転職社員がデータ漏洩… ソフトバンクが楽天モバイル提訴で「10億円請求」の不可解

ソフトバンク(以下=SB)が産声を上げたのは1981年9月、博多駅を南に6キロ下った雑餉隈(ざっしょのくま)というレトロな商店街の一角だったという。先月の決算発表会で、当時の事務所近くの踏み切りの写真を紹介しながら、孫正義会長(63)はしみじみと原風景を振り返ってみせた。
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以来40年──。目下、孫会長率いるSBは絶頂期を迎えていると言って差し支えなかろう。2021年3月期の純利益は4兆9900億円に達し、これは3年前にトヨタ自動車が記録した2兆4939億円を抜き、国内企業のレコードである。孫会長自身、もはや立志伝中の人物というレベルを超えた成功者となり、発言力も日本の政治家を遥かに凌いでいる。5月22日にTwitterで「今、国民の8割以上が延期か中止を希望しているオリンピック。誰が何の権利で強行するのだろうか」と呟いたことが、各紙の紙面を賑わせたことからも明らかだ。
だが、古来より「好事魔多し」という。
「順風満帆に見えるSBにアキレス腱があるとすれば、ライバル企業、楽天モバイルとの裁判ではないでしょうか」
と話すのは、大手紙の警視庁担当記者である。
「5月6日、SBが楽天モバイルを相手に、10億円の損害賠償の訴訟を起こしたことがニュースになりました。SBから楽天モバイルに転職し逮捕された40代の技術者による、データの不正持ち出し事件の関連です。SB側は1000億円の損害賠償請求権があると主張し、そのうちの10億円分の支払いを求めています。しかし実のところ、本当にそんな巨額の被害があったのかというと、少しハッタリが過ぎるというのが、現在の警視庁当局の見立てなのです」
簡単に事件を振り返っておくと、2019年12月いっぱいでSBを退職した携帯電話基地局設置の技術者が、楽天モバイルに入社したのは翌年1月。彼は退職する前、業務で使用していた複数のデータを自分の私的なGメールに送付し、退職後にもSBのサーバーにアクセスしていた。 これに気づいたSBは調査を行い警視庁に告訴。その結果、2020年8月、楽天モバイルなどに家宅捜索が行われ、技術者のPCが押収された。驚いた楽天モバイルは、社内サーバーに残っていた技術者のファイル数千点を、警視庁とSBに開示したという。その中には確かに、彼がSBから持ち出したNTTの光ファイバーの位置データや電柱情報が含まれていたのである。警視庁担当記者が続ける。「しかし困ったことに、そのデータには特別の価値がないことがわかってきました。具体的に言うと、光ファイバーの位置情報というのは、携帯電話会社であればNTTから無料で提供を受けることができるデータ。もう一つの電柱位置に関しても、NTT東日本分が100万円、西日本分が100万円、2つを合わせても200万円程度の価値に過ぎません。また、どちらのデータについても、すでに楽天モバイルが正規ルートで入手していたため、特に組織として必要としていなかったことが判明したのです」 そもそも楽天モバイルの直属の上司は、この技術者がSBのデータを持っていたことも寝耳に水。当初は組織ぐるみの悪質な産業スパイ事件ではないかと意気込んでいた、SBや警視庁の目論見は大きく外れてしまったのだという。役に立たないデータ 見込み違いだったことは、被疑者の逮捕後の取り扱いからも透けて見える。 問題の技術者は、家宅捜索から5カ月後の今年1月12日に逮捕され、23日後の2月4日に保釈されている。「警察に逮捕された被疑者は2日後に送検されます。そして検察の聴取を1日受け、その翌日から通常は10日間のサイクルを2回勾留されて起訴になります。つまり合計23日の間、勾留される計算。その後、立場が被疑者から被告人に代わり、罪が重い場合や証拠隠滅の恐れがあるケースでは、被告人勾留となって表に出られませんが、今回はすんなりと保釈されています。もし10億円を盗んだ泥棒だったら、こんなに簡単に釈放されませんよね」(同) つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
これに気づいたSBは調査を行い警視庁に告訴。その結果、2020年8月、楽天モバイルなどに家宅捜索が行われ、技術者のPCが押収された。驚いた楽天モバイルは、社内サーバーに残っていた技術者のファイル数千点を、警視庁とSBに開示したという。その中には確かに、彼がSBから持ち出したNTTの光ファイバーの位置データや電柱情報が含まれていたのである。警視庁担当記者が続ける。「しかし困ったことに、そのデータには特別の価値がないことがわかってきました。具体的に言うと、光ファイバーの位置情報というのは、携帯電話会社であればNTTから無料で提供を受けることができるデータ。もう一つの電柱位置に関しても、NTT東日本分が100万円、西日本分が100万円、2つを合わせても200万円程度の価値に過ぎません。また、どちらのデータについても、すでに楽天モバイルが正規ルートで入手していたため、特に組織として必要としていなかったことが判明したのです」 そもそも楽天モバイルの直属の上司は、この技術者がSBのデータを持っていたことも寝耳に水。当初は組織ぐるみの悪質な産業スパイ事件ではないかと意気込んでいた、SBや警視庁の目論見は大きく外れてしまったのだという。役に立たないデータ 見込み違いだったことは、被疑者の逮捕後の取り扱いからも透けて見える。 問題の技術者は、家宅捜索から5カ月後の今年1月12日に逮捕され、23日後の2月4日に保釈されている。「警察に逮捕された被疑者は2日後に送検されます。そして検察の聴取を1日受け、その翌日から通常は10日間のサイクルを2回勾留されて起訴になります。つまり合計23日の間、勾留される計算。その後、立場が被疑者から被告人に代わり、罪が重い場合や証拠隠滅の恐れがあるケースでは、被告人勾留となって表に出られませんが、今回はすんなりと保釈されています。もし10億円を盗んだ泥棒だったら、こんなに簡単に釈放されませんよね」(同) つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
「しかし困ったことに、そのデータには特別の価値がないことがわかってきました。具体的に言うと、光ファイバーの位置情報というのは、携帯電話会社であればNTTから無料で提供を受けることができるデータ。もう一つの電柱位置に関しても、NTT東日本分が100万円、西日本分が100万円、2つを合わせても200万円程度の価値に過ぎません。また、どちらのデータについても、すでに楽天モバイルが正規ルートで入手していたため、特に組織として必要としていなかったことが判明したのです」 そもそも楽天モバイルの直属の上司は、この技術者がSBのデータを持っていたことも寝耳に水。当初は組織ぐるみの悪質な産業スパイ事件ではないかと意気込んでいた、SBや警視庁の目論見は大きく外れてしまったのだという。役に立たないデータ 見込み違いだったことは、被疑者の逮捕後の取り扱いからも透けて見える。 問題の技術者は、家宅捜索から5カ月後の今年1月12日に逮捕され、23日後の2月4日に保釈されている。「警察に逮捕された被疑者は2日後に送検されます。そして検察の聴取を1日受け、その翌日から通常は10日間のサイクルを2回勾留されて起訴になります。つまり合計23日の間、勾留される計算。その後、立場が被疑者から被告人に代わり、罪が重い場合や証拠隠滅の恐れがあるケースでは、被告人勾留となって表に出られませんが、今回はすんなりと保釈されています。もし10億円を盗んだ泥棒だったら、こんなに簡単に釈放されませんよね」(同) つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
そもそも楽天モバイルの直属の上司は、この技術者がSBのデータを持っていたことも寝耳に水。当初は組織ぐるみの悪質な産業スパイ事件ではないかと意気込んでいた、SBや警視庁の目論見は大きく外れてしまったのだという。役に立たないデータ 見込み違いだったことは、被疑者の逮捕後の取り扱いからも透けて見える。 問題の技術者は、家宅捜索から5カ月後の今年1月12日に逮捕され、23日後の2月4日に保釈されている。「警察に逮捕された被疑者は2日後に送検されます。そして検察の聴取を1日受け、その翌日から通常は10日間のサイクルを2回勾留されて起訴になります。つまり合計23日の間、勾留される計算。その後、立場が被疑者から被告人に代わり、罪が重い場合や証拠隠滅の恐れがあるケースでは、被告人勾留となって表に出られませんが、今回はすんなりと保釈されています。もし10億円を盗んだ泥棒だったら、こんなに簡単に釈放されませんよね」(同) つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
見込み違いだったことは、被疑者の逮捕後の取り扱いからも透けて見える。 問題の技術者は、家宅捜索から5カ月後の今年1月12日に逮捕され、23日後の2月4日に保釈されている。「警察に逮捕された被疑者は2日後に送検されます。そして検察の聴取を1日受け、その翌日から通常は10日間のサイクルを2回勾留されて起訴になります。つまり合計23日の間、勾留される計算。その後、立場が被疑者から被告人に代わり、罪が重い場合や証拠隠滅の恐れがあるケースでは、被告人勾留となって表に出られませんが、今回はすんなりと保釈されています。もし10億円を盗んだ泥棒だったら、こんなに簡単に釈放されませんよね」(同) つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
問題の技術者は、家宅捜索から5カ月後の今年1月12日に逮捕され、23日後の2月4日に保釈されている。「警察に逮捕された被疑者は2日後に送検されます。そして検察の聴取を1日受け、その翌日から通常は10日間のサイクルを2回勾留されて起訴になります。つまり合計23日の間、勾留される計算。その後、立場が被疑者から被告人に代わり、罪が重い場合や証拠隠滅の恐れがあるケースでは、被告人勾留となって表に出られませんが、今回はすんなりと保釈されています。もし10億円を盗んだ泥棒だったら、こんなに簡単に釈放されませんよね」(同) つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
「警察に逮捕された被疑者は2日後に送検されます。そして検察の聴取を1日受け、その翌日から通常は10日間のサイクルを2回勾留されて起訴になります。つまり合計23日の間、勾留される計算。その後、立場が被疑者から被告人に代わり、罪が重い場合や証拠隠滅の恐れがあるケースでは、被告人勾留となって表に出られませんが、今回はすんなりと保釈されています。もし10億円を盗んだ泥棒だったら、こんなに簡単に釈放されませんよね」(同) つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
つまり、転職した技術者が不正にSBのデータを持ち出した事実は間違いなかったものの、どうやら実態として大きな被害があったとは見なされなかったわけだ。 携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
携帯電話の事情に詳しい業界誌記者が解説する。「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
「どこの電柱にSBのアンテナが設置されているのかという情報を、楽天が欲しがったのではないかとも疑われたのですが、専門家に聞くと、それはないだろうという返事でした。というのも、SBと楽天では割り当てられた周波数が全く別。わかりやすく言えば、SBの電波のほうが届きやすい。だからアンテナ設置のメソッドを真似しても意味がないそうなのです」 価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
価値もなく、意味もなく、ただただ厄介なデータを知らずに持ち込まれたとすれば、楽天は貰い事故と泣くしかない。捜査関係者が言う。「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
「なぜそんな役にも立たないデータを持ち出したのかが疑問ですが、被疑者はこんな大事になるとは思わず、ほんの軽い気持ちだったようです。彼は川崎の高校を卒業した後、コーヒーメーカーや郵便局、通信工事会社などに勤めた後、2004年ごろ、ソフトバンクに入社しました。コンピューターの専門家でもなく、現場でスキルを身に着けたタイプ。だからデータを取った時も、自分が普段使っているGメールアドレスに送っているくらいで、隠そうという意図もなかったようです」 軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
軽率な行動が予想もしない災いを招いてしまう典型パターンだが、そんなお粗末な内情がSBと楽天、警視庁という三者の間で共有された矢先、10億円訴訟のニュースが飛び出し、警視庁も楽天も腰を抜かしたのである。 裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
裁判所担当デスクも驚いたという。「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
「実は楽天モバイル側とSBは東京地裁の仲介により、3月半ばに和解の審尋調書を作成しています。これはSBが楽天に対し、取られたデータの利用停止を求める仮処分命令申立てを行ったことに対応した和解です。今後お互いに誹謗中傷、名誉棄損、業務妨害に当たる言動を行わないという一項目が入っていて、一般的には手打ちが行われたと見なされていました。不思議なのは、1000億円の請求権があるのに10億円を請求するという訴訟の手法で、これは極めて珍しい。おそらく、裁判を起こす時の申立手数料が、請求額1000億円の場合は1億602万円掛かるのに比べ、10億円の場合は302万円で済むという現実的な費用が関係しているのでしょうが……」 だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
だが、本当に実質的な損害が生じていなかったとすれば、10億円訴訟の見通しはSBにとって決して明るいものではない。先制攻撃を仕掛けたはいいが、法廷の場で楽天モバイルから反撃を受け、損害を実証できなければ、被害者の顔をして法外な請求を行うボッタクリ企業の汚名を着せられかねない。デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
デイリー新潮取材班2021年6月1日 掲載
2021年6月1日 掲載