「レンタカウ」で獣害対策 シカやイノシシの“隠れ家”を牛が一掃

農林作物を荒らす有害鳥獣の被害対策に取り組む山口県下関市豊北町の朝生地区が、シカやイノシシの隠れ場所となる耕作放棄地に牛を放し、草を食べてもらう「山口型放牧」を始めている。山口、周南、岩国市でも導入しており、深刻化する獣害を防ぐ方法として期待される。【大坪菜々美】
鳥獣害が深刻化、ある集落での取り組み
山口型放牧は、和牛を電気柵で囲った水田や耕作放棄地などに放牧する県独自のスタイル。耕作放棄地の解消や牛の飼育管理の省力化と共に、和牛が草を食べることで見通しが良くなり、野生動物が集落に近寄りにくい環境が生まれ、鳥獣対策にもなる。
県内の有害鳥獣による農林業被害は2020年度で約4億円で、このうち約4割が下関市だ。特に朝生地区は稲や麦、牧草などの被害額が同年で約250万円となり被害が深刻化している。同地区では21年2月に県や市の支援を受けて獣害対策の総合計画を策定。防護柵の設置や里山林の環境整備などと共に期待されるのが山口型放牧だ。
同地区では放牧用の牛を貸し出す県の「レンタカウ制度」を活用し、県農林総合技術センター畜産技術部から黒毛和種の雌はつみ(10歳)とのぎく(6歳)を借りた。2頭は、8月上旬に高さ約1・5メートルの雑草が茂っている0・5ヘクタールの耕作放棄地に放されている。
朝生自治会の田中信義さん(73)は「(生い茂った雑草地が)シカやイノシシの隠れ家にならないように2頭の牛には頑張ってもらいたい」と話す。