朝倉未来に勝ったら「1000万円」企画、挑戦者はボコボコに…「合法」といえるの?

ABEMAの企画番組「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円」が11月20日、放送された。後藤真希さんの弟で、「EE JUMP」元メンバーの後藤祐樹さん、”会津の喧嘩屋”の異名をとる久保田覚など3人が、プロ格闘家の朝倉未来さんに挑んだが、朝倉さんの圧勝に終わった。だが、ネット上では批判の声もある。
この企画は、オーディションで選ばれた人たちが、プロ格闘家で、YouTuberとしても知られる朝倉さんを相手に、いわゆる「ストリートファイト」で挑んで、もし勝ったら、賞金1000万円をゲットできるというものだ。
蓋を開けてみれば、朝倉さんが、1人目の挑戦者の久保田さんを14秒、2日目の後藤さんを45秒、3人目のモハン・ドラゴンさんを37秒、と文字通り”秒殺”で片付けてしまうなど、圧倒的な格の違いをみせつけた。
報道によると、鼻が折れるなど、一部の挑戦者はケガを負ったという。
ところが、この企画をめぐっては賛否が上がっている。というのもプロ格闘家が、いくらケンカ自慢とはいえ、素人相手をボコボコにしてしまう展開だったからだ。ネット上では、「合法といえるのか」「決闘罪にあたるのでは」という批判も強い。
報道によると、挑戦者は「いかなることが起きても自己責任とする」という誓約書にサインしていたということだが、ケガをさせてしまっても、法的には問題ないのだろうか。自身も格闘技経験のある西口竜司弁護士に聞いた。
――ボクシングなどのスポーツとの違いもあるかと思いますが、今回のケースは法的にどうなのでしょうか?
ボクシングなどのスポーツは、いわゆる「正当業務行為」として、暴行・傷害罪などの違法性が阻却されています。今回のようなストリートファイトの場合、一定のルールがあったかどうか、純粋な意味でのスポーツ目的があったといえるかどうか、疑問が残ります。
したがって、今回のケースにつきましては、刑法上の問題(犯罪にあたるかどうか)がでてくるでしょう。
一方、犯罪にあたりうる(構成要件にあてはまる)場合でも、「被害者の同意」や「危険の引き受け」という考え方で、違法性がなくなり、「合法」とされることがあります。
今回のケースは、被害者の承諾というよりは、危険の引き受けという側面が強いと思います。危険の引き受けとは、被害者が危険なことを承知することによって、違法性がなくなるという考え方で、過去の裁判例では、ダートトライアル競技(自動車競技)で問題になりました。
詳細は割愛しますが、被害者がどのような危険が発生するか理解したうえで、常識的な競技のルールの中で発生した事故について違法性がないものとされました。
今回の場合、挑戦者がケガを負うと考えていたかどうかはわかりませんが、誓約書を作成したからといって、「危険の引き受け」ということで、即「合法」ということにならない可能性があります。一般の格闘技イベントのようにはいかないかもしれません。
――ネット上で指摘されている「決闘罪」に問われないのでしょうか?
決闘罪というのは、2人以上の人が、日時・条件などを定めて戦う場合のことをいいます。不良グループ同士のケンカが典型例になります。
日本ではほとんど適用されたことはありませんので、今回のケースが決闘罪にあたるか、どうかはなんともいえません。ただし、決闘罪は、軽い罪のため、今回のようにケガ人が出たような場合、より重い傷害罪にあたるとされると思います。その場合も違法性が問題となるでしょう。
私は、過去に格闘技経験もあり、朝倉さんの動画も好きなのですが、今回のケースは少し行き過ぎたかなという印象です。素晴らしい格闘家なので、リング上で、より強いファイターと戦ってほしいと思います。
【取材協力弁護士】西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士1973年9月生まれ大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。事務所名:神戸マリン綜合法律事務所事務所URL:http://www.kobemarin.com/