「幻の珍味」タカアシガニが大量売れ残りで危機の背景

世界最大のカニの運命やいカニ-。
全長4m、重さ25にも達するという世界一大きな甲殻類・タカアシガニをご存じだろうか。1匹2万円という高級品で、身に水分が多く冷凍保存に向かないため、唯一の卸元がある静岡県沼津市戸田(へだ)でしか味わえない幻の珍味だ。
今、このカニがピンチに陥っている。コロナ禍で戸田を訪れる観光客が半減。その影響で大量に売れ残っているという。
卸元『株式会社光徳(こうとく)』の代表で、直営飲食店も経営する山田隆継氏は嘆く。
「一日にお客さんに出すのが1匹、2匹なんて日もあるよ。平均して10匹ぐらいかな。コロナ前だと一日60匹は出てた。店の生け簀(す)には300匹近くがすし詰め状態。それでも仕入れルートを途切れさせないために毎週100匹は絶対に仕入れる約束だから在庫は増える一方だよ。
一度食べてもらえれば美味しさがわかると思うけど、今はその機会すらないのが寂しい。伊勢海老のような肉厚な身と、甘いミソが最高だよ。今年は続ける予定だけど、今後も客足が戻らないなら、来年にはこの店もないかもしれないな……」
生け簀に入った大量のタカアシガニは、この先いったいどうなるのだろうか。
「食べるためにとった以上、値引きしてでもすべてお客様に届けるつもりだよ。加工品にすれば全国配送もできる。そのために押し寿司やグラタン、シュウマイなどに加工する技術を開発したんだ」(同前)
この機会にぜひ幻のカニを味わってみてはいかがだろうか。
『FRIDAY』2021年7月9日号より