首相のテレワーク要請に冷めた声 求められるもう一段の工夫

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、菅義偉(すが・よしひで)首相が、経団連など経済3団体を相次いで訪問し、テレワークの徹底を要請した。
首相が自ら出向くことで危機感を示した格好で、各団体も改めて会員企業に周知する方針だ。しかし、現場では「既にやれることはやっている」と冷めた声も多い。本当に工夫の余地はないのか、各社には改めて業務を見直すことが求められている。
「これ以上、出勤者を減らすのは正直難しい」。ある大手製造業の担当者はそう嘆く。デスクワークを行う部署は既に出勤率を10%未満まで絞っている。それでも工場や顧客対応などの業務があるため全社のテレワーク率は5割程度だ。政府の求める出勤者の7割減には、「工場を止める必要がある」という。
新型コロナの流行から1年以上がたち、大手企業の多くがテレワークを導入。産経新聞が主要企業118社に行ったアンケートでも、9割が新たな働き方として「定着した」と回答した。それだけに現場ではテレワークが難しい業務の選別も進んでおり、テレワーク率を大幅に引き上げることは簡単ではないのだ。
内閣府の調査でも、各社が一斉にテレワークを導入した昨年5月以降、全国の実施率は3割程度からほとんど伸びていない。ただ、テレワークの導入支援を行うNTT東日本の担当者は「まだ改善の余地はある」と指摘する。特に中小企業などは情報システムの専任者がいない場合も多く、何から手を付ければいいのかも分からないことが少なくないからだ。
実際、内閣府の調査でも中小企業が多い地方では、テレワーク率が低い傾向にある。現場作業が多い中小企業はもともとテレワークが不向きとされるが、感染が地方にも広がる中、これまで以上に手厚い支援が求められている。