。今回、大手メディアの一部はどのような経緯で、従来の姿勢を崩したのだろうか。オープンリーチの状態まず、5月7日の岡庭容疑者逮捕に至った茨城一家殺傷事件から振り返る。境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
Photo by iStock 少年犯罪を巡っては、時には実名報道に踏み切る週刊誌とは異なり、新聞やテレビはこれまで、更生の観点から本人が特定される報道を禁じた少年法に基づき慎重だった。折しも今回の逮捕は、18歳や19歳の少年が起訴された後は実名報道を認める内容を含む少年法の改正案が、4月20日に衆議院を通過した直後のタイミングだった。今回、大手メディアの一部はどのような経緯で、従来の姿勢を崩したのだろうか。オープンリーチの状態まず、5月7日の岡庭容疑者逮捕に至った茨城一家殺傷事件から振り返る。境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
少年犯罪を巡っては、時には実名報道に踏み切る週刊誌とは異なり、新聞やテレビはこれまで、更生の観点から本人が特定される報道を禁じた少年法に基づき慎重だった。折しも今回の逮捕は、18歳や19歳の少年が起訴された後は実名報道を認める内容を含む少年法の改正案が、4月20日に衆議院を通過した直後のタイミングだった。今回、大手メディアの一部はどのような経緯で、従来の姿勢を崩したのだろうか。オープンリーチの状態まず、5月7日の岡庭容疑者逮捕に至った茨城一家殺傷事件から振り返る。境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
少年犯罪を巡っては、時には実名報道に踏み切る週刊誌とは異なり、新聞やテレビはこれまで、更生の観点から本人が特定される報道を禁じた少年法に基づき慎重だった。折しも今回の逮捕は、18歳や19歳の少年が起訴された後は実名報道を認める内容を含む少年法の改正案が、4月20日に衆議院を通過した直後のタイミングだった。今回、大手メディアの一部はどのような経緯で、従来の姿勢を崩したのだろうか。オープンリーチの状態まず、5月7日の岡庭容疑者逮捕に至った茨城一家殺傷事件から振り返る。境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
折しも今回の逮捕は、18歳や19歳の少年が起訴された後は実名報道を認める内容を含む少年法の改正案が、4月20日に衆議院を通過した直後のタイミングだった。今回、大手メディアの一部はどのような経緯で、従来の姿勢を崩したのだろうか。オープンリーチの状態まず、5月7日の岡庭容疑者逮捕に至った茨城一家殺傷事件から振り返る。境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
まず、5月7日の岡庭容疑者逮捕に至った茨城一家殺傷事件から振り返る。境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
境町の事件が起こったのは19年9月23日午前0時40分ごろ。茨城県境町の民家から女性の声で助けを求める110番があり、臨場した警察官が民家2階の寝室でこの家に住む会社員の男性(当時48)と妻(同50)が血を流して死亡しているのを発見。さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
さらに、2階の子ども部屋で寝ていた長男も刃物で刺され、次女は催涙スプレーのようなものを噴射され、1階の自室にいた当時大学生の長女だけが無事だった。「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
「現場は木に囲まれ、到底、一家4人が襲われるような凶悪事件が起こるとは思えないのどかな地域です。金品を物色した様子がないことから、茨城県警は当初、怨恨による犯行の可能性を捜査していました。しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
しかし、一家に恨みを抱かれるようなトラブルは見つからず、見ず知らずの人物による『流し』の線にも捜査を拡大しました。その結果、次女が襲われた際に吹き付けられた物と同様のスプレーの購入履歴があり、自宅に大量の刃物や薬品を所持していたことなどから、岡庭容疑者が捜査線上に浮上したようです」(全国紙記者)事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
事件から1年あまりが過ぎた昨年の11月、茨城、埼玉の両県警が合同捜査を組み殺人予備容疑で、岡庭容疑者の自宅を家宅捜索。大量の硫黄を所持した容疑で逮捕した。今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
今年2月には警察手帳の記章を偽造した容疑で茨城県警が再逮捕する一方で、茨城一家殺傷事件の容疑での捜査も進め、今回の逮捕に至ったのだという。 「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
「岡庭容疑者が『別件』で逮捕されたことは、早い段階からマスコミに漏れていました。一部の週刊誌も昨年末の段階で、境町の事件との関連を匂わせる記事をネットで配信していましたし、いわば『オープンリーチ』の状態。マスコミ各社も逮捕に向けて原稿を準備する中で、当然、前科についても把握していたでしょうね」と捜査関係者は解説する。つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
つまり、今回の茨城一家殺傷事件では、新聞やテレビは事前に取材する期間が数ヵ月あり、茨城県警が岡庭容疑者を殺人容疑で逮捕した5月7日に至るまでに、彼が過去に犯した連続少女通り魔事件について触れるか否かに関して、十分に議論できたことが推測される。その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
その経緯を踏まえたうえ、逮捕翌日の5月8日朝刊で、新聞が事件をどう報じたか見比べてみたい。茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
茨城新聞は地元紙だけに、逮捕翌日の朝刊一面に、<境一家殺傷 26歳男逮捕>の見出しで記事を掲載した。社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
社会面でも<急展開も見えぬ接点>、<犯行動機の解明焦点>と展開しているが、県警捜査本部の発表に基づく内容で、岡庭容疑者が過去に起こした、連続少女通り魔事件には一切触れていない。全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
全国紙でも毎日新聞は別件での逮捕から、今回の殺人容疑での逮捕に至る経緯は詳報しているが、過去に起こした連続少女通り魔事件については書いていない。マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
マスコミ各社が岡庭容疑者の逮捕を予期していたことは前述の通りで、茨城新聞、毎日新聞は、あえて少年時代の犯行に触れなかったと推測できる。一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
一方、朝日新聞、読売新聞の両紙は、いずれも社会面に掲載した記事の中で、2011年の連続少女通り魔事件に触れている。Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
Image by iStock 読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
読売新聞は記事の後半で、<岡庭容疑者が2011年11月に埼玉県三郷市の路上で中学3年生の女子生徒の顔を刃物で切りつけ、翌12月にも千葉県松戸市で小学校2年生の女児を刺し、殺人未遂容疑で逮捕された>、<岡庭容疑者はさいたま家裁の少年審判で13年3月、23歳になるまでの相当長期間の医療少年院送致の保護処分が決まった>などと十行程度で報じた。扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
扱いがもっとも大きかったのが朝日新聞だ。岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
岡庭容疑者が2011年に少女2人に対する殺人未遂事件を起こし、医療少年院に送致されたという記述は読売新聞と同様だった。しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
しかしそれに加え、記事中で<過去の同種事件から容疑者浮上>と見出しを取り、少女らへの殺人未遂事件の裁判員裁判で、岡庭容疑者が、<『今のままでは、また(同様の事件を)やっちゃうと思う』と話した>と書いたうえで、<捜査関係者によると、茨城県警が過去に同種の事件に関与した人物を調べる中で(岡庭容疑者が)浮上した>と、11年の少女らへの殺人未遂事件と、今回の境町での一家殺傷事件を結びつけ報じている。犯人視報道と取られてもおかしくない罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
罰則はないものの少年法61条は少年または少年時に犯した事件の実名報道を禁じていることは前述した通りだ。新聞各紙やNHK、民放各社が加盟する日本新聞協会も1958年に以下のような方針を示している。<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
<少年法第61条は、未成熟な少年を保護し、その将来の更生を可能にするためのものであるから、新聞は少年たちの「親」の立場に立って、法の精神を実せんすべきである。罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
罰則がつけられていないのは、新聞の自主的規制に待とうとの趣旨によるものなので、新聞はいっそう社会的責任を痛感しなければならない。すなわち、20歳未満の非行少年の氏名、写真などは、紙面に掲載すべきではない。ただし、(1)逃走中で、放火、殺人など凶悪な累犯が明白に予想される場合 (2)指名手配中の犯人捜査に協力する場合など、少年保護よりも社会的利益の擁護が強く優先する特殊な場合については、氏名、写真の掲載を認める除外例とするよう当局に要望し、かつこれを新聞界の慣行として確立したい。>今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
今回の境町で起きた茨城一家殺傷事件では、新聞協会が定める(1)、(2)のいずれのケースにも当たらない。「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
「逮捕されたとはいえ、まだ容疑者の段階。朝日の紙面は少年時代の事件に、岡庭容疑者が境町の事件を起こした動機を求めているようにも読め、少年法云々の前に、『犯人視報道』と言われても反論できないでしょう。」(全国紙デスク)一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
一方で、1999年の光市母子殺害事件など、過去には週刊誌が少年事件の加害者を実名で報じ、大きな社会的反響を呼んだことがある。実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
実際、今回の境町事件でも、逮捕の翌週に発売された週刊新潮と週刊文春は、岡庭容疑者の生い立ちから犯罪歴に至るまでを詳しく報じている。 「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
「成人になった容疑者が、過去少年時に起こした事件についても触れるか否かは難しい議論です。各紙グレーゾーンでしょう。一報を伝えるだけであれば、少年法に触れずにいられます。しかし、取材の中で事件の背景が明らかになり、それが再発防止など社会的意義に結びつくこともある。そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
そういう見方をすれば、一律に少年法に抵触するからと言ってなにもかも報じないというのも、知る権利を奪う可能性もあります。報道する側の倫理観も試されているということです。」(全国紙記者)成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
成人年齢引き下げに合わせて改正される少年法は、5月21日に年長の18歳、19歳の少年を『特定少年』と位置づけ、起訴された後は実名報道を認めると参院本会議で可決、成立した。今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。
今やネットを引けば、事件の加害者や被害者の虚実入り交じる情報が、一瞬で手に入る時代。だからこそ、新聞やテレビ、メディアを含め、十分な議論を経た質の高い報道を求めたい。