日本製ワクチンの安全性と効果は? 医師は「選べるシステムが必要」

ワクチンがウイルス感染を防ぐ有効な策であることは揺るがない。しかし、接種後に日本人だけで350人以上の人が亡くなっていることも、また事実である。一口に「ワクチン」と言っても、メーカーごとに効果もしくみも副反応のリスクも異なる。いまは欧米製のワクチンしかないが、年内には「国産ワクチン」が登場する見込みだ。少しでも安全性の高いワクチンを打ちたいなら、どのメーカーがいいか、冷静に見極める必要がある。
【写真】ANAの職域接種、ノースリーブ姿の女性が接種を受ける姿。菅首相が離れて見つめる。他、段ボールの区切りやパイプ椅子がならぶ接種会場に中高年の人が待つ様子、塩野義製薬の社屋、手代木社長
「ワクチンは切り札だから、もうすべてを懸けてやろうと思った」。7月4日放送のラジオ番組で、菅義偉首相は新型コロナウイルスワクチンの接種に懸ける思いをこう明かした。
だが現実には、ワクチン接種がスムーズに進んでいるとは言い難い。7月に入ると、宮城県仙台市と福島県いわき市がワクチン接種の新規予約の受け付け停止を発表するなど、全国の自治体で新規予約を停止する動きが相次いでいる。国による供給量が自治体の希望量に追いついていないことがその理由で、実際の供給量は自治体の希望の3割しかないとも報じられた。
その一方で、ワクチン接種後の死亡事例についても注目だ。厚生労働省の報告書によると、国内で2月17日から6月18日までに、「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」は、ファイザー製で354人に達する。5月24日に接種が始まったモデルナ製でも1人の死亡者が報告され、死亡事例は計355人だ。 ファイザー製の接種後に亡くなった354人を年代別に見ると、最も多かったのは80代の139人で、以下90代(93人)、70代(68人)、60代(23人)が続き、20~50代は1ケタ。性別は女性190人、男性164人だった。 基礎疾患や既往症を見ると、高血圧が82人で最も多く、以下、糖尿病(50人)、アルツハイマー病・認知症(44人)、心不全(40人)、脳梗塞(38人)が続いた。 報告書には記載されていない、疑わしい事例もある。6月9日にモデルナ製ワクチンを接種した翌日、心筋梗塞で亡くなった神奈川県川崎市の71才男性は、警察の検案の結果、ワクチンの副反応とは無関係の突然死と断定された。だが、男性の遺族は「それまで生活習慣病の薬をのんでいたが、ずっと健康を保っていて、突然死するような状態ではなかった。死とワクチンが無関係とは思えない」と本誌・女性セブンの取材に訴えた。 その男性の事例は、厚労省の報告書に記載されていない。この男性のような、接種と関連性がないとは言い切れない急死が、全国で起こっている可能性がある。ワクチン接種後に死亡した若い世代も気になるところだ。自治体での20代のワクチン接種はまだ少ないが、ワクチン接種後の20代の死亡者は、報告されているだけで4人に上る。 3月23日、女性看護師(26才)が福岡県内の自宅にて遺体で見つかった。女性は4日前にワクチンを接種し、夜勤に向かう準備中に倒れた。女性に基礎疾患はなかったが、死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血と診断された。厚労省は家族に「(ワクチンとの)関連は不明」と説明したというが、厚労省は女性の病理解剖すらしていない。親族は「家族にも聞き取りはなかった」と憤っている。ファイザー製と日本製はまったく異なるワクチン すでに全国民の4分の1以上が1回目の接種を終えた。65才以上の高齢者やハイリスクな層の接種は一定程度進んでいて、これからは若年層など重症化リスクの低い層の接種が進められていく。だが、若い世代ほどワクチン接種を避ける傾向がある。 国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
ファイザー製の接種後に亡くなった354人を年代別に見ると、最も多かったのは80代の139人で、以下90代(93人)、70代(68人)、60代(23人)が続き、20~50代は1ケタ。性別は女性190人、男性164人だった。 基礎疾患や既往症を見ると、高血圧が82人で最も多く、以下、糖尿病(50人)、アルツハイマー病・認知症(44人)、心不全(40人)、脳梗塞(38人)が続いた。 報告書には記載されていない、疑わしい事例もある。6月9日にモデルナ製ワクチンを接種した翌日、心筋梗塞で亡くなった神奈川県川崎市の71才男性は、警察の検案の結果、ワクチンの副反応とは無関係の突然死と断定された。だが、男性の遺族は「それまで生活習慣病の薬をのんでいたが、ずっと健康を保っていて、突然死するような状態ではなかった。死とワクチンが無関係とは思えない」と本誌・女性セブンの取材に訴えた。 その男性の事例は、厚労省の報告書に記載されていない。この男性のような、接種と関連性がないとは言い切れない急死が、全国で起こっている可能性がある。ワクチン接種後に死亡した若い世代も気になるところだ。自治体での20代のワクチン接種はまだ少ないが、ワクチン接種後の20代の死亡者は、報告されているだけで4人に上る。 3月23日、女性看護師(26才)が福岡県内の自宅にて遺体で見つかった。女性は4日前にワクチンを接種し、夜勤に向かう準備中に倒れた。女性に基礎疾患はなかったが、死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血と診断された。厚労省は家族に「(ワクチンとの)関連は不明」と説明したというが、厚労省は女性の病理解剖すらしていない。親族は「家族にも聞き取りはなかった」と憤っている。ファイザー製と日本製はまったく異なるワクチン すでに全国民の4分の1以上が1回目の接種を終えた。65才以上の高齢者やハイリスクな層の接種は一定程度進んでいて、これからは若年層など重症化リスクの低い層の接種が進められていく。だが、若い世代ほどワクチン接種を避ける傾向がある。 国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
基礎疾患や既往症を見ると、高血圧が82人で最も多く、以下、糖尿病(50人)、アルツハイマー病・認知症(44人)、心不全(40人)、脳梗塞(38人)が続いた。 報告書には記載されていない、疑わしい事例もある。6月9日にモデルナ製ワクチンを接種した翌日、心筋梗塞で亡くなった神奈川県川崎市の71才男性は、警察の検案の結果、ワクチンの副反応とは無関係の突然死と断定された。だが、男性の遺族は「それまで生活習慣病の薬をのんでいたが、ずっと健康を保っていて、突然死するような状態ではなかった。死とワクチンが無関係とは思えない」と本誌・女性セブンの取材に訴えた。 その男性の事例は、厚労省の報告書に記載されていない。この男性のような、接種と関連性がないとは言い切れない急死が、全国で起こっている可能性がある。ワクチン接種後に死亡した若い世代も気になるところだ。自治体での20代のワクチン接種はまだ少ないが、ワクチン接種後の20代の死亡者は、報告されているだけで4人に上る。 3月23日、女性看護師(26才)が福岡県内の自宅にて遺体で見つかった。女性は4日前にワクチンを接種し、夜勤に向かう準備中に倒れた。女性に基礎疾患はなかったが、死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血と診断された。厚労省は家族に「(ワクチンとの)関連は不明」と説明したというが、厚労省は女性の病理解剖すらしていない。親族は「家族にも聞き取りはなかった」と憤っている。ファイザー製と日本製はまったく異なるワクチン すでに全国民の4分の1以上が1回目の接種を終えた。65才以上の高齢者やハイリスクな層の接種は一定程度進んでいて、これからは若年層など重症化リスクの低い層の接種が進められていく。だが、若い世代ほどワクチン接種を避ける傾向がある。 国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
報告書には記載されていない、疑わしい事例もある。6月9日にモデルナ製ワクチンを接種した翌日、心筋梗塞で亡くなった神奈川県川崎市の71才男性は、警察の検案の結果、ワクチンの副反応とは無関係の突然死と断定された。だが、男性の遺族は「それまで生活習慣病の薬をのんでいたが、ずっと健康を保っていて、突然死するような状態ではなかった。死とワクチンが無関係とは思えない」と本誌・女性セブンの取材に訴えた。 その男性の事例は、厚労省の報告書に記載されていない。この男性のような、接種と関連性がないとは言い切れない急死が、全国で起こっている可能性がある。ワクチン接種後に死亡した若い世代も気になるところだ。自治体での20代のワクチン接種はまだ少ないが、ワクチン接種後の20代の死亡者は、報告されているだけで4人に上る。 3月23日、女性看護師(26才)が福岡県内の自宅にて遺体で見つかった。女性は4日前にワクチンを接種し、夜勤に向かう準備中に倒れた。女性に基礎疾患はなかったが、死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血と診断された。厚労省は家族に「(ワクチンとの)関連は不明」と説明したというが、厚労省は女性の病理解剖すらしていない。親族は「家族にも聞き取りはなかった」と憤っている。ファイザー製と日本製はまったく異なるワクチン すでに全国民の4分の1以上が1回目の接種を終えた。65才以上の高齢者やハイリスクな層の接種は一定程度進んでいて、これからは若年層など重症化リスクの低い層の接種が進められていく。だが、若い世代ほどワクチン接種を避ける傾向がある。 国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
その男性の事例は、厚労省の報告書に記載されていない。この男性のような、接種と関連性がないとは言い切れない急死が、全国で起こっている可能性がある。ワクチン接種後に死亡した若い世代も気になるところだ。自治体での20代のワクチン接種はまだ少ないが、ワクチン接種後の20代の死亡者は、報告されているだけで4人に上る。 3月23日、女性看護師(26才)が福岡県内の自宅にて遺体で見つかった。女性は4日前にワクチンを接種し、夜勤に向かう準備中に倒れた。女性に基礎疾患はなかったが、死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血と診断された。厚労省は家族に「(ワクチンとの)関連は不明」と説明したというが、厚労省は女性の病理解剖すらしていない。親族は「家族にも聞き取りはなかった」と憤っている。ファイザー製と日本製はまったく異なるワクチン すでに全国民の4分の1以上が1回目の接種を終えた。65才以上の高齢者やハイリスクな層の接種は一定程度進んでいて、これからは若年層など重症化リスクの低い層の接種が進められていく。だが、若い世代ほどワクチン接種を避ける傾向がある。 国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
3月23日、女性看護師(26才)が福岡県内の自宅にて遺体で見つかった。女性は4日前にワクチンを接種し、夜勤に向かう準備中に倒れた。女性に基礎疾患はなかったが、死因は小脳からの脳出血と、くも膜下出血と診断された。厚労省は家族に「(ワクチンとの)関連は不明」と説明したというが、厚労省は女性の病理解剖すらしていない。親族は「家族にも聞き取りはなかった」と憤っている。ファイザー製と日本製はまったく異なるワクチン すでに全国民の4分の1以上が1回目の接種を終えた。65才以上の高齢者やハイリスクな層の接種は一定程度進んでいて、これからは若年層など重症化リスクの低い層の接種が進められていく。だが、若い世代ほどワクチン接種を避ける傾向がある。 国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
すでに全国民の4分の1以上が1回目の接種を終えた。65才以上の高齢者やハイリスクな層の接種は一定程度進んでいて、これからは若年層など重症化リスクの低い層の接種が進められていく。だが、若い世代ほどワクチン接種を避ける傾向がある。 国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
国立精神・神経医療研究センターなどが全国の15才から79才まで2万6000人を対象に行ったアンケートでは、ワクチンを「接種したい」が35.9%、「様子を見てから接種したい」が52.8%、「接種したくない」が11.3%だった。接種したくない理由は、「副反応が心配だから」が73.9%とダントツに多かった。「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「接種したくない」は65才から79才までが6%だったのに対し、15才から39才までは15%となり、世代間の意識の違いが際立った。 若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
若者にとっては、死に至らない副反応の多さも気になるところだろう。 ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
ファイザー製のワクチンを接種した医療従事者2万人を調べると、2回目の接種後に37.5℃以上の発熱があったのは20代で50%強、30代で約46%、40代で約38%と若い世代ほど多かった。頭痛や倦怠感などの副反応でも、同じような傾向がみられるとされる。 そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
そもそも高齢になるほど、コロナに感染すると重症化したり死亡したりする可能性が高くなるが、若い世代ならば感染しても、重症化するリスクはそれほど高くない。 そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
そのため若い世代ほど、ワクチンを接種した場合と接種しなかった場合を比較して、「打たなくても重症化するリスクが低いなら、副反応が怖いワクチンは打ちたくない」との声があがっている。 だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
だが一方で、人口の大部分が免疫を獲得して、感染が広がりにくくなる「集団免疫」を獲得するには、国民の多くがワクチンを接種することが必要とされる。 打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
打つべきか、打たざるべきか──そのジレンマを解消する得策として期待されるのが、日本製ワクチンだ。「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「国産ワクチンを安定的に供給したい」 6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
6月26日、産経新聞のインタビューでワクチン生産の手応えを語ったのは、シオノギ製薬の手代木功社長だ。 日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
日本製ワクチンは、5月時点で5社(米ノババックスから技術移転を受けて国内生産を計画している武田薬品工業を含む)が臨床試験を実施している。世界に比べて大きく後れをとったことは事実だが、シオノギには年内のワクチン量産が期待されている。 フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
フジテレビ系の音楽番組『ミュージックフェア』のスポンサーで知られるシオノギのルーツは、1878(明治11)年に大阪で創業した薬種問屋「塩野義三郎商店」にあり、1980年代までは武田薬品工業、三共(現・第一三共)と並ぶ製薬業界の「御三家」と呼ばれる名門だった。 その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
その後、研究開発が振るわず低迷した時期もあったが、現在は感染症対策でワクチン、治療薬、診断薬の3つを手がける世界唯一の“総合感染症対策メーカー”として、コロナワクチンの開発に邁進する。 シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
シオノギ製ワクチンは昨年12月から国内で第1、第2段階の臨床試験(治験)を進めており、最終段階の大規模治験と並行するかたちで使用承認が得られれば、年内にも実用化される見通しだ。 しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
しかもワクチンの効果などから、1人あたりの投与量を抑えて倍の人数に接種できる可能性が出てきたという。これまで3000万人分だった供給量を、年末までに倍の6000万人分に拡大できる見通しになったとされる。 待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
待望のシオノギ製ワクチンはいかなるものか──まず知っておきたいのは、現在日本で接種が進む欧米製のワクチンとはしくみが異なることだ。 アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
アメリカ在住の内科医・大西睦子さんが指摘する。「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「ファイザー製とモデルナ製は『mRNAワクチン』というタイプで、ウイルスの遺伝子情報を体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします。一方、シオノギが開発を進めるのは『遺伝子組み換えたんぱく質ワクチン』と呼ばれるタイプです。これは遺伝子組み換え技術を用いて、昆虫の細胞を使って合成したコロナウイルスのたんぱく質を人間の体に打ち込み、免疫反応を呼び起こします」 そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
そうしたしくみの違いによって、副反応のレベルが異なる可能性がある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが指摘する。「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「mRNAワクチンは遺伝子の設計図を打ち込み、免疫反応を生み出す『抗原』をその人の体内でつくらせます。その際、必要以上に抗原がつくられると、免疫反応が出やすく、副反応も強くなります。 一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは、すでにできた抗原を投与するため、必要以上の抗原がつくられにくい。そのため、シオノギ製はファイザー製やモデルナ製よりも副反応が軽くなると考えられます」「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「実績」もシオノギを後押しする。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが言う。「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「mRNAワクチンは世界初の試みで、人体にどのような影響が出るかの評価は現時点で不透明です。一方の遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンの技術は、これまでインフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど多くのワクチンで用いられており、臨床研究もしっかりされている。安全性の面ではmRNAワクチンよりも安心できるといえます」 ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
ファイザー製やモデルナ製は欧米で治験を行ったが、シオノギ製は日本で治験が行われるという利点もある。「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「日本でさらに治験が増えれば、日本人に即した有効性や危険性がより明らかになる可能性があります」(一石さん) 実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
実際、ファイザー製のワクチンは日本人と欧米人の体格差を考慮せず、欧米での用量をそのまま投与しているという指摘がある。日本の成人女性の平均体重が50kgなのに対し、アメリカ人の成人男性の平均体重は90kg。体重当たりに換算すると、約2倍のワクチン量を打っていることになる。従来のワクチンならば問題にならないが、mRNAワクチンでは検証が不充分で体格差が副反応に影響を与えている可能性は否定できない。若者にとってシオノギ製がいい理由 安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
安全面だけでなく、「使い勝手のよさ」も魅力だ。 mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
mRNAワクチンは低温での管理、輸送、保存が必要で、ファイザー製は氷点下70℃、モデルナ製は氷点下20℃で管理しなければならない。これはかなり困難で、各自治体では、冷凍庫の不調などでワクチンを廃棄せざるを得ないケースが多発している。「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「しかし、遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンなら2~8℃で保管でき、医療機関側のハードルが低くなります。このワクチンが登場すれば、かかりつけ医での接種の進展が期待できます」(室井さん) ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
ただしワクチンの効果は欧米製より劣ると想定される。 接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
接種で感染リスクがどれほど減ったかを示す「有効率」は、ファイザー製が94.6%、モデルナ製が94.1%と報告されるが、シオノギ製ワクチンにそこまでの好成績は期待できないという。「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「一般に遺伝子組み換えたんぱく質ワクチンは免疫原性が弱く、有効性が低いとされます。ただその際は、『アジュバント(免疫反応を増強させる物質)』を加えて、免疫反応を高めます。今回も、アジュバントの開発によって有効性が高まることが期待されています」(一石さん) 血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
血液内科医の中村幸嗣さんは「若者への接種」を勧める。「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「シオノギ製のワクチンは、ファイザー製やモデルナ製より有効率こそ低くなる可能性が高いと予想していますが、たんぱく質のため副反応が少なく、安全性が高くなると思われます。このワクチンは、副反応を恐れる若者に接種すれば、副反応が強いリスクと、重症化が少ないためそこまでの感染予防効果が必要ないメリットが釣り合うと考えられます」 この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
この先、特に接種リスクの大きい若い世代は、シオノギ製ワクチンの承認を待つという選択肢も出てきそうだ。 日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
日本製ワクチンの登場が影響するのは若者だけでない。新型コロナの流行は今年終息するとは限らず、この先はインフルエンザワクチンのように毎年接種することになるかもしれない。その際に、安全性の高いとされるシオノギ製ワクチンが選択肢になることが望ましい。「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「現在のワクチン市場は寡占化されていて消費者に選択肢がありませんが、シオノギ製ワクチンが実現すれば、製薬会社間で競争が生じ、ワクチンが改善されやすくなります。改善が進めば副反応が軽くなり、価格も安くなることが期待できます」(室井さん) 一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
一石さんは、「この先はワクチンを選べるシステムが必要」と指摘する。「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
「すでに2度のワクチン接種を終えた人でも、次シーズン以降の“3度目”からは国産ワクチンが新たな選択肢となるのは好ましいことです。その際は、アメリカのように自分で希望するワクチンを選べるシステムを検討することが必要でしょう」(一石さん) 国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
国産が大量生産されれば、現在のように供給量が足りないこともなくなるはず。本当の「切り札」は、日本製ワクチンなのである。※女性セブン2021年7月22日号
※女性セブン2021年7月22日号