30年札幌冬季五輪の経費、900億円削減へ 来年住民アンケートも

札幌市は招致を目指している2030年冬季五輪・パラリンピックについて、3100億~3700億円と試算していた開催経費を最大900億円程度削減する方針を固めた。
できるだけ既存の施設を活用し、建て替え費用も減らす。今夏の東京五輪では多額の開催経費に批判が高まり、市の財政状況もコロナ禍で厳しい。経費削減で市民に招致への理解を得たい考えで、市は今月末にも市議会に新たな計画を示す。
経費削減策として、これまで800億~1400億円とみていた施設整備費は想定の最小限の800億円に抑える。このうち市の負担分は最大600億円とみていたが、450億円とする。具体的には、アイスホッケー会場予定の真駒内公園屋内競技場(札幌市南区)は建て替えではなく改修▽ボブスレーは1998年長野五輪の会場となった「スパイラル」(長野市)で行う▽スキージャンプはラージヒルのある大倉山ジャンプ競技場(札幌市中央区)にノーマルヒルも併設する▽選手村は既存のホテルなどを活用――など。
また、2300億円とみていた大会運営費は、式典の簡略化などで2千億円程度に圧縮する。
市は月末にも新たな計画を公表し、来年1月に市民との対話の場を実施したい考え。3月をめどに、開催の是非を問う住民アンケートを行い、道内の他地域の住民も対象にする。この結果も踏まえて5~6月に正式な概要計画をまとめる。
札幌市の秋元克広市長は15日の定例会見で、新たな計画は月末にも示すと述べるにとどめたうえで、「まちづくりと合わせた大会にすることで、市民とも方向性を共有したい」と語った。来年の住民アンケートで開催反対が多数を占めた場合は「道内の他の自治体や議会などの議論を含めて最終的な判断をしていく」と述べた。
札幌市は14年、冬季五輪の26年大会を招致する方針を表明したが、18年秋の胆振東部地震を受けて30年大会の招致に方針転換。19年の概要計画ではそれまで4500億円程度とみていた開催経費を3100億~3700億円に減らす方針を示した。さらに東京五輪やコロナ禍で五輪への国民の意識も変化したことなどを受け、秋元市長は8月の東京五輪閉幕後、さらなる計画修正の方針を示していた。(佐藤亜季、佐野楓、中野龍三)
■札幌市の冬季五輪招致の経緯
2014年11月 上田文雄市長(当時)が26年大会の招致を表明
18年9月 胆振東部地震発生。30年招致への方針変更をIOCに伝達
19年7月 開催経費を3100億~3700億円に圧縮する方針を発表。市負担は400億~600億円
20年1月 JOCが30年大会の国内候補地を札幌市に決定
21年8月 秋元克広市長が開催概要計画の修正意向を表明