苦しむコロナ患者、自宅に残して次へ 救急隊員の「やるせない」思い

新型コロナウイルスの感染拡大で医療提供体制が逼迫(ひっぱく)し、息苦しさを訴えるコロナ患者を病院に搬送できない「不搬送」が起きている。
こうした患者に日々対応する千葉県内の救急隊員が朝日新聞の取材に応じ、「やるせない思いだ」と苦しい胸の内を明かした。
「今日もコロナ対応か。やっぱりまだ怖いな」。30代の救急隊員はたまに、一緒に働く隊員2人と出動前にこんな話をする。ワクチンはすでに2回打っているが、同居家族がいるため、感染の心配は消えない。それに、日々不搬送の現場を見ているから、「まだ若い自分は、コロナにかかってもたぶん入院はできない」。そう思いつつ、対応に当たっている。
隊員が勤務する消防署管内では、新型コロナ患者の救急要請は7月までは月に数回だったが、8月に入り要請件数は激増。出勤する度にコロナ患者への対応をするようになったという。
「新型コロナウイルス、自宅待機、30代夫婦で男性が発熱、呼吸苦」。9月初め、無線で出動の指令が入ると、使い捨ての防護服やゴーグル、マスクと手袋を着用し、現場に向かった。
10分前後で到着すると、まずは患者の呼吸の状態のほか、唇や顔色を観察する。酸素不足で重症の患者は、唇や顔色が紫色っぽく変色していることが多いからだ。
入院は難しそうだ――。隊員は玄関先で患者を一目見ると、そう感じた。これまで見てきた重症患者と比べて顔色は良く、息もそこまで荒くはない。