死亡運転手の親族 今も募る「なぜ」 京急踏切事故書類送検

京急電車と13トントラックとの衝突事故は、トラックが踏切内で立ち往生したことがきっかけで発生した。亡くなったトラックの男性運転手(当時67歳)は、被害者であると同時に加害者でもある。親族の60代女性は「今も事故を思い出すと眠れない」と話す。
京急踏切事故 運転士を業過致死傷容疑などで書類送検 神奈川県警
この女性によると、男性は1人暮らしで同居する家族はいなかった。温和な性格で「自分よりも人の役に立ちたいと考える人だった」という。事故後、女性の手元に運転手が使っていたスマートフォンだけが返ってきた。「大事な身内。あと10年は一緒にいられると思っていた」と苦しい胸の内を明かす。
県警の発表などによると、トラックは何度も切り返した後に踏切内に入ると、車両の荷台部分が道路脇の標識に接触。非常停止ボタンが押されたものの、その後も切り返しを続けていた。ドライバー歴は30年以上。運転には慣れていただけに、女性には「なぜ」との思いがくすぶる。
事故の瞬間、男性はトラックの運転席にいて、逃げようとはしなかった。「前方の遮断機を倒して出るか、車を置いて逃げることもできたはず。非常ボタンが押され(電車が)止まると思ったのではないか」と女性は推測する。
県警が運転士の過失を認めたことには「真実が少しでも明らかになってよかった」と安堵(あんど)の表情を見せる。ただ、負傷した乗客らを思うと、今も複雑な気持ちになるという。【池田直】