「呼んでも声が返ってこない」妻が自宅ごと流され 熱海で土石流

静岡県熱海市伊豆山の造園業、田中公一さん(71)は3日夜、高台の駐車場から自宅の方をじっと見つめた。妻路子さん(70)が自宅ごと流され、安否不明という。自身は妻の友人の安否を確認するため家を出ていて無事だったが、妻は流される直前、知人に「(崩れた家の中で)挟まっている」と助けを求め続けていた。
【写真】土砂にのみ込まれた車両、標識…消えた日常
大きな音で土砂崩れが起きていると知った直後の午前10時50分ごろ、妻に「近所の友人と連絡が取れない」と言われ、田中さんは1人で車に乗り安否確認に向かった。だが、既に各所で土砂が流れ込んでいた道を通れず、1時間ほどして自宅に戻った。様子は一変していた。
家の前の道に土砂が流れ込み、木造の自宅は大半がなくなっていた。「路子!」と何度も呼びかけたが、声は返ってこない。斜面の上側に隣接する住宅が崩れ、自宅の残った部分を今にも押し流そうとしていた。置き忘れていたスマートフォンだけ茶の間から回収し、自宅から出たところ、再び土石流が目の前を流れていった。「さっきまであった家もあっという間になくなった」。急いで高台に逃げた。
後で知人から「みちちゃん(路子さん)から『崩れた自宅の中で挟まっている』と電話があった」と伝えられた。「流される前に崩れた家から出られなくなり、その後の土石流で家ごと流されたのかもしれん」 その後、昼過ぎに消防に救助を求めたが、既に自宅跡には近づけなくなり、救助活動にも入れないと告げられた。「呼んでも声が返ってこないんだ。この状況じゃな……期待できんな」と言葉少なに話した。 伊豆山地区で生まれ育ち、妻とは35年連れ添った。「今さらそんなこと言っても仕方ないが、一緒に家を出ていたら」。市内の親類宅に避難することになったが、小雨が降り続く中、暗くなっても自宅の跡地に目を向け続けた。【春増翔太】
その後、昼過ぎに消防に救助を求めたが、既に自宅跡には近づけなくなり、救助活動にも入れないと告げられた。「呼んでも声が返ってこないんだ。この状況じゃな……期待できんな」と言葉少なに話した。 伊豆山地区で生まれ育ち、妻とは35年連れ添った。「今さらそんなこと言っても仕方ないが、一緒に家を出ていたら」。市内の親類宅に避難することになったが、小雨が降り続く中、暗くなっても自宅の跡地に目を向け続けた。【春増翔太】
伊豆山地区で生まれ育ち、妻とは35年連れ添った。「今さらそんなこと言っても仕方ないが、一緒に家を出ていたら」。市内の親類宅に避難することになったが、小雨が降り続く中、暗くなっても自宅の跡地に目を向け続けた。【春増翔太】