未解決事件「どんなささいな情報でも提供を」 夫殺された妻の15年

福岡市南区の松口嘉代子さん(50)は、梅雨の時期になると心が曇る。夫弘員(ひろかず)さん(当時33歳)を奪われた日が近づくからだ。女手一つで娘2人を育てたが、ふとした時に頭の中はいつも「あの日」に引き戻されてきた。弘員さんは同市早良(さわら)区野芥(のけ)の路上で何者かに殺害された。事件は未解決のまま15日で15年となる。
血痕が物語った娘の「生きたい」 両親が歩んだ20年
「刺された。駐車場に来て」。2006年6月15日夜、松口さんは弘員さんからの電話に耳を疑った。弘員さんが経営する中古車販売店でともに働き、その日は早めに店を出て買い物をし、7歳と4歳の娘2人と帰宅途中だった。「何の冗談やろ」。いつもの駐車場に向かうと、近くで倒れている弘員さんが手を上げて居場所を知らせていた。駆け寄ると、弘員さんは背中を指した。服が血で染まっていた。「苦しい」。そう言い残し、搬送先の病院で亡くなった。
気が動転する中、警察からは「殺人事件として捜査します」と告げられた。弘員さんの所持品は奪われておらず、第一発見者だった松口さんも疑われた。葬儀の準備などに追われ、夫が殺害された実感が湧かぬまま、しばらくは眠れない日々が続いた。
2歳年下の弘員さんは口数こそ少なかったものの、仕事好きで、客との接し方も柔和だった。事件直前、松口さんのエステサロンを併設したマイホームを建てる夢を語っていた。自身の疑いは晴れても、夫が事件に巻き込まれるような心当たりは浮かばなかった。
中古車販売店は引き継いだが、1年後に清算した。元々勉強していた女性向けのエステサロンで昼間は仕事をし、夜もアルバイトをしながら働きづめの日々を送った。家では疲れた顔を見せたくなかったが、娘たちに「私たちがいるからいけないんでしょう」と言われたこともある。 幼かった娘たちは、母親を気遣い、父親がいない寂しさをほとんど口にしなかった。それでも、時折、長女が漏らす言葉にハッとした。「お父さんに絵や字を教えてもらったから上手になった」。長女が成人して親元を離れたり、次女が就職したりした時などの節目には必ず、位牌(いはい)の前で「2人を守ってあげて」と手を合わせてきた。 事件当時、黒っぽい服装をした身長170~180センチほどの30歳くらいの男性が現場から逃走する様子が目撃されている。福岡県警早良署に設置された捜査本部では、弘員さんの交友関係を中心に捜査し、その対象を広げてきた。現場近くでチラシを配るなど、これまでに延べ約5万8000人の捜査員を動員したが、容疑者逮捕に至っていない。 松口さんも事件1年後に解決に結びつく有力な情報の提供者に報奨金を支払うため、知人らと「捜査に協力する会」を発足させた。そのころは取材に応じたが、自宅に報道陣が殺到し、幼かった娘2人への影響も気になって応じなくなった。 事件から4年後の10年には殺人など凶悪犯罪の公訴時効が廃止され、捜査が終結することはない。だが、夢の中に現れた弘員さんは何も語ってくれなかった。「どんなささいなことでもいい。情報提供してもらい、事件の解決につなげてほしい」。娘たちが大きくなったこともあり、今回取材に応じた理由をそう語る。 15年間、気持ちを支えてくれたのは、毎年命日前後に墓参してくれる弘員さんの友人や仕事仲間の存在もある。今でも変わらぬ関係に、慕われていた夫の人柄をかみしめる。「夫のことは忘れたことはない」。いつも変わらない笑顔を見せてくれる弘員さんの遺影を持つ手に、力が入った。 情報提供は県警早良署捜査本部(092・847・0110)へ。【浅野孝仁、佐藤緑平】時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
幼かった娘たちは、母親を気遣い、父親がいない寂しさをほとんど口にしなかった。それでも、時折、長女が漏らす言葉にハッとした。「お父さんに絵や字を教えてもらったから上手になった」。長女が成人して親元を離れたり、次女が就職したりした時などの節目には必ず、位牌(いはい)の前で「2人を守ってあげて」と手を合わせてきた。 事件当時、黒っぽい服装をした身長170~180センチほどの30歳くらいの男性が現場から逃走する様子が目撃されている。福岡県警早良署に設置された捜査本部では、弘員さんの交友関係を中心に捜査し、その対象を広げてきた。現場近くでチラシを配るなど、これまでに延べ約5万8000人の捜査員を動員したが、容疑者逮捕に至っていない。 松口さんも事件1年後に解決に結びつく有力な情報の提供者に報奨金を支払うため、知人らと「捜査に協力する会」を発足させた。そのころは取材に応じたが、自宅に報道陣が殺到し、幼かった娘2人への影響も気になって応じなくなった。 事件から4年後の10年には殺人など凶悪犯罪の公訴時効が廃止され、捜査が終結することはない。だが、夢の中に現れた弘員さんは何も語ってくれなかった。「どんなささいなことでもいい。情報提供してもらい、事件の解決につなげてほしい」。娘たちが大きくなったこともあり、今回取材に応じた理由をそう語る。 15年間、気持ちを支えてくれたのは、毎年命日前後に墓参してくれる弘員さんの友人や仕事仲間の存在もある。今でも変わらぬ関係に、慕われていた夫の人柄をかみしめる。「夫のことは忘れたことはない」。いつも変わらない笑顔を見せてくれる弘員さんの遺影を持つ手に、力が入った。 情報提供は県警早良署捜査本部(092・847・0110)へ。【浅野孝仁、佐藤緑平】時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
事件当時、黒っぽい服装をした身長170~180センチほどの30歳くらいの男性が現場から逃走する様子が目撃されている。福岡県警早良署に設置された捜査本部では、弘員さんの交友関係を中心に捜査し、その対象を広げてきた。現場近くでチラシを配るなど、これまでに延べ約5万8000人の捜査員を動員したが、容疑者逮捕に至っていない。 松口さんも事件1年後に解決に結びつく有力な情報の提供者に報奨金を支払うため、知人らと「捜査に協力する会」を発足させた。そのころは取材に応じたが、自宅に報道陣が殺到し、幼かった娘2人への影響も気になって応じなくなった。 事件から4年後の10年には殺人など凶悪犯罪の公訴時効が廃止され、捜査が終結することはない。だが、夢の中に現れた弘員さんは何も語ってくれなかった。「どんなささいなことでもいい。情報提供してもらい、事件の解決につなげてほしい」。娘たちが大きくなったこともあり、今回取材に応じた理由をそう語る。 15年間、気持ちを支えてくれたのは、毎年命日前後に墓参してくれる弘員さんの友人や仕事仲間の存在もある。今でも変わらぬ関係に、慕われていた夫の人柄をかみしめる。「夫のことは忘れたことはない」。いつも変わらない笑顔を見せてくれる弘員さんの遺影を持つ手に、力が入った。 情報提供は県警早良署捜査本部(092・847・0110)へ。【浅野孝仁、佐藤緑平】時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
松口さんも事件1年後に解決に結びつく有力な情報の提供者に報奨金を支払うため、知人らと「捜査に協力する会」を発足させた。そのころは取材に応じたが、自宅に報道陣が殺到し、幼かった娘2人への影響も気になって応じなくなった。 事件から4年後の10年には殺人など凶悪犯罪の公訴時効が廃止され、捜査が終結することはない。だが、夢の中に現れた弘員さんは何も語ってくれなかった。「どんなささいなことでもいい。情報提供してもらい、事件の解決につなげてほしい」。娘たちが大きくなったこともあり、今回取材に応じた理由をそう語る。 15年間、気持ちを支えてくれたのは、毎年命日前後に墓参してくれる弘員さんの友人や仕事仲間の存在もある。今でも変わらぬ関係に、慕われていた夫の人柄をかみしめる。「夫のことは忘れたことはない」。いつも変わらない笑顔を見せてくれる弘員さんの遺影を持つ手に、力が入った。 情報提供は県警早良署捜査本部(092・847・0110)へ。【浅野孝仁、佐藤緑平】時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
事件から4年後の10年には殺人など凶悪犯罪の公訴時効が廃止され、捜査が終結することはない。だが、夢の中に現れた弘員さんは何も語ってくれなかった。「どんなささいなことでもいい。情報提供してもらい、事件の解決につなげてほしい」。娘たちが大きくなったこともあり、今回取材に応じた理由をそう語る。 15年間、気持ちを支えてくれたのは、毎年命日前後に墓参してくれる弘員さんの友人や仕事仲間の存在もある。今でも変わらぬ関係に、慕われていた夫の人柄をかみしめる。「夫のことは忘れたことはない」。いつも変わらない笑顔を見せてくれる弘員さんの遺影を持つ手に、力が入った。 情報提供は県警早良署捜査本部(092・847・0110)へ。【浅野孝仁、佐藤緑平】時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
15年間、気持ちを支えてくれたのは、毎年命日前後に墓参してくれる弘員さんの友人や仕事仲間の存在もある。今でも変わらぬ関係に、慕われていた夫の人柄をかみしめる。「夫のことは忘れたことはない」。いつも変わらない笑顔を見せてくれる弘員さんの遺影を持つ手に、力が入った。 情報提供は県警早良署捜査本部(092・847・0110)へ。【浅野孝仁、佐藤緑平】時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
情報提供は県警早良署捜査本部(092・847・0110)へ。【浅野孝仁、佐藤緑平】時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
時効撤廃も捜査長期化で解決難しく 殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
殺人や強盗殺人など法定刑の上限が死刑に当たる12の罪は2010年4月の改正刑事訴訟法で公訴時効が撤廃された。 警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
警察庁によると、殺人や強盗殺人など殺人が絡む事件で捜査本部が設置され時効撤廃の対象となった事件のうち、21年5月末時点で未解決となっている事件は386件ある。そのうち事件の発覚から15年以上が経過している事件は286件で7割超を占めており、捜査が長期化するほど解決が難しくなっている実態が数字からも浮かび上がった。 事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
事件が解決せずに無念さがぬぐえない遺族が相当数いる実態をどう解決すればいいのか。椎橋隆幸・中央大名誉教授(刑事訴訟法)は「時間の経過によって遺族の処罰感情が薄れることはなく、加害者の逃げ得を許さない意味で法改正の意義はあった」としつつ「科学技術の進展に伴い、時間が経過しても解決に導くケースも出てきている。そのため、これまで以上に初動捜査による証拠の収集が事件の解決において大事になる」と話す。 常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】
常磐大元学長の諸沢英道さん(刑事法)は、その証拠保全に向けた課題を指摘する。「日本では捜査で得られた証拠の保全が現場任せだ。英米などでは、裁判所で証拠保全の手続きをして、長期捜査後の裁判でも使えるようにしている。時効撤廃で捜査が長期化する可能性を考えると、証拠保全のための制度を検討すべきで、議論が必要だ」と語った。【町田徳丈、浅野孝仁、飯田憲】