「世界初」に期待高まる=エーザイのアルツハイマー薬―効果に疑問も

【ニューヨーク時事】米食品医薬品局(FDA)が承認したエーザイと米企業バイオジェンによるアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」。
病気の原因とみられる物質に直接作用する世界初の治療薬に期待が高まる半面、有効性をめぐっては懐疑的な見方も出ている。
「わが社にとっての転換点だ」。バイオジェンのボナッソス最高経営責任者(CEO)は承認から一夜明けた8日のオンライン会見で喜びをあらわにした。同氏は、アルツハイマー病が、患者本人や家族に甚大な影響を及ぼす病気だと強調。2週間程度で同薬の出荷を始めるとの見通しを示した。
既存の薬が病気の症状を一時的に抑えるのみにとどまる一方、同薬は、原因物質とみられる「アミロイドβ(ベータ)」を取り除く働きをするため、認知機能の低下をより長期間抑えることができると期待されている。FDAもこの点に着目し、優先審査の対象に指定していた同薬の承認を決めた。
ただ、途中で打ち切られた2種類の最終段階の臨床試験(治験)では、一方で患者の認知機能の低下を抑える効果が示されたが、他方では効果が確認できなかった。このため、専門家でつくるFDAの諮問委員会は昨秋、有効性の確認が不十分だと指摘していた。また、脳のむくみや頭痛などの副作用も一部で起き、「使用の利点がリスクを上回るとは言えない」(米調査団体)との声も出ている。
FDAは「承認すべきか否かについて、かなりの論争が起きた」と説明した。しかし、米国内の患者が600万人を超え、高齢化に伴い患者数の増加が見込まれる中で、治療薬の必要性が副作用などのリスクを上回ると判断した。同薬については今後、追加の治験を通じ、有効性を改めて確認する見通しだ。