少女は実父のように慕っていたのに…元里親の男が性的行為、実刑判決

養育していた長野県内の少女に性的な行為をしていたとして、監護者性交罪などに問われた元里親の男に対し、長野地裁飯田支部は16日、懲役5年6月(求刑・懲役6年)の実刑判決を言い渡した。
前沢利明裁判長は「里親としての愛情をはき違え、里親と里子という一線を越えた犯行は卑劣かつ悪質」と述べた。
男の弁護人は判決後、「裁判を通じて(男が)自分の罪を見つめ、当然の刑と考えている」とし、控訴しない考えを示した。
判決によると、50歳代の男は少女が18歳未満と知りながら、養育者としての立場を利用して昨年11月中旬~下旬、男の自宅(当時)で性交した。
判決は実の父親のように男を慕っていた少女が犯行を受けて妊娠の不安を感じるなど肉体的にも精神的にも深く傷ついたと指摘。弁護側は公判で「暴行や脅迫、誘惑した事情はなく、性行為に応じるよう仕向けたわけではない」などと主張し、執行猶予付きの判決を求めたが、前沢裁判長は「少女が性交に同意していたとは到底考えがたい」とした。
判決を受け、県里親会連合会の市川フロスト和美副会長(50)は「子供の弱みを狙った犯罪で許せない。性的・心理的虐待を行い、なぜこれほど(刑が)軽いのか」と語った。一方で「事件の影響は大きく、担い手が減る可能性もある」との懸念も示した。
公判で男は2015年に養育里親に認定された後、17年には虐待を受けるなどして専門的なケアが必要な子供を預かる「専門里親」となったと明らかにされた。
■検証委報告 年度末までに
公判で実刑判決となった性的虐待以外にも、男は複数の児童に身体的虐待を加えていたとして、長野県の検証委員会(委員長=上鹿渡(かみかど)和宏・早大教授)が検証を進めている。男を里親として認定した経緯や、行政による養育支援の体制、学校が少女のアンケート回答で虐待を把握してから児童相談所へ通告するまで約3週間かかったことなどが焦点となっている。
検証委はこれまでに、男のほか、被害少女が通っていた学校関係者や児童相談所の職員などから聞き取り調査を実施した。今月15日に非公開で行われた4回目の会合には、教育現場の実情を把握するため県里親会連合会のメンバーが出席。子供の権利擁護、各家庭での性教育の取り組み方などについて意見が交わされた。
検証委は来年3月までにまとめる最終的な報告で、検証結果を公表する方針。