郵便局長になるには自民支援組織への加入必須?思想信条で差別の恐れ

郵便局長会に入らないと郵便局長にはなれず、局長になれても昇格はできない――。
以前からささやかれてきた日本郵便の局長人事の実情が、10月に出た民事訴訟判決や証拠資料から明らかになった。局長会は自民党の有力支援組織で、入会すると党員にならざるを得ない。局長会主導の人事には、思想信条による差別にあたる恐れがあるとの指摘が出ている。
局長人事の実情を語っていたのは、日本郵便九州支社の人事担当者や統括局長らだ。記者が閲覧した福岡県の内部通報者強要未遂事件の民事訴訟の供述調書によれば、会社側は局長会の推薦を内々に把握して局長の採用を決める。推薦があっても合格しない例はあるが、推薦がなければめったに合格しないという。
局長会での地位と日本郵便の役職が連動することも明確になった。地区郵便局長会長を兼ねる日本郵便の統括局長が、連動する人事案を示すことで役職を一致させる。このため、局長は局長会で評価されて地位が上がれば会社の役職も上がり、手当も増える。逆に局長会で評価されないと、会社での昇格も見込めない。
10月22日の福岡地裁判決も、局長会を抜けた局長は「疎外感を感じ、情報を得られず、仕事上の支障が出る」「役職に就くことは困難」などと認定した。
憲法学者の木村草太・東京都立大教授は「局長会に入らないと局長になれず、役職にも就けない構造は『信条による差別』にあたる恐れがある」と指摘。局長会に入ると自民党費も徴収されるため、「自民党員でないと局長にしない経営方針と受け取れるため、信条や政治活動の自由への配慮に欠けた不法行為となり得る」と話す。(藤田知也)