「泳いで来た」ロシア人男性、北海道上陸1カ月 目的など不明点多く

北方領土・国後島から「亡命のため泳いで来た」と話し、難民認定を申請したロシア人男性ワースフェニックス・ノカルド氏(38)が北海道標津町で保護されてから間もなく1カ月。目的など不明な点は多い。保護されるまでの足取りを追った。
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ノカルド氏が中標津署標津駐在所前で保護されたのは8月19日午後5時45分ごろ。声をかけた住民男性に「泳いで」「国後から」「パスポートない」などたどたどしい日本語で話した。通報を受けた同署はヘリコプターでノカルド氏を札幌に送り、札幌出入国在留管理局に引き渡した。
国後島南部の泊(ロシア名ゴロブニノ)から同町までは約24キロ。根室海峡の潮流は速く、水温は15度前後しかない。しかも8月18~19日は低気圧が道内を通過し、海はやや荒れていた。町の中心部から北に約6キロ離れた海岸線では同24日、ノカルド氏のものとみられるウエットスーツなどが見つかり、町内の複数の防犯ビデオにも姿が映っていた。
ロシアメディアによると、ノカルド氏はロシア中部イジェフスク出身で、2017年に国民に無償で極東の土地1ヘクタールを与える制度に応募し、国後島泊近郊のドボボエに移住。用務員やトラクターの運転手などをして暮らしていた。「日本のアニメを見て、日本人女性と仲良くなることを夢見て」、日本語も学んでいた。島移住前の11年には来日し、オーバーステイで強制退去処分を受けたこともあるとされる。
8月19日早朝に同町に泳ぎ着いたノカルド氏は、ネット交流サービス(SNS)で同島の友人に「(島に残した)バイクを売却して送金してほしい」と要望したという。ロシア紙はノカルド氏の友人の話として「彼はビザなし交流で札幌に行きたかったが、新型コロナウイルスの影響で交流事業は停止してしまった」と、泳いで渡った背景について推測している。【本間浩昭】