年収は「スキルや努力よりも“今いる場所”で決まる」という残酷な現実

「新卒入社したリクルートの転職エージェント事業部で働いていた頃、僕は様々な業界や企業の求人情報と、たくさんの履歴書や職務経歴書を見る機会に恵まれました。そこで、身も蓋もない現実に気づいたのです。それは、年収に与えるインパクトは、個人のスキルや実績という実力より、『業界や事業が成長しているか?』『収益性は高いか?』『会社が人件費についてどう考えているか?』といった外部要因のほうが影響が遥かに大きいということでした」  そう話すのは、SNS上で「たいろー」名義で転職やキャリアに関する考え方を発信する森山大朗氏だ。28歳の頃は無職だったにも関わらず、これまで7回の転職を通じてグローバルなプロダクト開発のキャリアを積んできた。なかでも直近3社はビズリーチ→メルカリ→スマートニュースと、いわゆる「ユニコーン企業」へと次々と渡り歩き、年収を増やすだけでなく、転職マーケットで市場価値が高い領域へと自分をシフトさせてきたという。
2022年1月には初の著書『Work in Tech!ユニコーン企業への招待』の発売を控えるなど、その独自のキャリア観がSNSで人気になっている森山氏だが、では、どのように年収は決まるのか? 「リクルート在籍当時から僕は、『年収は何によって決まるのか?』と疑問を抱いていました。だから土日もオフィスに行って社内データベースを検索するのが日課だったのですが、ある日、大手電機メーカーで働く30代リーダークラスが年収600万円である一方、大手金融やマスコミの社員は入社数年でその年収を超えているのを見て、不思議でならなかったのです」  自分なりに傾向を分析した結果、「そもそも個人の年収は、4つの要素のかけ算で決まる傾向が強い」という事実にたどり着いたそうだ。 「僕は、個人の市場価値は『業界の成長』『事業の成長と収益性』『会社の人件費に関する方針』『個人の実績』という、 4つの要素のかけ算で決まると考えています。そして、最初のほうになればなるほど、その影響は大きくなります。だからこそ、急成長する企業やマーケットを見つけ、先回りしてポジションをとることが重要だと気づいたのです」
森山氏はその“仮説”を自ら実践し、どんどん「個人の市場価値」を高めてきた。すなわち、テック領域という急成長マーケットにどんどん自分をシフトさせていったのだ。 「テクノロジーの発展による社会の変化は誰の目にも明らか。ならばそれを活かして急成長する事業を展開する企業・業界に飛び込み、その成長に自分の成長を“かけ算”する発想をしたほうがいい。今では転職エージェントに『あなたのような人材はなかなかいない』と言われるようになりましたが、これは僕が人一倍、努力をしてきたからではありません。急成長企業に身を置いてきた結果であり、どちらかと言えば場所選びの問題です。事業が急成長する環境で必死に働いているうちに、普通の日系企業では味わえないような成長機会を与えられて、いつの間にか自分も成長できたという感覚です」  そんな経験をしたからこそ、森山氏は「転職するなら急成長企業、一択だ」と続ける。 「極論かもしれませんが、『事業は成長がすべて』です。なぜなら、事業は成長しなくても、人は年をとるからです。事業が成長しなければ、会社を支えながら歳を重ねた社員たちに、新たなチャレンジやワクワクするような成長機会を提供できなくなります。社内では限られたポジションのイス取りゲームが始まり、そんな組織に嫌気が指した優秀な人材から離れていきます。だからこそ若手も、経験を積んだベテランも、新たな領域で急成長が始まっていたり、大きく成長するポテンシャルと戦略がある会社を見つけたなら、なるべく早く飛び込んだほうがいいと、僕は思っています」
森山氏が実践し続けるキャリアデザイン論は、「今いる業界に“先”はあるのか…」と不安を抱えながら働く人にとって、一つの光明になりそうだ。
<取材・文/日刊SPA!取材班>