【坂倉 昇平】30代男性フリーターが絶望…バイト先での「年下の同僚からのいじめ」がヒドすぎた 深刻さを増す「大人のいじめ」

近年「大人のいじめ」が深刻な問題になっている。
厚生労働省の統計によると、「いじめ・嫌がらせ」に関する労働相談が、ここ10年で2倍に激増。
労働問題に取り組むNPO法人「POSSE(ポッセ)」を立ち上げ、膨大な数の「いじめ・嫌がらせ」に関する相談を受けてきた坂倉昇平氏がその実態を、近著『大人のいじめ』(講談社現代新書)をもとに解説します。
後輩による集団いじめ筆者が受けた最近の労働相談から、「後輩」によるいじめも紹介しておこう。30代のいわゆる「中年フリーター」の男性に対する職場いじめだ。

男性は娯楽施設内のポップコーンやドリンクなどを販売する売店で働いており、時給はほぼ最低賃金でシフト制だが、週に5日出勤し、勤続は10年以上に及んでいた。ふだん売店には、学生と20代のフリーター合わせて10人ほどが働いている。男性は最年長であり、勤続年数でいっても全員の先輩にあたる。それが突然、いじめの標的となってしまったのだ。 レジ打ちをしていると、気づくと周りに誰もいない。同僚全員が、男性を一人残して、厨房に引き上げてしまったからだ。逆に男性が厨房に向かうと、同僚たちはさーっとレジに集まっていく。さながら、サッカーのオフサイドトラップである。これが毎日、何ヵ月も続いた。精神的苦痛に加え、レジ打ちにせよ調理にせよ、業務を一人でやらなければならず、負担も大きかった。学生たちをけしかけ、いじめのリーダー格になっていたのは、後輩のあるフリーターだった。すれ違いざまにわざと肩をぶつけられたり、仕事の情報を回してもらえなかったり、全体の飲み会にも自分だけ誘われなかった。「どうしてそういう態度をするの?」と思い切って聞いても、無視されるだけだった。特に恨まれるようなことをした記憶はなく、因縁をつけるとしたら「30代になってもフリーターの男性」であることくらいしか思いつかなかった。〔PHOTO〕iStock 一部の学生アルバイトは、「手伝わないようにと言われました」と申し訳なさそうに打ち明け、周りの目を盗んで業務に手を貸してくれた。男性は会社に相談し、主犯格の後輩フリーターとの話し合いを求めた。しかし、話し合いは相手から拒否され、「無視ではなく、興味がないだけ」という回答があったと会社から説明があった。会社はそれ以上何も対応してくれなかった。男性はうつ病を発症し、長期間休職せざるを得なくなった。現在は復職し、出勤シフトを減らして働いている。いじめはなくなったが、上司はうつから復職した彼にわざわざ「研修中」のバッジを着用させ、「トラブルを起こす厄介者」として、退職に追い込もうとしている。職場いじめの約半数が「同僚」による行為「職場いじめ」と聞いて、「経営者や上司によるパワハラ」を想像する人にとっては、こうした同僚によるいじめ行為は例外的なものと感じるかもしれない。しかし、統計を見ても、同僚による職場いじめは存在感を増している。2021年の厚労省による「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、「パワハラ」に該当すると判断した事案があった企業1990社のうち、ハラスメントの行為者と被害者の関係性について、「役員」から部下に対する事案があったと回答した企業が11・1%、「上司(役員以外)」から部下に対する事案があったとする企業が76・5%だった。 その一方で、「部下」から上司に対する事案が7・6%、「同僚同士」の事案は36・9%あった。「同僚同士」と「部下」からを合わせると44・5%になり、「役員」からの「パワハラ」よりも、はるかに多い。行為者の区分がより詳細なのが、連合による「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」だ。この調査では、ハラスメント被害を加害者別に分類している。なお、同一の事件でも、複数の分類(「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」「セクシュアル・ハラスメント」「その他ハラスメントなど」)にまたがるものは、重複して集計されている。この調査によると、加害者は「上司」(経営者も含まれている)が535件、「先輩」262件、「同僚」188件、「後輩」47件、「部下」21件となっている。先輩・同僚・後輩・部下を「広義の同僚」(518件になる)とすると、職場のハラスメントの件数(1151件)のうち、加害者の割合は、上司が46・5%、広義の同僚が45・0%になる。同僚からの職場いじめが、上司によるものと拮抗し、ほぼ半数を占めるのだ。目立つ「同僚のいじめ」さらに決定的なことに、労災認定された職場いじめの最新の件数においても、同僚によるいじめ被害の深刻さが裏付けられている。前述のように、2020年5月末から、厚労省の精神障害の労災認定の基準となる出来事の項目において、従来の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が、「上司等」による「パワーハラスメント」と、「同僚等」によるものに二分された。加害者が上司であったり、豊富な知識や経験をもっていたり、集団であったりと、被害者に対して「優越的な関係」にあると判断された場合に「上司等」によるものとして前者に分類され、そうでない同僚による行為は後者になる。 2020年5月末から翌年3月末までの、「上司等」による「パワーハラスメント」として労災が認定された事例は99件だった。一方、筆者が厚労省労働基準局補償課に直接確認したところ、同期間に「同僚等」によるものと分類されたのは62件であるという。つまり、被害者に精神障害を発症させ、労災が認定されるほどひどい職場いじめ161件のうち、少なくとも39%、約4割が同僚によるものということだ。それどころか、「パワハラ」6割の中に、「優越的な関係」にある同僚による行為も含まれている可能性がある。このように、同僚がかなりの件数でいじめの加害者になっていることが、近年の職場いじめの大きな特徴だ。
筆者が受けた最近の労働相談から、「後輩」によるいじめも紹介しておこう。30代のいわゆる「中年フリーター」の男性に対する職場いじめだ。
男性は娯楽施設内のポップコーンやドリンクなどを販売する売店で働いており、時給はほぼ最低賃金でシフト制だが、週に5日出勤し、勤続は10年以上に及んでいた。
ふだん売店には、学生と20代のフリーター合わせて10人ほどが働いている。男性は最年長であり、勤続年数でいっても全員の先輩にあたる。それが突然、いじめの標的となってしまったのだ。
レジ打ちをしていると、気づくと周りに誰もいない。同僚全員が、男性を一人残して、厨房に引き上げてしまったからだ。逆に男性が厨房に向かうと、同僚たちはさーっとレジに集まっていく。さながら、サッカーのオフサイドトラップである。これが毎日、何ヵ月も続いた。精神的苦痛に加え、レジ打ちにせよ調理にせよ、業務を一人でやらなければならず、負担も大きかった。学生たちをけしかけ、いじめのリーダー格になっていたのは、後輩のあるフリーターだった。すれ違いざまにわざと肩をぶつけられたり、仕事の情報を回してもらえなかったり、全体の飲み会にも自分だけ誘われなかった。「どうしてそういう態度をするの?」と思い切って聞いても、無視されるだけだった。特に恨まれるようなことをした記憶はなく、因縁をつけるとしたら「30代になってもフリーターの男性」であることくらいしか思いつかなかった。〔PHOTO〕iStock 一部の学生アルバイトは、「手伝わないようにと言われました」と申し訳なさそうに打ち明け、周りの目を盗んで業務に手を貸してくれた。男性は会社に相談し、主犯格の後輩フリーターとの話し合いを求めた。しかし、話し合いは相手から拒否され、「無視ではなく、興味がないだけ」という回答があったと会社から説明があった。会社はそれ以上何も対応してくれなかった。男性はうつ病を発症し、長期間休職せざるを得なくなった。現在は復職し、出勤シフトを減らして働いている。いじめはなくなったが、上司はうつから復職した彼にわざわざ「研修中」のバッジを着用させ、「トラブルを起こす厄介者」として、退職に追い込もうとしている。職場いじめの約半数が「同僚」による行為「職場いじめ」と聞いて、「経営者や上司によるパワハラ」を想像する人にとっては、こうした同僚によるいじめ行為は例外的なものと感じるかもしれない。しかし、統計を見ても、同僚による職場いじめは存在感を増している。2021年の厚労省による「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、「パワハラ」に該当すると判断した事案があった企業1990社のうち、ハラスメントの行為者と被害者の関係性について、「役員」から部下に対する事案があったと回答した企業が11・1%、「上司(役員以外)」から部下に対する事案があったとする企業が76・5%だった。 その一方で、「部下」から上司に対する事案が7・6%、「同僚同士」の事案は36・9%あった。「同僚同士」と「部下」からを合わせると44・5%になり、「役員」からの「パワハラ」よりも、はるかに多い。行為者の区分がより詳細なのが、連合による「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」だ。この調査では、ハラスメント被害を加害者別に分類している。なお、同一の事件でも、複数の分類(「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」「セクシュアル・ハラスメント」「その他ハラスメントなど」)にまたがるものは、重複して集計されている。この調査によると、加害者は「上司」(経営者も含まれている)が535件、「先輩」262件、「同僚」188件、「後輩」47件、「部下」21件となっている。先輩・同僚・後輩・部下を「広義の同僚」(518件になる)とすると、職場のハラスメントの件数(1151件)のうち、加害者の割合は、上司が46・5%、広義の同僚が45・0%になる。同僚からの職場いじめが、上司によるものと拮抗し、ほぼ半数を占めるのだ。目立つ「同僚のいじめ」さらに決定的なことに、労災認定された職場いじめの最新の件数においても、同僚によるいじめ被害の深刻さが裏付けられている。前述のように、2020年5月末から、厚労省の精神障害の労災認定の基準となる出来事の項目において、従来の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が、「上司等」による「パワーハラスメント」と、「同僚等」によるものに二分された。加害者が上司であったり、豊富な知識や経験をもっていたり、集団であったりと、被害者に対して「優越的な関係」にあると判断された場合に「上司等」によるものとして前者に分類され、そうでない同僚による行為は後者になる。 2020年5月末から翌年3月末までの、「上司等」による「パワーハラスメント」として労災が認定された事例は99件だった。一方、筆者が厚労省労働基準局補償課に直接確認したところ、同期間に「同僚等」によるものと分類されたのは62件であるという。つまり、被害者に精神障害を発症させ、労災が認定されるほどひどい職場いじめ161件のうち、少なくとも39%、約4割が同僚によるものということだ。それどころか、「パワハラ」6割の中に、「優越的な関係」にある同僚による行為も含まれている可能性がある。このように、同僚がかなりの件数でいじめの加害者になっていることが、近年の職場いじめの大きな特徴だ。
レジ打ちをしていると、気づくと周りに誰もいない。同僚全員が、男性を一人残して、厨房に引き上げてしまったからだ。逆に男性が厨房に向かうと、同僚たちはさーっとレジに集まっていく。さながら、サッカーのオフサイドトラップである。これが毎日、何ヵ月も続いた。精神的苦痛に加え、レジ打ちにせよ調理にせよ、業務を一人でやらなければならず、負担も大きかった。
学生たちをけしかけ、いじめのリーダー格になっていたのは、後輩のあるフリーターだった。すれ違いざまにわざと肩をぶつけられたり、仕事の情報を回してもらえなかったり、全体の飲み会にも自分だけ誘われなかった。
「どうしてそういう態度をするの?」と思い切って聞いても、無視されるだけだった。特に恨まれるようなことをした記憶はなく、因縁をつけるとしたら「30代になってもフリーターの男性」であることくらいしか思いつかなかった。
〔PHOTO〕iStock
一部の学生アルバイトは、「手伝わないようにと言われました」と申し訳なさそうに打ち明け、周りの目を盗んで業務に手を貸してくれた。男性は会社に相談し、主犯格の後輩フリーターとの話し合いを求めた。しかし、話し合いは相手から拒否され、「無視ではなく、興味がないだけ」という回答があったと会社から説明があった。会社はそれ以上何も対応してくれなかった。男性はうつ病を発症し、長期間休職せざるを得なくなった。現在は復職し、出勤シフトを減らして働いている。いじめはなくなったが、上司はうつから復職した彼にわざわざ「研修中」のバッジを着用させ、「トラブルを起こす厄介者」として、退職に追い込もうとしている。職場いじめの約半数が「同僚」による行為「職場いじめ」と聞いて、「経営者や上司によるパワハラ」を想像する人にとっては、こうした同僚によるいじめ行為は例外的なものと感じるかもしれない。しかし、統計を見ても、同僚による職場いじめは存在感を増している。2021年の厚労省による「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、「パワハラ」に該当すると判断した事案があった企業1990社のうち、ハラスメントの行為者と被害者の関係性について、「役員」から部下に対する事案があったと回答した企業が11・1%、「上司(役員以外)」から部下に対する事案があったとする企業が76・5%だった。 その一方で、「部下」から上司に対する事案が7・6%、「同僚同士」の事案は36・9%あった。「同僚同士」と「部下」からを合わせると44・5%になり、「役員」からの「パワハラ」よりも、はるかに多い。行為者の区分がより詳細なのが、連合による「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」だ。この調査では、ハラスメント被害を加害者別に分類している。なお、同一の事件でも、複数の分類(「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」「セクシュアル・ハラスメント」「その他ハラスメントなど」)にまたがるものは、重複して集計されている。この調査によると、加害者は「上司」(経営者も含まれている)が535件、「先輩」262件、「同僚」188件、「後輩」47件、「部下」21件となっている。先輩・同僚・後輩・部下を「広義の同僚」(518件になる)とすると、職場のハラスメントの件数(1151件)のうち、加害者の割合は、上司が46・5%、広義の同僚が45・0%になる。同僚からの職場いじめが、上司によるものと拮抗し、ほぼ半数を占めるのだ。目立つ「同僚のいじめ」さらに決定的なことに、労災認定された職場いじめの最新の件数においても、同僚によるいじめ被害の深刻さが裏付けられている。前述のように、2020年5月末から、厚労省の精神障害の労災認定の基準となる出来事の項目において、従来の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が、「上司等」による「パワーハラスメント」と、「同僚等」によるものに二分された。加害者が上司であったり、豊富な知識や経験をもっていたり、集団であったりと、被害者に対して「優越的な関係」にあると判断された場合に「上司等」によるものとして前者に分類され、そうでない同僚による行為は後者になる。 2020年5月末から翌年3月末までの、「上司等」による「パワーハラスメント」として労災が認定された事例は99件だった。一方、筆者が厚労省労働基準局補償課に直接確認したところ、同期間に「同僚等」によるものと分類されたのは62件であるという。つまり、被害者に精神障害を発症させ、労災が認定されるほどひどい職場いじめ161件のうち、少なくとも39%、約4割が同僚によるものということだ。それどころか、「パワハラ」6割の中に、「優越的な関係」にある同僚による行為も含まれている可能性がある。このように、同僚がかなりの件数でいじめの加害者になっていることが、近年の職場いじめの大きな特徴だ。
一部の学生アルバイトは、「手伝わないようにと言われました」と申し訳なさそうに打ち明け、周りの目を盗んで業務に手を貸してくれた。
男性は会社に相談し、主犯格の後輩フリーターとの話し合いを求めた。しかし、話し合いは相手から拒否され、「無視ではなく、興味がないだけ」という回答があったと会社から説明があった。会社はそれ以上何も対応してくれなかった。
男性はうつ病を発症し、長期間休職せざるを得なくなった。現在は復職し、出勤シフトを減らして働いている。いじめはなくなったが、上司はうつから復職した彼にわざわざ「研修中」のバッジを着用させ、「トラブルを起こす厄介者」として、退職に追い込もうとしている。
「職場いじめ」と聞いて、「経営者や上司によるパワハラ」を想像する人にとっては、こうした同僚によるいじめ行為は例外的なものと感じるかもしれない。しかし、統計を見ても、同僚による職場いじめは存在感を増している。
2021年の厚労省による「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、「パワハラ」に該当すると判断した事案があった企業1990社のうち、ハラスメントの行為者と被害者の関係性について、「役員」から部下に対する事案があったと回答した企業が11・1%、「上司(役員以外)」から部下に対する事案があったとする企業が76・5%だった。
その一方で、「部下」から上司に対する事案が7・6%、「同僚同士」の事案は36・9%あった。「同僚同士」と「部下」からを合わせると44・5%になり、「役員」からの「パワハラ」よりも、はるかに多い。行為者の区分がより詳細なのが、連合による「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」だ。この調査では、ハラスメント被害を加害者別に分類している。なお、同一の事件でも、複数の分類(「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」「セクシュアル・ハラスメント」「その他ハラスメントなど」)にまたがるものは、重複して集計されている。この調査によると、加害者は「上司」(経営者も含まれている)が535件、「先輩」262件、「同僚」188件、「後輩」47件、「部下」21件となっている。先輩・同僚・後輩・部下を「広義の同僚」(518件になる)とすると、職場のハラスメントの件数(1151件)のうち、加害者の割合は、上司が46・5%、広義の同僚が45・0%になる。同僚からの職場いじめが、上司によるものと拮抗し、ほぼ半数を占めるのだ。目立つ「同僚のいじめ」さらに決定的なことに、労災認定された職場いじめの最新の件数においても、同僚によるいじめ被害の深刻さが裏付けられている。前述のように、2020年5月末から、厚労省の精神障害の労災認定の基準となる出来事の項目において、従来の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が、「上司等」による「パワーハラスメント」と、「同僚等」によるものに二分された。加害者が上司であったり、豊富な知識や経験をもっていたり、集団であったりと、被害者に対して「優越的な関係」にあると判断された場合に「上司等」によるものとして前者に分類され、そうでない同僚による行為は後者になる。 2020年5月末から翌年3月末までの、「上司等」による「パワーハラスメント」として労災が認定された事例は99件だった。一方、筆者が厚労省労働基準局補償課に直接確認したところ、同期間に「同僚等」によるものと分類されたのは62件であるという。つまり、被害者に精神障害を発症させ、労災が認定されるほどひどい職場いじめ161件のうち、少なくとも39%、約4割が同僚によるものということだ。それどころか、「パワハラ」6割の中に、「優越的な関係」にある同僚による行為も含まれている可能性がある。このように、同僚がかなりの件数でいじめの加害者になっていることが、近年の職場いじめの大きな特徴だ。
その一方で、「部下」から上司に対する事案が7・6%、「同僚同士」の事案は36・9%あった。「同僚同士」と「部下」からを合わせると44・5%になり、「役員」からの「パワハラ」よりも、はるかに多い。
行為者の区分がより詳細なのが、連合による「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」だ。この調査では、ハラスメント被害を加害者別に分類している。なお、同一の事件でも、複数の分類(「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」「セクシュアル・ハラスメント」「その他ハラスメントなど」)にまたがるものは、重複して集計されている。
この調査によると、加害者は「上司」(経営者も含まれている)が535件、「先輩」262件、「同僚」188件、「後輩」47件、「部下」21件となっている。先輩・同僚・後輩・部下を「広義の同僚」(518件になる)とすると、職場のハラスメントの件数(1151件)のうち、加害者の割合は、上司が46・5%、広義の同僚が45・0%になる。同僚からの職場いじめが、上司によるものと拮抗し、ほぼ半数を占めるのだ。
さらに決定的なことに、労災認定された職場いじめの最新の件数においても、同僚によるいじめ被害の深刻さが裏付けられている。
前述のように、2020年5月末から、厚労省の精神障害の労災認定の基準となる出来事の項目において、従来の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が、「上司等」による「パワーハラスメント」と、「同僚等」によるものに二分された。加害者が上司であったり、豊富な知識や経験をもっていたり、集団であったりと、被害者に対して「優越的な関係」にあると判断された場合に「上司等」によるものとして前者に分類され、そうでない同僚による行為は後者になる。
2020年5月末から翌年3月末までの、「上司等」による「パワーハラスメント」として労災が認定された事例は99件だった。一方、筆者が厚労省労働基準局補償課に直接確認したところ、同期間に「同僚等」によるものと分類されたのは62件であるという。つまり、被害者に精神障害を発症させ、労災が認定されるほどひどい職場いじめ161件のうち、少なくとも39%、約4割が同僚によるものということだ。それどころか、「パワハラ」6割の中に、「優越的な関係」にある同僚による行為も含まれている可能性がある。このように、同僚がかなりの件数でいじめの加害者になっていることが、近年の職場いじめの大きな特徴だ。
2020年5月末から翌年3月末までの、「上司等」による「パワーハラスメント」として労災が認定された事例は99件だった。一方、筆者が厚労省労働基準局補償課に直接確認したところ、同期間に「同僚等」によるものと分類されたのは62件であるという。
つまり、被害者に精神障害を発症させ、労災が認定されるほどひどい職場いじめ161件のうち、少なくとも39%、約4割が同僚によるものということだ。それどころか、「パワハラ」6割の中に、「優越的な関係」にある同僚による行為も含まれている可能性がある。
このように、同僚がかなりの件数でいじめの加害者になっていることが、近年の職場いじめの大きな特徴だ。