【斎藤 秀俊】夏の海を「凶器」に変える…“離岸流”だけじゃない「危険な流れ」にも注意すべき 陸上にいても、安全とは限らない

夏の海でもっとも恐ろしいのは、水の流れが原因の水難事故だ。子供が知らず知らずのうちに沖まで流される、あるいは助けに行った大人が間に合わずに溺れるといったケースも多い。有名なのは海岸から沖へと流れる「離岸流」だが、水難事故に詳しい斎藤秀俊氏はそれ以外にも「気を付けるべき流れ」があると指摘する。
以前に私が見た、ヘリコプターから撮影された衝撃的な動画。それは、海での水難救助活動の様子だった。ホイストワイヤーで吊り下げられた隊員が、背浮きで救助を待つ兄弟へ向けてゆっくりと近づいていく。
やがて隊員に確保された少年がホイストでヘリコプターに吊り上げられて、無事に機内に収容された。そして、とうとう再び降下した隊員が少年をしっかりと確保し、2人とも無事に救出された。
この水難事故では、兄弟が海岸から約500mの沖合いにて背浮きで救助を待っていた。防災航空隊が兄弟を早期に発見し、きわめて判断の難しい「救助の順番」を見抜き、的確な救助活動を行った。要救助者と救助者との行動がマッチングした、これが無事生還を果たした重要なポイントである。
画像はイメージです[Photo by iStock] 沖合い500mで発見された理由ここで気になることがある。兄弟2人は海岸から500mもの沖合いの海上で何をしていたのだろうか。この疑問を解くことにより海の本当の怖さが浮き彫りになってくる。兄弟2人は、祖父に連れられて新潟県のある砂浜海岸に海水浴に来ていた。8月上旬の暑い日だった。この砂浜海岸は西北西を向くような形で、日本海に直接面している。砂浜が比較的長く続く、新潟県ではよく見られる典型的な姿の海岸だ。海岸から50mほどの沖には消波ブロックからなる離岸堤が設置されている。海岸に沿うように100mほどの長さだ。隣接する離岸堤との間には20mほどの隙間がある。さらに離岸堤周辺には岩場が広がり、ちょうど離岸堤の隙間のあたりだけ岩が深く水底に沈んでいる。この隙間は、漁師が小型ボートを使って海岸から沖に向かって行き来するルートにもなっている。この日の日本海は波が少々高かったものの、離岸提の内側であれば波の直撃は避けられた。離岸提は本来、海岸の砂浜の流失を防ぐ役割を持つが、夏の海水浴シーズンには沖から来る波を避けるような役割を果たす。このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
沖合い500mで発見された理由ここで気になることがある。兄弟2人は海岸から500mもの沖合いの海上で何をしていたのだろうか。この疑問を解くことにより海の本当の怖さが浮き彫りになってくる。兄弟2人は、祖父に連れられて新潟県のある砂浜海岸に海水浴に来ていた。8月上旬の暑い日だった。この砂浜海岸は西北西を向くような形で、日本海に直接面している。砂浜が比較的長く続く、新潟県ではよく見られる典型的な姿の海岸だ。海岸から50mほどの沖には消波ブロックからなる離岸堤が設置されている。海岸に沿うように100mほどの長さだ。隣接する離岸堤との間には20mほどの隙間がある。さらに離岸堤周辺には岩場が広がり、ちょうど離岸堤の隙間のあたりだけ岩が深く水底に沈んでいる。この隙間は、漁師が小型ボートを使って海岸から沖に向かって行き来するルートにもなっている。この日の日本海は波が少々高かったものの、離岸提の内側であれば波の直撃は避けられた。離岸提は本来、海岸の砂浜の流失を防ぐ役割を持つが、夏の海水浴シーズンには沖から来る波を避けるような役割を果たす。このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
ここで気になることがある。兄弟2人は海岸から500mもの沖合いの海上で何をしていたのだろうか。この疑問を解くことにより海の本当の怖さが浮き彫りになってくる。兄弟2人は、祖父に連れられて新潟県のある砂浜海岸に海水浴に来ていた。8月上旬の暑い日だった。この砂浜海岸は西北西を向くような形で、日本海に直接面している。砂浜が比較的長く続く、新潟県ではよく見られる典型的な姿の海岸だ。海岸から50mほどの沖には消波ブロックからなる離岸堤が設置されている。海岸に沿うように100mほどの長さだ。隣接する離岸堤との間には20mほどの隙間がある。さらに離岸堤周辺には岩場が広がり、ちょうど離岸堤の隙間のあたりだけ岩が深く水底に沈んでいる。この隙間は、漁師が小型ボートを使って海岸から沖に向かって行き来するルートにもなっている。この日の日本海は波が少々高かったものの、離岸提の内側であれば波の直撃は避けられた。離岸提は本来、海岸の砂浜の流失を防ぐ役割を持つが、夏の海水浴シーズンには沖から来る波を避けるような役割を果たす。このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
兄弟2人は、祖父に連れられて新潟県のある砂浜海岸に海水浴に来ていた。8月上旬の暑い日だった。この砂浜海岸は西北西を向くような形で、日本海に直接面している。砂浜が比較的長く続く、新潟県ではよく見られる典型的な姿の海岸だ。海岸から50mほどの沖には消波ブロックからなる離岸堤が設置されている。海岸に沿うように100mほどの長さだ。隣接する離岸堤との間には20mほどの隙間がある。さらに離岸堤周辺には岩場が広がり、ちょうど離岸堤の隙間のあたりだけ岩が深く水底に沈んでいる。この隙間は、漁師が小型ボートを使って海岸から沖に向かって行き来するルートにもなっている。この日の日本海は波が少々高かったものの、離岸提の内側であれば波の直撃は避けられた。離岸提は本来、海岸の砂浜の流失を防ぐ役割を持つが、夏の海水浴シーズンには沖から来る波を避けるような役割を果たす。このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
海岸から50mほどの沖には消波ブロックからなる離岸堤が設置されている。海岸に沿うように100mほどの長さだ。隣接する離岸堤との間には20mほどの隙間がある。さらに離岸堤周辺には岩場が広がり、ちょうど離岸堤の隙間のあたりだけ岩が深く水底に沈んでいる。この隙間は、漁師が小型ボートを使って海岸から沖に向かって行き来するルートにもなっている。この日の日本海は波が少々高かったものの、離岸提の内側であれば波の直撃は避けられた。離岸提は本来、海岸の砂浜の流失を防ぐ役割を持つが、夏の海水浴シーズンには沖から来る波を避けるような役割を果たす。このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
さらに離岸堤周辺には岩場が広がり、ちょうど離岸堤の隙間のあたりだけ岩が深く水底に沈んでいる。この隙間は、漁師が小型ボートを使って海岸から沖に向かって行き来するルートにもなっている。この日の日本海は波が少々高かったものの、離岸提の内側であれば波の直撃は避けられた。離岸提は本来、海岸の砂浜の流失を防ぐ役割を持つが、夏の海水浴シーズンには沖から来る波を避けるような役割を果たす。このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
この日の日本海は波が少々高かったものの、離岸提の内側であれば波の直撃は避けられた。離岸提は本来、海岸の砂浜の流失を防ぐ役割を持つが、夏の海水浴シーズンには沖から来る波を避けるような役割を果たす。このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
このような海岸では、波の高さが高くなると離岸堤を超えて海水が砂浜側(内側)に入ることがある。内側に入った海水は離岸堤を超えて元に戻ることはできないので、その海水は離岸堤と離岸堤との間にある隙間に集中し、そこから元の海に戻る。この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
この時に沖に向かって流れが生じれば、それは「離岸流」と呼ばれる。この海岸は岩場の構造も相まって、簡単な条件がそろえば離岸流が発生しやすい場所だと言える。離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
離岸堤のイメージ[Photo by iStock] 兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
兄弟はまさに離岸堤の隙間から離岸流に乗り、想像するにかなりの速度で沖に向かって流された。海岸工学などの教科書には離岸流は沖合いおよそ数百mに達する流れだとされているので、沖合い500mまで兄弟を流した離岸流は、まさに教科書的な現象だったと言える。それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
それだけの強い流れだ。流れに逆らって泳いで戻ることは絶対に無理。よく離岸流に遭遇した場合の対処法として、「横に泳いで流れから逃げて、それから岸に向かえ」などと言う人もいるが、離岸堤の隙間からしか砂浜に戻れないのだから、その空想が現実的ではないのは自明だ。だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
だからこそ、兄弟が背浮きで浮いて呼吸を確保し、救助が来るまで待てたことは奇跡に近い。そもそも、兄弟は防災ヘリコプターが救助に来ること自体、想定しいなかっただろう。「自分たちは誰にも発見されずにいつまで浮くことになるのだろう」と考え始めたら、そこには絶望しか見えてこない。流される水難事故は頻繁に起きる離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
離岸流という言葉のインパクトが強いせいか、水難事故が発生するとなんでも離岸流のせいにする風潮があるように感じる。でも、実際に発生した事故の調査を行なったり、当時の気象を解析したりすると、別の要因によって流された事故の方が多いことがわかっている。ここからは、代表的な3つを選んで解説してみよう。1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
1. 風に流されるよくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
よくある現象だ。中学校の理科では日中は海から陸に風が吹き、夜間は陸から海に風が吹くと習う。そして風の向きが変わる時が凪だ。まさに風が止まる時間が朝と夕方にあることになる。でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
でもそれはあくまでも教科書の上でのお話。実際にはもう少し大きなスケールで風向が決まることがある。例えば日本海に低気圧が入り込むと、太平洋側から強い南風が新潟県に吹き降ろす。フェーン現象だ。夏には普通に見られ、日本海側の各地では猛烈な暑さとなる。新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
新潟県などの日本海側で南寄りの強風が吹くと、当然陸から海に向かって風が吹くことになる。このような気象条件の時に、子供を浮き輪で遊ばせたり、大型遊具に載せたりして海岸付近に放置すれば、あっという間に沖に流される。Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
Photo by iStock 夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
夏のフェーン現象では、場合によっては秒速10mにも達する強い風が吹く。子供が浮き輪に身体を入れて浮いていると、上半身が帆になって風を受ける。仮に秒速2mで沖に流れていくとしよう。それは100mを50秒ほどで移動する速さだ。100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
100m自由形の世界記録が50秒弱だから、子供が流されたことに気が付いて保護者が泳いで追いかけても、普通は追い付くことができない。ましてや、追いかける方は途中で力尽き、最期は足の届かない海中で溺れることになる。このようにして、流された子供は浮いたまま助け出されて、保護者が命を落とす水難事故があとを絶たない。沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
沖に向かって風が吹きやすい海岸は、全国の至るところにあり、そういう海岸は元々海水浴場になっていなかったり、海水浴場だとしても風向きによっては遊泳禁止になっていたりする。「泳いではいけない」と言うからには、本当に恐ろしいことが起こるのである。海の専門家のいうことはぜひ素直に受け止めてほしい。Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
Photo by iStock 離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
離岸流の約2倍も速い流れ2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
2. 突然の強烈な流れきわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
きわめて珍しい例だが、調査されていないだけで、もしかしたら多くの人がいっぺんに命を落とす多人数水難事故のほとんどの原因はこれかもしれない。4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
4年前の8月11日、福岡県古賀市にある古賀の浜から「子供2人が流され、その他に父親と救助に向かった男性が行方不明」との119番通報が古賀市消防本部に入った。懸命の救助活動にもかかわらず、結果として4人全員が溺れて命を落とした。水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
水難学会事故調査委員会が現地調査を行った結果は、簡単に言えば「ポケットビーチで発生する沖向きの強烈な流れによって4人が深い場所に向かって流され、溺れた」ということ。古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
古賀の浜は、陸に向かってへこむような弓なりの砂浜で長さが400mほど。このような弓なりの砂浜をポケットビーチと呼ぶ。西側は河口になっていて、河口と砂浜を分けるように突堤が沖に延びている。現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
現場で集めた目撃情報を基にすると、事故の発生は午後1時50分頃。海岸から5mほどのところでビート板で遊んでいた子供2人が急に突堤内側を先端方向に向かって流された。父が砂浜から海に入り追いかけ、さらに途中から別の男性も海に飛び込み、それぞれが子供の救助を試みた。しかし間もなく、子供も大人も4人が海中に沈んでしまった。現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
現場にて同じように流されて助かった人の証言によれば、「突如、5秒くらいで20mほど沖に流された」という。単純に割り算をすると、秒速4mにも達する。前述した離岸堤の隙間から流された事故でもせいぜい秒速1~2mほどだろう。だから、古賀の浜で見られた流れは「突然の強烈な流れ」として、どんな流れとも切り離して考えなければならないほどの特殊な現象である。実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
実は、この日の午前にも同様に激しい流れがポケットビーチ中央付近で観測されていた。その後すぐに収まり、午後1時50分頃、再び激しい流れが発生したという。過去にもこの現場では同じように沖に流されて溺れた人がいて、事故が繰り返されているし、地元の人には「時々激しい流れが発生する」としてよく知られている現場だ。だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
だからこそ、安全な砂浜に見えるにもかかわらず、あちこちに「遊泳禁止」の看板が立てられている。もちろん海水浴場ではない。この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
この突然の激しい流れは、日本海を進む低気圧によって発生したうねりによるものと 説明された。詳細は「平穏な浜が突然牙をむく水難事故 古賀の浜 水難事故調レポート」(https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20200811-00192735)をご覧いただきたい。少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
少々難しい内容かもしれないが、地元の多くの人が「この浜は危険だ」と言ったら、それは「本当に危険なのだ」と理解してほしい。「足だけ浸かろう」すら、命を落とす原因になりかねないのが海の本当の怖さだ。Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
Photo by iStock 陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
陸にいる人も被害を受ける危険性3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
3. 台風のうねりならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
ならば、「海に入らず砂浜で散歩しよう」なら安心かというと、それでも溺れる事故が多発している。太平洋側では東京から遠く1000kmも離れた小笠原諸島周辺に居座る台風からのうねりで多くの人が犠牲になった、2年前の同時多発的な水難事故を挙げることができる。この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
この事故は8月11日に関東地方を中心に発生した海での一連の水難事故を指す。・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
・午前9時10分ごろ、神奈川県三浦市の剣埼灯台の下の岩場で、釣りをしていた30代の男性が行方不明となった。・午前11時20分ごろ、神奈川県小田原市早川の海岸で、男女3人が沖に流された。・午後1時ごろ、神奈川県真鶴町真鶴の海岸で、17歳の少年が沖合約20mの海面に浮いているのを一緒に来た友人が発見した。・午後2時40分ごろ、藤沢市鵠沼海岸で、「溺れている人を岸に上げた」と119番通報があった。救助された男性は死亡した。・正午過ぎ、千葉県勝浦市の守谷海水浴場で海水浴をしていたおよそ40人が、100mほど沖合に流された。ライフセーバーたちが救助にあたったが男性1人が死亡した。 特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
特徴は、11日のお昼前後に水難事故の発生時間が集中していることだ。そして台風の影響とは言え、本州から遠く離れているため、事故現場は晴天で強風が吹いているわけではなく、穏やかな夏の一日になるはずだった。うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
うねりというのは、勢力の強い台風の付近で発生した高い波が長い距離を移動するうちに、高さはあまりないが奥行きが広くなる波に変わったものだ。台風のエネルギーをそのまま伝えるので、海岸に到達すると内陸深くまで海水が遡上したり、前述したような突然の激しい流れを作ったりする。そして、日本列島全体を襲うため、かなり広範囲に水難事故を起こす原因となる。海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
海岸に出かける時には台風情報に注意し、常に「波にさらわれるかもしれない」という気持ちでいたいものだ。以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
以上の海の流れは突然発生する。だが人の命をうばうほどのものは、よく起きる所がおおよそ限られるし、そのような場所では遊泳禁止になっている。もちろん注意喚起の看板がある。だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。
だからこそ、海水浴や散歩は海水浴場で、しかもライフセーバーなどの監視員の指示に従って楽しみたい。