子どもの食を救え!「餃子の王将」6万食の弁当を無償提供する理由

長引くコロナ禍に、子どもの貧困問題は深刻さを増している。小中学生のなかには、学校給食がなくなる冬休みや夏休みに栄養状態が悪化する子も少なくないという。
こんな状況に立ち上がったのが「餃子の王将」だ。
餃子とごはん。「お子様弁当」は、シンプルなお弁当だ。緊急事態宣言下の2020年3月に、期間限定・お持ち帰りメニューとして販売された。
2020年の年度末、緊急事態宣言で突然、学校が休校になった。新学期になっても休校が続く。親は出勤しなければならない家庭も多かった。子どもだけの昼食は、簡単なものになってしまいがち、さらに、欠食するケースもみられた。学校給食がなくなる期間、子どもの体重が減ってしまうという報告もあった。そんな子どもの栄養状態を心配する声が、教育現場から上がった。
そこに、餃子2個、鶏の唐揚げ2個、シャウエッセン2本にライスという「お子様弁当」が登場、「税込み270円という価格で、このボリューム!」と評判を呼び、3月末販売終了の予定が、5月末まで延長された。それが2021年夏の子ども食堂への支援につながった。
2021年夏の約1か月、「餃子の王将」は、このお弁当3万2000食を、無償で子どもたちに提供した。全国の「餃子の王将」から「子ども食堂サポートセンター」を通じて、希望する子どもたちにお弁当を届けたのだ。
「お子様弁当」に、多くの感謝が寄せられた。そして「またお子様弁当を食べたい」という熱い要望も。
そこで、今冬2021年年末と、2022年1月7日~18日の期間、合計6万3000食のお子様弁当無償提供の実施を決めた。夏と同じく、こども食堂サポートセンターとネットワークのある子ども食堂などを通じ、全国の「餃子の王将」「GYOZAOHSHO」から弁当を提供しているのだ。
「コロナ禍にあって、『安心・安全』で『美味しい料理』の提供を通じて、より多くのお客様に元気を届けることが当社の社会的使命。子ども食堂への食事支援もその一つです」(王将フードサービス広報部)
今回のお子様弁当には、この取り組みに賛同したアサヒ飲料が協力、カルピスウォーターもプラスされている。
「美味しい食で子どもたちに幸せを」といっても、外食産業が大きな打撃を受けるなか支援に乗り出すとは…なかなかできることではない。
しかし、ちょっと気になるのは栄養バランス。見た目も茶色一色で野菜不足なのでは? と心配する人もいるかもしれない。しかし、
「餃子は、完全な食品なんです。野菜と肉がたっぷり入った餃子を食べていれば、栄養不足になることはありません」
という料理研究家もいる。餃子のあんは野菜と肉、その皮は小麦粉。餃子にはビタミンもたんぱく質も糖質も、バランスよく含まれているというのだ。ちなみに「餃子の王将」の餃子の具は、豚肉、キャベツ、にんにく、しょうが。栄養がぎゅっと詰まっている。そして「子どもに食を届けたい」という思いも。
全国304店舗から、前回の2倍、約6万3000食の「お子様弁当」を子どもたちに届けるという「餃子の王将」の取り組みには心からの賛辞を送りたい。が、子どもの食の貧困、子育て家庭への救済を、私企業に任せきりにしていいのだろうか。民間の困窮支援も「限界に近い」と聞く。先の見えないトンネルにあるこの国で苦悩する国民の「声」を、聞く耳をもつ総理にもぜひ、聞いてほしいものだ。
取材・文:中川いづみ