その店、本当に専門店?=幽霊レストラン、コロナで拡大―「実態と乖離も」識者警鐘

コロナ禍に苦しむ飲食業界で「ゴーストレストラン」と呼ばれる宅配専門店が増えている。
店側は接客のコストを節約でき、利用客も「密」を避けてプロの料理が楽しめるのが特長だ。ただ、中には一つの店がインターネット上で多数の「専門店」を名乗っているケースもあり、専門家は「専門店の料理が届くと信じた客を欺くことになる」と警鐘を鳴らしている。
「配達員の方へ、上記店舗はココです」。東京都杉並区のある居酒屋の店先には、25もの店名がずらりと掲示されていた。居酒屋は休業中だが、宅配代行サービスのアプリには唐揚げ、丼、ハンバーグなどの「専門店」として掲載され、注文を受け付けている。25店分の注文をさばくため、店には配達員が忙しく出入りしていたが、直営する港区の会社は「取材には一切お答えできない」と回答した。
配達員の経験があり、新宿区で和食料理店を営む佐藤知英子さん(46)は「居酒屋が本来の店名で出店しても注文は来ない。人気店としてアプリの上位に掲載されるには、専門店を名乗って食い付いてもらう必要があるのだろう」と分析する。以前配達に訪れたゴーストレストランの中には、雑居ビルの一室でたばこを吸いながら調理している店もあったといい、「経営者としては店側の事情も分かるが、料金と釣り合わない料理を提供している店もあると感じた」と語った。
亜細亜大の横川潤教授(外食産業論)は「利用者は専門店と聞くとイメージが底上げされる。一部の店で表示と実態が乖離(かいり)しているのは間違いない」と指摘。さまざまな料理を扱う店が「専門店」を名乗ると、食品アレルギーを持つ人が誤って注文してしまうケースも懸念されると述べ、「店側にはモラルが求められるが、アプリを運営する宅配代行業者側にも、掲載時に調理の実態をチェックする社会的責任があるのではないか」と語った。