夫を返して…ひき逃げ死公判、涙の陳述 被告「誰でもよかった」

「大切な主人を返して。子どもたちに父親を返して。孫たちにじいじを返して……」。福島県三春町の路上で昨年5月、清掃ボランティアをしていた男女2人がトラックにはねられ死亡した事件で、殺人罪などに問われた住居不定、無職、盛藤(もりとう)吉高被告(51)の裁判員裁判が9日、福島地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)であり、遺族が悲痛な思いを語った。【肥沼直寛】
「鬼になるしか」 池袋暴走事故遺族の真意
亡くなった同町の会社員、橋本茂さん(当時55歳)の妻は証言台に立ち「夫は定年後、畑を借りたり、私と共通の趣味の写真を撮ったり、自分の夢をかなえようとしていた」と声を震わせた。長男も出廷し、その後ろ姿をじっとみつめていた。
橋本さんの妻と長男は、7日の初公判から出廷し続けた。被告が「(トラックで)はねるのは誰でもよかった」などと動機を語ると、妻は涙をぬぐった。
この日の公判では、橋本さんが亡くなってから公的書類に「令和2年5月31日、三春町山田の国道288号でトラックにはねられ死亡」と何度も書いたことを明かした。「そのたびに思い出したくもない記憶を思い出した」。被告に厳罰を求める嘆願書には約1万4300人の署名が集まったことにも触れ、「主人を返して」などと訴え、「刑期を終えたら必ず同じことを繰り返す。突然命を絶たれた被害者と遺族の心情を考慮して厳格な判断を」と涙を流した。
同町の会社員、三瓶美保さん(同52歳)の弟の意見陳述書は検察官が代読した。「今も道路を走っているトラックを見ると恐ろしくなる。被告は自分勝手な思いと行動で無関係な2人を殺害した。(嘆願書に記された)民意が反映された判決を求める」とつづった。 起訴状などによると、被告は知人のトラック(約2・5トン)を盗んで無免許で運転し、三春町の国道で2人をみつけた後、Uターンして時速60~70キロまで加速してはねて殺害し、逃走したとされる。
起訴状などによると、被告は知人のトラック(約2・5トン)を盗んで無免許で運転し、三春町の国道で2人をみつけた後、Uターンして時速60~70キロまで加速してはねて殺害し、逃走したとされる。