「こんな時に泊まっていいのか」土石流、熱海観光にも影

静岡県熱海市の土石流は17日で発生から2週間。
直接の被害は受けていないホテルや旅館で宿泊の予約が取り消され、土石流災害は観光業にも影を落としている。新型コロナウイルスの影響も続く中、地元は不安を募らせている。
「宿泊業が厳しい状況は間違いない」。斉藤栄市長はそう訴える。温泉地として知られる熱海市は、宿泊業をはじめとする観光が基幹産業だ。
だが、熱海市街と海を望む高台にある老舗温泉旅館「新かどや」では、3日の土石流発生以降、宿泊の予約取り消しが相次ぐ。週末だった10日は全16部屋が予約で満室だったが、当日宿泊があったのは6部屋だった。
副社長の鵜沢友美さん(50)によると、「こんな時に泊まりに行ってもいいのか」と災害を理由にキャンセルする客が多いという。直接の被害が出た地域は市北部の一部に限られるが、「お客は『熱海全体の災害』という認識だ」。
昨年から新型コロナで観光客減に苦しんできた。ここ1カ月ほどは「ワクチンを接種したから泊まりに行く」という人も増えていたという。土石流後のキャンセルで平日は全体の半分も部屋が埋まらず、従業員の休みを急きょ増やした。
キャンセルに見舞われているという市内のホテルの運営会社に勤める男性(61)が心配するのは、夏休みの客足だ。
行方不明者の捜索が続いていることなどから、市は海水浴場3カ所の開設中止を決めた。海上花火大会も一部の日程が中止になった。男性は「さらにキャンセルが出て観光地・熱海がつぶれたら、地元として被災地域を支えることもできなくなる」。