【小林 美希】4月に担任不在…全国で保育士の「一斉退職」が止まらない“深刻すぎる実態”

「藤岡市の私立保育園で保育士18人のうち17人が一斉退職」(2021年3月26日、上毛新聞)、「保育士と園長が一斉退職、不適切経営訴え……保護者らは当惑」(同年3月31日、神戸新聞)、「保育士ら17人が宮城県湧谷町で退職」(2020年11月26日、KHB東日本放送)――。
全国各地の保育園で保育士の一斉退職が後を絶たない。いったい、現場で何が起こっているのだろうか。
〔PHOTO〕iStock

「引き金になったのは、副園長のパワハラでした」
一斉退職したなかの一人、保育士の優子さん(仮名)が内情を明かす。優子さんが勤めていた認可保育園は東北地方の都市部にあり、2021年3月末に正職員として働く保育士11人中9人が退職に踏み切り、主任保育士以外の常勤で勤める保育士が全員、職場を去っていった。
この認可保育園をA保育園としよう。A保育園では昨夏、40代の女性の副園長が突然、「うちは音楽で特色を出す」と言い始め、地獄のようなピアノレッスンが始まった。保育中であるにもかかわらず、「はい!先生、レッスン!」と呼び出され、保育士が保育室を離れなければならなくなった。
副園長の思うようなピアノが弾けないベテラン保育士は、「毎日やっているのに、あなた、なってない!基礎からやって!」と叱責された。やがて副園長のパワハラのターゲットになり、就業時間が終わって帰ろうとしただけで、「え?なんで、あんた上がるの?上がれないよね」と残業を強いられるようになっていった。「ピアノだけではありません。副園長は自分が権力者だといわんばかり。子どものことなど全く考えず、玩具を買ってもらえませんでした」(優子さん) 必要最低限の玩具も保育園にはなかった。園内にある玩具や保育材料のほとんどは保育士が持ち寄った私物だ。保育室にある玩具は全てボロボロで、人形の髪の毛は爆発状態。くしが通らず、服はビリビリに破けている。ブロックはひび割れていて、はまらない。色鉛筆もクレヨンも1クラスに1セットない。粘土も買ってもらえないため、保育士が小麦粉で作った粘土を使った。園庭にも遊具はなく、ちょっとした砂場があるだけ。園庭に日陰ができないため、保育士が自腹を切って日よけを用意した。水遊び用の玩具もカビだらけ。購入してほしいと要望しても、副園長に聞き入れてもらえず消毒して使っていた。 ちなみに認可保育園には、玩具や絵本などを購入するための保育材料費が公費で出ている。2021年度の場合、3歳児未満では園児一人当たり月3027円、3歳児以上で同1818円となっている(内閣府「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」から計算)。にもかかわらず、A保育園では副園長が保育材料の購入を拒否し続けていた。また、保育の内容にも優子さんは疑問を持った。優子さんが以前に働いていた保育園では園児の歯磨きを2歳からしていたが、A保育園では副園長が「危ない」といって4歳からしか歯磨きをさせなかった。お散歩も「危ない」といって、100メートル先の公園にしか行ってはいけない“禁止保育”状態。優子さんら保育士は「安全に配慮することを前提に、少しの怪我をしながら学ばないと本当の危険を避けられなくなる」と、嫌気がさしていた。パワハラで現場は限界に…新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
「ピアノだけではありません。副園長は自分が権力者だといわんばかり。子どものことなど全く考えず、玩具を買ってもらえませんでした」(優子さん) 必要最低限の玩具も保育園にはなかった。園内にある玩具や保育材料のほとんどは保育士が持ち寄った私物だ。保育室にある玩具は全てボロボロで、人形の髪の毛は爆発状態。くしが通らず、服はビリビリに破けている。ブロックはひび割れていて、はまらない。色鉛筆もクレヨンも1クラスに1セットない。粘土も買ってもらえないため、保育士が小麦粉で作った粘土を使った。園庭にも遊具はなく、ちょっとした砂場があるだけ。園庭に日陰ができないため、保育士が自腹を切って日よけを用意した。水遊び用の玩具もカビだらけ。購入してほしいと要望しても、副園長に聞き入れてもらえず消毒して使っていた。 ちなみに認可保育園には、玩具や絵本などを購入するための保育材料費が公費で出ている。2021年度の場合、3歳児未満では園児一人当たり月3027円、3歳児以上で同1818円となっている(内閣府「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」から計算)。にもかかわらず、A保育園では副園長が保育材料の購入を拒否し続けていた。また、保育の内容にも優子さんは疑問を持った。優子さんが以前に働いていた保育園では園児の歯磨きを2歳からしていたが、A保育園では副園長が「危ない」といって4歳からしか歯磨きをさせなかった。お散歩も「危ない」といって、100メートル先の公園にしか行ってはいけない“禁止保育”状態。優子さんら保育士は「安全に配慮することを前提に、少しの怪我をしながら学ばないと本当の危険を避けられなくなる」と、嫌気がさしていた。パワハラで現場は限界に…新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
必要最低限の玩具も保育園にはなかった。園内にある玩具や保育材料のほとんどは保育士が持ち寄った私物だ。保育室にある玩具は全てボロボロで、人形の髪の毛は爆発状態。くしが通らず、服はビリビリに破けている。ブロックはひび割れていて、はまらない。色鉛筆もクレヨンも1クラスに1セットない。粘土も買ってもらえないため、保育士が小麦粉で作った粘土を使った。園庭にも遊具はなく、ちょっとした砂場があるだけ。園庭に日陰ができないため、保育士が自腹を切って日よけを用意した。水遊び用の玩具もカビだらけ。購入してほしいと要望しても、副園長に聞き入れてもらえず消毒して使っていた。 ちなみに認可保育園には、玩具や絵本などを購入するための保育材料費が公費で出ている。2021年度の場合、3歳児未満では園児一人当たり月3027円、3歳児以上で同1818円となっている(内閣府「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」から計算)。にもかかわらず、A保育園では副園長が保育材料の購入を拒否し続けていた。また、保育の内容にも優子さんは疑問を持った。優子さんが以前に働いていた保育園では園児の歯磨きを2歳からしていたが、A保育園では副園長が「危ない」といって4歳からしか歯磨きをさせなかった。お散歩も「危ない」といって、100メートル先の公園にしか行ってはいけない“禁止保育”状態。優子さんら保育士は「安全に配慮することを前提に、少しの怪我をしながら学ばないと本当の危険を避けられなくなる」と、嫌気がさしていた。パワハラで現場は限界に…新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
園庭にも遊具はなく、ちょっとした砂場があるだけ。園庭に日陰ができないため、保育士が自腹を切って日よけを用意した。水遊び用の玩具もカビだらけ。購入してほしいと要望しても、副園長に聞き入れてもらえず消毒して使っていた。 ちなみに認可保育園には、玩具や絵本などを購入するための保育材料費が公費で出ている。2021年度の場合、3歳児未満では園児一人当たり月3027円、3歳児以上で同1818円となっている(内閣府「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」から計算)。にもかかわらず、A保育園では副園長が保育材料の購入を拒否し続けていた。また、保育の内容にも優子さんは疑問を持った。優子さんが以前に働いていた保育園では園児の歯磨きを2歳からしていたが、A保育園では副園長が「危ない」といって4歳からしか歯磨きをさせなかった。お散歩も「危ない」といって、100メートル先の公園にしか行ってはいけない“禁止保育”状態。優子さんら保育士は「安全に配慮することを前提に、少しの怪我をしながら学ばないと本当の危険を避けられなくなる」と、嫌気がさしていた。パワハラで現場は限界に…新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
ちなみに認可保育園には、玩具や絵本などを購入するための保育材料費が公費で出ている。2021年度の場合、3歳児未満では園児一人当たり月3027円、3歳児以上で同1818円となっている(内閣府「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」から計算)。にもかかわらず、A保育園では副園長が保育材料の購入を拒否し続けていた。また、保育の内容にも優子さんは疑問を持った。優子さんが以前に働いていた保育園では園児の歯磨きを2歳からしていたが、A保育園では副園長が「危ない」といって4歳からしか歯磨きをさせなかった。お散歩も「危ない」といって、100メートル先の公園にしか行ってはいけない“禁止保育”状態。優子さんら保育士は「安全に配慮することを前提に、少しの怪我をしながら学ばないと本当の危険を避けられなくなる」と、嫌気がさしていた。パワハラで現場は限界に…新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
ちなみに認可保育園には、玩具や絵本などを購入するための保育材料費が公費で出ている。2021年度の場合、3歳児未満では園児一人当たり月3027円、3歳児以上で同1818円となっている(内閣府「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」から計算)。にもかかわらず、A保育園では副園長が保育材料の購入を拒否し続けていた。また、保育の内容にも優子さんは疑問を持った。優子さんが以前に働いていた保育園では園児の歯磨きを2歳からしていたが、A保育園では副園長が「危ない」といって4歳からしか歯磨きをさせなかった。お散歩も「危ない」といって、100メートル先の公園にしか行ってはいけない“禁止保育”状態。優子さんら保育士は「安全に配慮することを前提に、少しの怪我をしながら学ばないと本当の危険を避けられなくなる」と、嫌気がさしていた。パワハラで現場は限界に…新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
また、保育の内容にも優子さんは疑問を持った。優子さんが以前に働いていた保育園では園児の歯磨きを2歳からしていたが、A保育園では副園長が「危ない」といって4歳からしか歯磨きをさせなかった。お散歩も「危ない」といって、100メートル先の公園にしか行ってはいけない“禁止保育”状態。優子さんら保育士は「安全に配慮することを前提に、少しの怪我をしながら学ばないと本当の危険を避けられなくなる」と、嫌気がさしていた。パワハラで現場は限界に…新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
新型コロナウイルスの感染拡大のなか、毎年恒例の5歳児クラスのお泊り保育は中止となったが、優子さんら保育士はせめて何かできないかと感染予防に配慮しつつ、夜の1~2時間を使ってのお祭り行事を計画した。園長の許可も得て保護者にお知らせした直後、副園長の「ダメ!中止!」という鶴の一声でお祭りはできなくなった。A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
A保育園以外で働いたことのない保育士は、そうした状況に何の疑問も感じていないようだった。何歳でどう育ってほしいという意識も計画もないまま、預かるだけの保育。例えば1歳児頃からトイレに行きたい感覚を身につけオムツからパンツに移行していく、衣服の着脱が一人で出来るように促していく。そうした基本中の基本がA保育園にない。優子さんは、「もっと子どもの力が伸びる保育がしたい」というジレンマを抱えた。 良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
良い保育ができないという悩みがもともとあったなかで、保育士へのパワハラが起こったことで現場は限界に。それでも、年度途中に辞めてしまえば、次に見つかるのは同じようにブラック職場で離職があったような“事故物件”でブラック経営の保育園しかないだろうと考え踏みとどまっていた。しかし、優子さんは、じきに副園長が園長に昇格すると聞きつけ、「それでは、もう、やっていけない」と、退職を決意したのだった。優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
優子さんと同僚とで退職の意向を副園長に伝えると、副園長は「退職届けは勤務中には受け取らない」と言い放った。副園長が出勤するのは昼から2時間程度。退職届けを受け取らないという意思表示だった。このままでは辞められないと、2月末に強引に退職届けを提出。退職者が続出したことで副園長は「あんたたち、ふざけないで。もし一斉退職で閉園にでもなってマスコミ報道されたら、『私たちのせいで閉園になった』と言いなさい」と言い出す始末だった。優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
優子さんたち保育士は辞める日のギリギリまで保護者に退職について知らせてはいけないと、副園長から命じられていた。3月最後の週になってはじめて退職者リストが1日だけ掲示され、保護者の知るところとなった。担任も決まらないままスタートA保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
A保育園は人材会社に依頼して必要な保育士の人数は揃えたものの、保護者は騒然とした。A保育園に子どもを預けているある父親は、「4月は担任も決まらないままのスタート。不信感と不安で、転園したいと考えています。近隣の保育園には空きがないので、妻が仕事を辞めて幼稚園に通うことも想定しなければなりません。早く安全な園に子どもを移したいです」と困惑している。A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
A保育園では「待遇に不満があった保育士はいない」(優子さん)というが、一斉退職に至る経緯に賃金未払いなど処遇の悪さが理由になるケースは決して少なくない。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業補償を適切にしない事業者が散見され、大問題になった。 2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
2020年3月は小学校などが全国一斉で休校になった。続く4月に発令された緊急事態宣言下では、自治体ごとの判断で保育園は臨時休園あるいは利用の自粛要請がかけられた。登園する園児が大幅に減ったことで保育士には自宅待機や休業を命じられるケースが増えた。国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
国は同年2月という早い段階から保育士自身が感染するなどして休業するケースを想定。認可保育園などに給付される運営費について、コロナの影響があったとしても通常どおり給付することを決め、人件費も通常どおり支払うものと周知していた。収入が減って保育士が辞めることなく、コロナ後にも保育体制を維持できるようにするための対策だった。人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
人件費を含む運営費がコロナ前と変わらず入り、出勤する保育士は減る。そこに目をつけたのが、ブラック保育園だ。休業させた保育士の賃金補償をしない、あるいは補償を最低限にすることで人件費を浮かせて利益を出そうという経営者が多く現れた。埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
埼玉県の認可保育園、B保育園では、非正規雇用の保育士や無資格の保育補助者を中心に「非正規はシフトに入れるな」という経営者の大号令がかかり、非正規の保育者はシフトから外され賃金が支払われなかった。正職員でも出勤しなかった日は無賃、あるいは労働基準法を根拠に6割補償しかしないという事態に陥った。一方の経営者は高級外車に乗り、日頃から保育士たちからの不信感が募っていた。日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
日常的なパワハラも起こっていた。本社の経営陣にとって都合が悪い人材には異動が命じられる、降格人事を行う。保育士は本来守られるはずの満額の休業補償すらされない。B保育園も前述したA保育園と同様、園児にかけるべき玩具代や給食材料費までコストカットされ、保育士たちが我慢の限界にきていた。それに異を唱えた園長が退職勧奨を受け、保育士たちが「もう、ここにいても未来はない」と一斉退職に踏み切った。一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
一斉退職の背景には、「良い保育ができない」という保育士たちの憤りがある。ただ、保育士が一斉退職したとしても、人材紹介会社に紹介料を払い必要な保育士数を満たせば法令違反にはならず、行政からの”お咎めなし”となってしまう。ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
ある自治体の監査部門の責任者は「私立の保育園はあくまで民間の事業者が運営するため、人事に口を挟めない。行政が指導や監査できることは限られてしまう。今やどこも離職が激しく、一つの保育園で4~5人辞めたとしても誰も驚かない。保育士が一斉退職すればニュースになるから、保護者もブラック保育園と気づいてくれるのではないか」と手をこまねいている。待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
待機児童の受け皿整備で私立の保育園が急増するなか、「保育は儲かるビジネス」といって保育士や園児の環境を劣悪にしてまでも利益を出そうとするブラック保育園が紛れ込んでいるのは事実だ。A保育園の保護者は、「保育園の経営者や園長に資質がない場合、どうしたらいいのでしょうか。保育士が大量退職したような場合、民間のことと言わず自治体が人事や経営にも介入してほしい」と語った。保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。
保育士が職場に定着するかどうかは、子どもの安全に直結する。保育士の一斉退職が起こるのには、それなりの理由があるはずだ。そもそも認可保育園は児童福祉法に基づいて設置され、その運営費は税金と保護者が支払う保育料で賄われているのだから、事業者に対する行政の監督権限を見直し、強化すべき時が来ているのではないだろうか。