尼崎かんなみ新地閉鎖で飛田新地はどうなる? 組合は「ウチは潰れない」

大阪の飛田新地、松島新地とならぶ関西有数の色街として知られるのが兵庫県尼崎市のかんなみ新地だ。遊郭として約70年前に始まり、1958年の売春防止法施行後は、飲食店の看板を掲げつつ、いわゆる「ちょんの間」として風俗営業を黙認されてきた。
【写真】オレンジ色の街灯に照らされる飛田新地。まばらに歩く人の姿も ところが11月1日に兵庫県警と尼崎市はかんなみ新地で営業する全31店舗に対し、風営法に基づく警告書を通達。結果、全店舗が閉鎖を余儀なくされたのである。

 この一件で注目されたのが全国最大規模の色街である飛田新地だった。大阪府警が兵庫県警同様に“一掃”に着手する可能性はゼロではない。 約160店舗が加盟する飛田新地料理組合の幹部が取材に応じた。「かんなみ新地の場合は風営法の許可をとってはれへんのです。ですから、本来ならば接客をしてはいけない業態。そこがまず、飛田との大きな違いです。風営法の遵守はわれわれにとって重たく、管理者講習も受けなければなりませんし、24時までの営業時間や料金の掲示義務もある。駐車場の問題、公衆トイレの問題、ゴミの問題などにも取り組んできました」 コロナ禍にあって、飛田で働く人々の感染状況も気になるところだった。幹部が続ける。「心配していたのは、玄関に立つ(曳き子と呼ばれる)おばちゃんたちの体調でしたが、入院した人はおりません。対策を徹底したおかげで、従業員の陽性率も大阪府の数値を下回っておりました」 かんなみ新地では朝5時まで営業を続けていた店舗もあり、近隣住人から騒音の苦情も届いていたとされる。 飛田新地では料理組合が陣頭指揮をとり、昨年4月には全店一斉休業を決断。6月の再開にあたっては、従業員の抗体検査を実施し、近隣の住人も検査を受けられるよう配慮してきた。「われわれのような職種の店が建ち並ぶことによって、この地に住む人々、子どもらに肩身の狭い思いをさせてはいけない。またわれわれが休業に追い込まれたら、頼りにしてくださっている商店街の飲食店など、他業種にも影響が出る。それは避けなければなりません」 飛田で働く人々は自分たちが「絶滅危惧種」であることを自覚する。だからこそ、地域と共存することで生き残りを図ろうとしているのだ。取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)※週刊ポスト2021年12月3日号
ところが11月1日に兵庫県警と尼崎市はかんなみ新地で営業する全31店舗に対し、風営法に基づく警告書を通達。結果、全店舗が閉鎖を余儀なくされたのである。
この一件で注目されたのが全国最大規模の色街である飛田新地だった。大阪府警が兵庫県警同様に“一掃”に着手する可能性はゼロではない。
約160店舗が加盟する飛田新地料理組合の幹部が取材に応じた。
「かんなみ新地の場合は風営法の許可をとってはれへんのです。ですから、本来ならば接客をしてはいけない業態。そこがまず、飛田との大きな違いです。風営法の遵守はわれわれにとって重たく、管理者講習も受けなければなりませんし、24時までの営業時間や料金の掲示義務もある。駐車場の問題、公衆トイレの問題、ゴミの問題などにも取り組んできました」
コロナ禍にあって、飛田で働く人々の感染状況も気になるところだった。幹部が続ける。
「心配していたのは、玄関に立つ(曳き子と呼ばれる)おばちゃんたちの体調でしたが、入院した人はおりません。対策を徹底したおかげで、従業員の陽性率も大阪府の数値を下回っておりました」
かんなみ新地では朝5時まで営業を続けていた店舗もあり、近隣住人から騒音の苦情も届いていたとされる。
飛田新地では料理組合が陣頭指揮をとり、昨年4月には全店一斉休業を決断。6月の再開にあたっては、従業員の抗体検査を実施し、近隣の住人も検査を受けられるよう配慮してきた。
「われわれのような職種の店が建ち並ぶことによって、この地に住む人々、子どもらに肩身の狭い思いをさせてはいけない。またわれわれが休業に追い込まれたら、頼りにしてくださっている商店街の飲食店など、他業種にも影響が出る。それは避けなければなりません」
飛田で働く人々は自分たちが「絶滅危惧種」であることを自覚する。だからこそ、地域と共存することで生き残りを図ろうとしているのだ。
取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2021年12月3日号