夫に内緒で借りた「秘密の書斎」で密会…40代妻が初めて心を開ける“大事な人” 夫以外の男性と過ごして気づいたこと

不倫相手の上司に急に別れを突きつけられ、失意の中で6歳年上の職場の先輩・健司さんと結婚した吉田真希子さん(44歳・仮名=以下同)。29歳で長女を31歳で長男をもうけたものの、夫との“価値観のズレ”が年々大きくなってきたのは前編〈不倫した上司に裏切られ「職場の先輩」と結婚したけど…防げなかった「夫婦の価値観のズレ」〉でお伝えした。コロナ禍で夫と顔を合わせるのも嫌になった真希子さんは、意外な行動に出るのだった。
子どもがふたり、典型的な「家庭」をもった真希子さんだが、それからも夫とはどこか関係がギクシャクしていた。
「無意識かもしれないけど、彼はやはり心のどこかで私の“先輩”なんでしょうね。私には結婚したときから、そういう意識はなかったけど。だから私が自分の意見を主張すると、『真希子は偉そうだよな』とぽつりと言う。夫と妻なんだから、同じ目線で話して何がいけないのかわからなかったけど、後輩に家であれこれ指示されたりするのが嫌だったのかもしれません」
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それでもふたりで協力しなければ子どもは育てられない。ときに義母が手伝うとやってきたが、口移しにものを食べさせたり、必要以上に甘い物を与えたりすることに彼女が耐えられなくなり、義母を拒絶した。そこから夫との間に新たな軋轢が起こったのはいうまでもない。
ふたり目を産んだあと、彼女は転職した。先に転職していた同期が「こっちに来れば? 女性が働きやすい企業だから」と紹介してくれたのだ。面接を受けて合格。夫には事後報告になった。
「それも夫には嫌だったみたいですね。どうして相談しないのか、と。転職しようかと思うという話はしていたんです。でも紹介されてすぐあっけなく決まったし、私自身の仕事ですから自分で決めるのが筋だと思ったし」
夫は「何でも自分で決めていく妻」が物足りなかったのかもしれない。もっと頼られたかったのではないだろうか。「それはあるかもしれません。だけど、あくまでも『自分が対処できる範囲で頼ってほしい』だけなんですよね。夫はキャパが狭いから、案外、いろいろなことに対処できない。自分ではしているつもりかもしれませんが。あとから考えると、仕事でも、いくつものことを同時進行できない人だった」年下の妻が、精神面でも現実への対応面でも、夫を追い越してしまったのではないだろうか。夫は「ふたりで忙しい思いをしながら協力して、子どもたちを育てた」と対外的によく言っているそうだ。だが、真希子さんは内心、「結局はワンオペだったよ」とつぶやいている。「夫がきちんとやったのはゴミ出しと風呂掃除だけ。日々の食事から子どもの世話にいたるまで、ほとんどワンオペでしたよ。そこの洗濯物を畳んでおいてと言えば、夫はやってくれたけど、それだけ。次に洗濯物が山になっていても、また言わないとやってくれない。どうして学ばないのかとよく思っていました。面倒だから自分でやったほうが早い。いつも結論はそうなるんですよね」夫を諦めたので楽になったと真希子さんは笑った。夫に黙って借りた「秘密の書斎」そして昨年春からのコロナ禍。一時は夫も自身も在宅勤務となり、さらに子どもたちの休校が重なって、家族4人が家に閉じこもる日々が続いた。「うちは狭いから、ふたりともそれぞれにオンラインで会議があるときなどは大変でした。夫がリビングに陣取って、子どもにも私にも静かにすることを要求する。でも私も会議がある。狭い夫婦の寝室で、資料も広げられない。夫の会議のほうが簡単そうなのにと思ったりもしました」思うように仕事ができないのはつらかったと真希子さんは言う。夫は同じ立場なのにもかかわらず、ときどき「お茶いれて」と言ったりするのだ。どうして自分がいれなければいけないのか、昼食の支度もなぜ自分がやらなければいけないのか。お茶や昼食は交代制にしようと言ったが、夫は気乗りのしない返事ばかり繰り返す。「夫と顔をつきあわせているのが嫌になって、パソコンをもって外のワーキングスペースによく通いました。でもやはり行ったり来たりの時間がかかるし、落ち着かない。ある日、家の近所を散歩していたら、きれいなワンルームマンションができていたんです。思わず不動産屋に連絡して、即日、そこを借りることにしました」Photo by iStock 自分の書斎ができたのだ。それからは日々、家から徒歩20分ほどの部屋に通った。天気がいいときは自転車を走らせる。契約したことは誰にも言わなかった。夫は、妻がワーキングスペースに通っていると思っていたようだ。「新しい机とソファにもなる簡易ベッドだけ置きました。台所用品は徐々に増えていき、子どもたちが学校へ行くようになってからは、私はそこで昼食を作って食べたりしています。夫はずっと基本的には在宅が続いているので、最初は『オレの昼食は?』と言っていた。パンもご飯もあるので、自分でなんとかしてと言ったら、ほぼ毎日のようにカップ麺を食べているようです。ときどきお義母さんが来ているみたいですけど、私が帰るころには義母はいなくなっています」新たにできた“大事な人”自分だけの秘密の場所をもってから、彼女は夫に対しても少し鷹揚に接することができるようになっていった。そして現在、そこにはもうひとり、通ってくる人がいる。「私の3年後輩の友基くんです。友基が夫の部下になったと昨年春、知らせてきたんです。夫は何も言わなかったけど。それで上司への対処の仕方を伝授しようと思って。あのころは外でも会いづらかったし、いっそ私の書斎に来ないかと誘いました。もちろん最初は話をしただけで帰っていきましたよ」ところが彼は居心地がよかったのか、ときおり来るようになった。おいしいケーキを買ってきてくれることもあったし、睡眠不足だから少し寝かせてと仮眠をとることもあった。「彼も結婚しているはずなのに、なんだか様子がおかしいんですよね。しばらくしてから、『実は僕、離婚しまして』と。結婚して10年で妻に逃げられたと言うんです。私も彼の結婚式に行きましたが、学生時代からの友だちだったとかですごくお似合いのカップルだった。でも結婚したらうまくいかなかった、と。あるよねえ、そういうこと。うちもそうだもんと話が盛り上がって……。気づいたらふたりでソファで抱き合っていた」友基さんは、「前から真希子さんが好きだった」と言ったそうだ。それ以来、ふたりは人目を忍ぶ関係を続けている。 「友基くんと一緒にいて、私は初めてわかりました。夫といるとすごく緊張してしまうことに。言いたいことを言っているようで、やはり先輩を立てなければと思っていたのかな。結局、ワンオペになったのも、私が夫に言いたいことをきちんと伝えられなかったからなのではないかと反省もしました。友基くんとだと気が楽。ポンポン言えて、ポンポン返ってくるから楽しい。友基くんも出身が関西なんですよ。ときどき彼が煮込みうどんなどを作ってくれるんですが、出汁がきいていておいしい。味覚の一致ってうれしいなと思いました」夫も子どもも欺いて、マンションで男と密会している自分。客観的にそう考えると恐ろしくなるから、違う意識をもつようにしていると真希子さんは言う。「ここ、駅から遠いから家賃が安いんです。私は自分の仕事場を確保しただけ。そこにたまに来客として友基くんが来る。彼は私にとって、“大事な人”ですね。恋人とかそういうくくり方をすると自分が悩んでしまうので、ただの大事な人。夫や子どもに見つからないよう、この場所と友基くんとの関係をひっそり維持していきたい。そう思っています」これもある意味では、一部別居ということになるのかもしれない。ときに「残業」と言って、別宅にこもってひとりでのんびりすることもあるし、「大事な恋人」である友基さんとしっとり過ごすこともあるというのだから。現代の妻たちには、家族との適切な距離が必要なのかもしれない。今は離婚を考えているわけではないが、子どもたちが成人したら夫との関係がどうなるかはわからないと彼女は言う。暴力や決定的なモラハラなどがあるわけではないものの、しっくりいかない夫婦関係というのはあるものだ。軌道修正もままならない、かといって今のタイミングで離婚するわけにもいかない。真希子さんはまさにそんな状態にいる。自分に逃げ場を作ったことで、「平常心を保てているし、家族にやさしくなれる」と彼女は苦笑いを浮かべた。
夫は「何でも自分で決めていく妻」が物足りなかったのかもしれない。もっと頼られたかったのではないだろうか。
「それはあるかもしれません。だけど、あくまでも『自分が対処できる範囲で頼ってほしい』だけなんですよね。夫はキャパが狭いから、案外、いろいろなことに対処できない。自分ではしているつもりかもしれませんが。あとから考えると、仕事でも、いくつものことを同時進行できない人だった」
年下の妻が、精神面でも現実への対応面でも、夫を追い越してしまったのではないだろうか。
夫は「ふたりで忙しい思いをしながら協力して、子どもたちを育てた」と対外的によく言っているそうだ。だが、真希子さんは内心、「結局はワンオペだったよ」とつぶやいている。
「夫がきちんとやったのはゴミ出しと風呂掃除だけ。日々の食事から子どもの世話にいたるまで、ほとんどワンオペでしたよ。そこの洗濯物を畳んでおいてと言えば、夫はやってくれたけど、それだけ。次に洗濯物が山になっていても、また言わないとやってくれない。どうして学ばないのかとよく思っていました。面倒だから自分でやったほうが早い。いつも結論はそうなるんですよね」
夫を諦めたので楽になったと真希子さんは笑った。
そして昨年春からのコロナ禍。一時は夫も自身も在宅勤務となり、さらに子どもたちの休校が重なって、家族4人が家に閉じこもる日々が続いた。
「うちは狭いから、ふたりともそれぞれにオンラインで会議があるときなどは大変でした。夫がリビングに陣取って、子どもにも私にも静かにすることを要求する。でも私も会議がある。狭い夫婦の寝室で、資料も広げられない。夫の会議のほうが簡単そうなのにと思ったりもしました」
思うように仕事ができないのはつらかったと真希子さんは言う。夫は同じ立場なのにもかかわらず、ときどき「お茶いれて」と言ったりするのだ。どうして自分がいれなければいけないのか、昼食の支度もなぜ自分がやらなければいけないのか。お茶や昼食は交代制にしようと言ったが、夫は気乗りのしない返事ばかり繰り返す。
「夫と顔をつきあわせているのが嫌になって、パソコンをもって外のワーキングスペースによく通いました。でもやはり行ったり来たりの時間がかかるし、落ち着かない。ある日、家の近所を散歩していたら、きれいなワンルームマンションができていたんです。思わず不動産屋に連絡して、即日、そこを借りることにしました」
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自分の書斎ができたのだ。それからは日々、家から徒歩20分ほどの部屋に通った。天気がいいときは自転車を走らせる。契約したことは誰にも言わなかった。夫は、妻がワーキングスペースに通っていると思っていたようだ。「新しい机とソファにもなる簡易ベッドだけ置きました。台所用品は徐々に増えていき、子どもたちが学校へ行くようになってからは、私はそこで昼食を作って食べたりしています。夫はずっと基本的には在宅が続いているので、最初は『オレの昼食は?』と言っていた。パンもご飯もあるので、自分でなんとかしてと言ったら、ほぼ毎日のようにカップ麺を食べているようです。ときどきお義母さんが来ているみたいですけど、私が帰るころには義母はいなくなっています」新たにできた“大事な人”自分だけの秘密の場所をもってから、彼女は夫に対しても少し鷹揚に接することができるようになっていった。そして現在、そこにはもうひとり、通ってくる人がいる。「私の3年後輩の友基くんです。友基が夫の部下になったと昨年春、知らせてきたんです。夫は何も言わなかったけど。それで上司への対処の仕方を伝授しようと思って。あのころは外でも会いづらかったし、いっそ私の書斎に来ないかと誘いました。もちろん最初は話をしただけで帰っていきましたよ」ところが彼は居心地がよかったのか、ときおり来るようになった。おいしいケーキを買ってきてくれることもあったし、睡眠不足だから少し寝かせてと仮眠をとることもあった。「彼も結婚しているはずなのに、なんだか様子がおかしいんですよね。しばらくしてから、『実は僕、離婚しまして』と。結婚して10年で妻に逃げられたと言うんです。私も彼の結婚式に行きましたが、学生時代からの友だちだったとかですごくお似合いのカップルだった。でも結婚したらうまくいかなかった、と。あるよねえ、そういうこと。うちもそうだもんと話が盛り上がって……。気づいたらふたりでソファで抱き合っていた」友基さんは、「前から真希子さんが好きだった」と言ったそうだ。それ以来、ふたりは人目を忍ぶ関係を続けている。 「友基くんと一緒にいて、私は初めてわかりました。夫といるとすごく緊張してしまうことに。言いたいことを言っているようで、やはり先輩を立てなければと思っていたのかな。結局、ワンオペになったのも、私が夫に言いたいことをきちんと伝えられなかったからなのではないかと反省もしました。友基くんとだと気が楽。ポンポン言えて、ポンポン返ってくるから楽しい。友基くんも出身が関西なんですよ。ときどき彼が煮込みうどんなどを作ってくれるんですが、出汁がきいていておいしい。味覚の一致ってうれしいなと思いました」夫も子どもも欺いて、マンションで男と密会している自分。客観的にそう考えると恐ろしくなるから、違う意識をもつようにしていると真希子さんは言う。「ここ、駅から遠いから家賃が安いんです。私は自分の仕事場を確保しただけ。そこにたまに来客として友基くんが来る。彼は私にとって、“大事な人”ですね。恋人とかそういうくくり方をすると自分が悩んでしまうので、ただの大事な人。夫や子どもに見つからないよう、この場所と友基くんとの関係をひっそり維持していきたい。そう思っています」これもある意味では、一部別居ということになるのかもしれない。ときに「残業」と言って、別宅にこもってひとりでのんびりすることもあるし、「大事な恋人」である友基さんとしっとり過ごすこともあるというのだから。現代の妻たちには、家族との適切な距離が必要なのかもしれない。今は離婚を考えているわけではないが、子どもたちが成人したら夫との関係がどうなるかはわからないと彼女は言う。暴力や決定的なモラハラなどがあるわけではないものの、しっくりいかない夫婦関係というのはあるものだ。軌道修正もままならない、かといって今のタイミングで離婚するわけにもいかない。真希子さんはまさにそんな状態にいる。自分に逃げ場を作ったことで、「平常心を保てているし、家族にやさしくなれる」と彼女は苦笑いを浮かべた。
自分の書斎ができたのだ。それからは日々、家から徒歩20分ほどの部屋に通った。天気がいいときは自転車を走らせる。契約したことは誰にも言わなかった。夫は、妻がワーキングスペースに通っていると思っていたようだ。
「新しい机とソファにもなる簡易ベッドだけ置きました。台所用品は徐々に増えていき、子どもたちが学校へ行くようになってからは、私はそこで昼食を作って食べたりしています。夫はずっと基本的には在宅が続いているので、最初は『オレの昼食は?』と言っていた。パンもご飯もあるので、自分でなんとかしてと言ったら、ほぼ毎日のようにカップ麺を食べているようです。ときどきお義母さんが来ているみたいですけど、私が帰るころには義母はいなくなっています」
自分だけの秘密の場所をもってから、彼女は夫に対しても少し鷹揚に接することができるようになっていった。そして現在、そこにはもうひとり、通ってくる人がいる。
「私の3年後輩の友基くんです。友基が夫の部下になったと昨年春、知らせてきたんです。夫は何も言わなかったけど。それで上司への対処の仕方を伝授しようと思って。あのころは外でも会いづらかったし、いっそ私の書斎に来ないかと誘いました。もちろん最初は話をしただけで帰っていきましたよ」
ところが彼は居心地がよかったのか、ときおり来るようになった。おいしいケーキを買ってきてくれることもあったし、睡眠不足だから少し寝かせてと仮眠をとることもあった。
「彼も結婚しているはずなのに、なんだか様子がおかしいんですよね。しばらくしてから、『実は僕、離婚しまして』と。結婚して10年で妻に逃げられたと言うんです。私も彼の結婚式に行きましたが、学生時代からの友だちだったとかですごくお似合いのカップルだった。でも結婚したらうまくいかなかった、と。あるよねえ、そういうこと。うちもそうだもんと話が盛り上がって……。気づいたらふたりでソファで抱き合っていた」
友基さんは、「前から真希子さんが好きだった」と言ったそうだ。それ以来、ふたりは人目を忍ぶ関係を続けている。
「友基くんと一緒にいて、私は初めてわかりました。夫といるとすごく緊張してしまうことに。言いたいことを言っているようで、やはり先輩を立てなければと思っていたのかな。結局、ワンオペになったのも、私が夫に言いたいことをきちんと伝えられなかったからなのではないかと反省もしました。友基くんとだと気が楽。ポンポン言えて、ポンポン返ってくるから楽しい。友基くんも出身が関西なんですよ。ときどき彼が煮込みうどんなどを作ってくれるんですが、出汁がきいていておいしい。味覚の一致ってうれしいなと思いました」夫も子どもも欺いて、マンションで男と密会している自分。客観的にそう考えると恐ろしくなるから、違う意識をもつようにしていると真希子さんは言う。「ここ、駅から遠いから家賃が安いんです。私は自分の仕事場を確保しただけ。そこにたまに来客として友基くんが来る。彼は私にとって、“大事な人”ですね。恋人とかそういうくくり方をすると自分が悩んでしまうので、ただの大事な人。夫や子どもに見つからないよう、この場所と友基くんとの関係をひっそり維持していきたい。そう思っています」これもある意味では、一部別居ということになるのかもしれない。ときに「残業」と言って、別宅にこもってひとりでのんびりすることもあるし、「大事な恋人」である友基さんとしっとり過ごすこともあるというのだから。現代の妻たちには、家族との適切な距離が必要なのかもしれない。今は離婚を考えているわけではないが、子どもたちが成人したら夫との関係がどうなるかはわからないと彼女は言う。暴力や決定的なモラハラなどがあるわけではないものの、しっくりいかない夫婦関係というのはあるものだ。軌道修正もままならない、かといって今のタイミングで離婚するわけにもいかない。真希子さんはまさにそんな状態にいる。自分に逃げ場を作ったことで、「平常心を保てているし、家族にやさしくなれる」と彼女は苦笑いを浮かべた。
「友基くんと一緒にいて、私は初めてわかりました。夫といるとすごく緊張してしまうことに。言いたいことを言っているようで、やはり先輩を立てなければと思っていたのかな。結局、ワンオペになったのも、私が夫に言いたいことをきちんと伝えられなかったからなのではないかと反省もしました。友基くんとだと気が楽。ポンポン言えて、ポンポン返ってくるから楽しい。友基くんも出身が関西なんですよ。ときどき彼が煮込みうどんなどを作ってくれるんですが、出汁がきいていておいしい。味覚の一致ってうれしいなと思いました」
夫も子どもも欺いて、マンションで男と密会している自分。客観的にそう考えると恐ろしくなるから、違う意識をもつようにしていると真希子さんは言う。
「ここ、駅から遠いから家賃が安いんです。私は自分の仕事場を確保しただけ。そこにたまに来客として友基くんが来る。彼は私にとって、“大事な人”ですね。恋人とかそういうくくり方をすると自分が悩んでしまうので、ただの大事な人。夫や子どもに見つからないよう、この場所と友基くんとの関係をひっそり維持していきたい。そう思っています」
これもある意味では、一部別居ということになるのかもしれない。ときに「残業」と言って、別宅にこもってひとりでのんびりすることもあるし、「大事な恋人」である友基さんとしっとり過ごすこともあるというのだから。現代の妻たちには、家族との適切な距離が必要なのかもしれない。
今は離婚を考えているわけではないが、子どもたちが成人したら夫との関係がどうなるかはわからないと彼女は言う。暴力や決定的なモラハラなどがあるわけではないものの、しっくりいかない夫婦関係というのはあるものだ。軌道修正もままならない、かといって今のタイミングで離婚するわけにもいかない。真希子さんはまさにそんな状態にいる。自分に逃げ場を作ったことで、「平常心を保てているし、家族にやさしくなれる」と彼女は苦笑いを浮かべた。