漂着軽石、山積み2m超…回収しても「終わりが見えない」

小笠原諸島付近の海底火山から噴出した軽石が鹿児島県や沖縄県に漂着し始めて約2か月半となった。
鹿児島で最も被害が大きいとされる県最南端の離島・与論島(与論町)では、回収した軽石の処分方法が決まらず、町有地に山積みになるといった問題も浮上。漂着は今も続いて出漁を見合わせる漁師がおり、関係者は「終わりが見えない」と嘆きの声を上げる。(植田優美、出水翔太朗)
■二次被害の不安
与論町役場近くの空き地には現在、漁港などから撤去された軽石が2メートル超の高さまで積まれている。その脇に、ボランティアらが回収して袋詰めされた軽石もぎっしりと並ぶ。これまでに島内で回収された総量は7300立方メートル超。鹿児島県によると、県内では突出して多いという。
町環境課の朝岡芳正課長は、強風で畑や民家に飛散するといった二次被害も心配し、「このまま仮置きを続けるわけにもいかないが、解決策が見つからない」と焦りを口にした。
同じ奄美群島の徳之島では、軽石を山間部の処理場に運ぶなどしているが、与論島には捨てる場所がない。土の保管場所はあるものの、再利用するため、塩分を含む軽石とまぜられないという。町は県の支援も期待するが、県の担当者は「漂着は今も続いており、まず回収が最優先。どう廃棄するかの議論はこれからだ」と説明する。
■漁や観光なお打撃
今も出漁を見合わせているのは、県内では与論島のほか、奄美大島、沖永良部島などの一部漁師。漁船のエンジンが軽石を吸い込み、故障する恐れがあるためで、与論町漁協によると、11~12月はソデイカ漁の最盛期だが、水揚げ量は例年の半分ほどという。
白い砂浜と透明度の高い海で知られる与論島には年間約7万人が来島する。ところが、新型コロナの影響で昨年は半減し、今年は軽石被害にも見舞われた。干潮時だけ出現する観光名所「百合ヶ浜」にグラスボートで案内している男性(62)によると、船の故障を避けるため、10隻のうち2隻しか稼働していない。「多くの方々にきれいな百合ヶ浜を見せることができず、残念」と男性は語った。
■他地域でも
全41市町村のうち38市町村で漂着が確認されている沖縄県。沖縄本島の本部町や国頭村などでは軽石が仮置きされたままだ。県は来月にも、沖縄本島の北部と南部に1か所ずつ大規模な保管場所を設ける方向で準備を進めている。出漁を見合わせているのは、今月24日時点で県内の登録漁船の約2割に当たる702隻に上る。エンジントラブルは164隻で確認された。
軽石は鹿児島、沖縄両県だけでなく、伊豆諸島にも漂着した。今後は東海・関東への影響拡大も懸念されている。