瀬戸内海、きれいすぎて栄養不足 生活排水など規制緩和

ノリの養殖などに必要な栄養分を増やすため、工場や家庭からの排水規制を緩和する改正瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)が3日、国会で可決、成立した。
これまで汚染物質である栄養塩(窒素、リン)の排出を減らしてきたが、海水がきれいになりすぎて生き物の栄養が不足してきたため、管理しながら流せるよう方針転換する。
同法は、1960~70年代の高度経済成長期に増えた工場・生活排水による汚染を減らすため、栄養塩などの排出総量に上限を設けて規制してきた。その結果、水質は一部の海域を除いて大幅に改善したが、近年は栄養塩で育つ養殖ノリやワカメの色落ちが目立つようになった。水温上昇で、栄養塩をたくさん吸収する大型の植物プランクトンが増え、競合していることも一因とされる。
改正法は、栄養塩を排出の総量規制の対象から外し、特定の海域ごとに管理しながら海に流せるようにする。瀬戸内海に面する府県が、周辺自治体の意見を聴きながら、環境基準の範囲内で水質の目標値や測定方法などを定める。今も栄養塩が多く赤潮が起きる海域もあるため、定期的に水質を調べ、問題があれば計画を見直す。
さらに、自然の海浜が減っていることから、海水浴や潮干狩りなどで利用しながら環境を保全する「自然海浜保全地区」に、藻場や干潟を再生したり、作ったりした場所も指定できるようにする。(川田俊男)