後絶たぬDV、「加害者対策急務」=宮崎3人死亡事件で専門家

宮崎県高千穂町の民家で10月、男性3人が死亡した事件は、夫から妻へのドメスティックバイオレンス(DV)が背景にあった。
DVが事件に発展するケースが後を絶たない中、長年被害者を支援してきた専門家は「全国で統一した支援態勢と、加害者対策の確立が急務」と指摘する。
事件は10月26日に発生。民家に住む男性(67)と父親(91)、男性の長女の夫(45)=鹿児島県志布志市=が血まみれで倒れており、3人とも搬送先の病院で死亡が確認された。宮崎県警は、長女の夫が2人を殺害後に自殺したとみて詳しく捜査している。
宮崎、鹿児島両県警によると、長女は昨年2月以降、夫からのDVについて警察に複数回相談していたが、被害届は長女の意向で出されていなかった。長女は志布志市の自宅から宮崎県内へ避難を繰り返し、今年8月から子どもと一緒に同県内で生活。10月にはDV防止法に基づく保護命令を裁判所に申し立てていたが、事件当日まで命令は出ていなかった。
宮崎県を中心にDVに悩む女性を支援するNPO法人「ハートスペースM」(宮崎市)の財津三千代共同代表は「今回の事件のように緊急性があるケースや、被害者が被害届を出さないなど複雑な心理状態にある場合、相談を受けた一つの機関が的確な判断をするのは難しい」と指摘する。
また、DVから被害者が一時的に施設などに避難する「一時保護」について、「決定基準が都道府県によって差があり、保護に至らないケースもある。どこでも同じ支援を受けられるよう、全国で統一した支援態勢を早急に確立する必要がある」と述べる。
その上で、被害者支援だけではなく加害者対策の必要性を訴える。「被害者が逃げるのではなく、加害者の責任を問う体制づくりが重要」と強調する。
内閣府の調査によると、2020年度の全国のDV相談件数はコロナ禍を背景に、約19万件と過去最多になった。