“牛乳”を飲むとおなかが痛く…「乳糖不耐症」の原因と症状、克服法とは

年末年始の牛乳需要が落ち込む時期、牛乳や乳製品の原料となる生乳が大量に余る懸念が出て、岸田文雄首相や多くの関係者が牛乳の消費を呼び掛けました。ただ、牛乳の消費増に協力したくても「飲むとおなかが痛くなる」という人がいます。そうした人は牛乳余り対策に協力できないのでしょうか。牛乳でおなかが痛くなる原因の一つとされる「乳糖不耐症」の原因や対策などについて、内科医の市原由美江さんに聞きました。
Q.「牛乳を飲むとおなかを壊してしまう」という人がいます。なぜでしょうか。
市原さん「牛乳に含まれる『乳糖』を腸で分解する酵素をラクターゼといいますが、ラクターゼの活性が低いなどの『乳糖不耐症』の人は牛乳を飲むことで、下痢や腹痛などの症状が起きることがあります。その他、食物アレルギーの一つである牛乳アレルギーの症状の一つに、下痢や腹痛などの胃腸症状もあります。また、乳糖不耐症やアレルギーではない人でも、冷たい牛乳を一気に飲むことで胃腸が刺激され、下痢の症状を起こす可能性があります」
Q.乳糖不耐症の人は、どれくらいいるのでしょうか。
市原さん「乳糖不耐症には、ラクターゼが欠損している先天的乳糖不耐症と、ラクターゼの活性が低下していることによる後天性乳糖不耐症とがあります。先天性乳糖不耐症は非常にまれな疾患で、日本では数例の報告しかありませんが、後天性乳糖不耐症は日本人の約20%に症状が認められるというデータがあります。日本人は小腸上皮のラクターゼ活性が低いことが分かっています」
Q.乳糖不耐症なのに大量に牛乳を飲んだ場合、重篤な症状になることもあるのでしょうか。
市原さん「乳糖不耐症の人が牛乳を飲んだ場合の一般的な症状は、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、胃部不快感などの胃腸症状です。程度には個人差がありますが、場合によっては、嘔吐や下痢が続くことで脱水状態になり、点滴治療が必要になることも考えられます。点滴治療が必要な脱水症状となり得るのは、嘔吐や下痢が頻繁に起き、水分喪失が大きいにもかかわらず、嘔吐によって水分摂取ができない場合です」
Q.乳糖不耐症を克服する方法はないのでしょうか。
市原さん「牛乳を毎日、少量ずつ飲むことで、徐々に症状が出にくくなるという研究結果が複数あります。これは、腸内細菌が変化することによる影響と考えられています。ただし、下痢を起こすとラクターゼの活性化が低下してしまい、さらに症状が出やすくなるため、下痢をしない程度の少量から試してみましょう」
Q.乳糖不耐症の人が牛乳を問題なく飲む方法があれば、教えてください。
市原さん「牛乳をどのくらいの量飲むと症状が出るかは個人差があるので、まずは少量から試してみることです。また、牛乳を温めた方が症状が出にくいと言われています。乳糖が分解された飲料も売られているので、そちらを試してみてもいいでしょう。栄養の摂取が目的であれば、ヨーグルトやチーズは乳糖がある程度分解されているので、牛乳よりは安心です」