五輪外交ボイコット騒動中に橋本聖子氏が中国大使を「接待ゴルフ」

神奈川県茅ヶ崎市にあるゴルフ場『スリーハンドレッドクラブ』。21年12月25日、クリスマスの早朝に、この名門ゴルフ場でプレーを楽しむ3名の姿があった。東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(57)、同委員会の名誉会長であり、「キヤノン」のCEO兼会長兼社長の御手洗富士夫氏(86)、そして駐日中国大使の孔鉉佑氏(こうげんゆう・62)だ。
「スリーハンドレッドクラブは、東急電鉄の中興の祖である五島昇氏の発案で造られたゴルフ場です。会員権価格の相場は7000万~8000万円とも言われていますが、そもそも会員数がクラブの名称通り300名程度と制限されており、簡単に会員になれるわけではありません。政財界の限られた人間しかメンバーになれない、名門中の名門クラブです」(ゴルフジャーナリスト)
そんな名門コースで、3名は早朝からゴルフを楽しんでいた。橋本氏は黒を基調としたシックな装いながら、グローブはオレンジと、随所にこだわりを見せたファッション。御手洗氏は白いキャップに紺色のニット。孔氏は水色のキャップにグレーの上下というスタイルだった。
朝9時半頃、一行は7番ホールにさしかかる。全長335ヤードのミドルホールで、やや左ドッグレッグ(犬の足のように、左方向に折れ曲がっている形状)になっている。決して簡単なホールではないが、3名とも着実に歩を進めていく。グリーンでは橋本氏がロングパットを狙うも、惜しくも外れたのか、苦笑していた。御手洗氏がパッティングのラインを読んでいる間、少し離れた場所から橋本氏と孔氏が並んで、それを見守っていた。
「孔氏は趣味がゴルフと公言しています。かつて『財界総理』と呼ばれる経団連会長も務めた御手洗氏はゴルフ歴はもちろん長く、このスリーハンドレッドクラブでも安倍晋三元総理らと何度もラウンドしています」(全国紙政治部記者)
一行は、ときおり談笑しながら、終始なごやかな雰囲気だった。昼過ぎまでプレーを楽しみ、午後2時過ぎにゴルフ場を後にした。
いま、北京五輪をめぐる「外交ボイコット」が世界中で騒動になっているのはご存じのとおりだ。折しも、このゴルフ会の前日12月24日、日本政府は北京五輪に閣僚や政府高官などで構成される政府代表団を派遣しないことを発表。一方で、橋本氏を始めとする組織委員会のメンバーらは派遣するという「玉虫色」の対応をとった。
この騒動の真っ只中に、組織委員会の会長と名誉会長、そして中国大使という渦中の人物たちがゴルフを行った理由とはなんなのか。ジャーナリスト・鈴木哲夫氏が解説する。
「このゴルフは、中国に対して『アメリカの顔を立てるために、五輪に政府代表団を派遣できずに申し訳ない。しかし、参議院議員でもある橋本聖子が行くのでよろしく』というメッセージになります。さらに財界の大物である御手洗氏がいることで、『経済についてはお互いうまくやっていきましょう』というサインになる。これらのメッセージを送るという意図が読み取れます。外交ボイコット問題をめぐって、中国への配慮、気づかいを込めたゴルフだと思います」
ジャーナリストの國貞文隆氏はこう語る。
「中国というのは相手の格や肩書を重要視します。『財界総理』と呼ばれる元経団連会長であり、中国やフランスなどから数々の勲章を授与されている御手洗氏という人物が自ら『接待』をすることで、『おもてなし』の心を示せるというわけです」
中国は、アメリカが北京五輪の外交ボイコットを発表した11月下旬に、「中国は東京オリンピックの開催を全力で支持した。今度は日本が基本的な信義を示す番だ」と日本をけん制していた。
「12月24日、中国外務省の報道官は、日本の玉虫色の対応について、一定の苦言を呈しながらも『日本オリンピック委員会の関係者や選手などが中国に来ることを歓迎する』とコメントしました。日本の態度をとりあえず受け入れたということです」(前出・記者)
その背景にこの「接待ゴルフ」の存在があったのだろう。
本誌が橋本氏の事務所に取材を申し込むと、以下のような回答だった。
「プライベートのため、コメントは差し控えます」

キヤノンの広報課も以下のように回答した。
「プライベートに関することですので、弊社からの回答は控えさせていただきます」
オリ・パラ組織委員会にも取材を申し込んだが、期限までに返答はなかった。
ラウンド中、橋本氏はかならず孔氏の一歩後ろを歩くなど、常に気づかいをしている姿が印象的だった。それはまるで日中の力関係を象徴しているかのようだった。