プチ整形おじさんが増殖中!?「施術するたびに自己肯定感が高まる」リモートワークの影響も

オジサンたちの間でプチ整形が流行っている――そんな噂を最初に聞きつけたのはコロナ禍の真っ只中だった。なぜ、オジサンは突如、人生の道半ばで美を追求するようになったのか? 当事者たちを直撃した。
◆Zoomに映るの自分の顔に老いを感じたオジサンたち
「コロナの感染拡大以降、30代後半以上の男性が3倍に増えています」
そう話すのは、東京美容外科新宿院院長の小野准平医師。どんな患者かと言えば、メスを使わずに糸や注射などを用いて施術する“プチ整形”だとか。
「施術に際して私どもから整形される理由を聞くことはありませんが、カウンセリングでお聞きするのは、リモートワークの影響。例えば、Zoomでの打ち合わせが増えていろんな方と一緒に自分の顔が並んで表示されるのを目にして、お顔を綺麗にしたいと考えられる方もいらっしゃるようです。リモートワークが増え、整形後のダウンタイム(回復までの時間)が取りやすくなったという影響もあると思います。あとは、家族に勧められて来院される方が意外に多い印象です」
確かに、日ハムの新庄剛志監督(49歳)のように整形したことを公表しているオジサンはいる。宮迫博之氏(51歳)のように整形したことをネタにしているオジサン芸人もいる。しかし、世の一般オジサンにまでプチ整形が浸透しているというのはにわかに信じがたい……。果たして、どんなオジサンがプチ整形に走っているのか?
◆「施術するたびに自己肯定感が高まる」
「おっさんになっても、モテたかったので(笑)」
こう話すのは、’21年プチ整形をした勝俣文明さん(仮名・50歳)だ。
「40代半ばから日々老いを感じていたけど、明らかに女性から異性として見られなくなった。バツイチだし、まだまだ現役でいたいなら見た目だけでも若返りたいと思って、プチ整形を決意しました」
最初に行ったのは、額のシワにボトックス注射。ほうれい線にはヒアルロン酸を注入したという。
「1万円もかかってないのに、施術後に目に見えてシワが薄くなって驚きました。整形前はキャバクラに行っても適当にあしらわれてたけど、今は美容整形した話をするだけで、キャバ嬢がめちゃくちゃ食いついてくれる(笑)。美容仲間として近づけるから警戒感も緩むし狙いやすい」
現在は月1万~2万円かけて、若返った顔を維持。費用を抑えるために一番安価な“保証なし”のボトックス注射を続けているとか。
「プチ整形だから不安はない。それより施術するたびに自己肯定感が高まるんです。担当医からは、『顔の部位に注射できる箇所はもうないよ』って言われてます(笑)」
◆20年以上も抱えていたコンプレックスが軽減
そんな勝俣さんのような若返りではなく、コンプレックスを解消するためにプチ整形をしたのが町田浩介さん(仮名・30代後半)だ。
「10代の頃から顎がズレていて、変な噛みグセがついてしまったことで、右頬の筋肉が発達して徐々に膨らんできたんです」
美容専門学校に進学して、念願の美容師に。ただ、お客に自分の顎を見られたくない思いから、マスクを着けて接客していたという。
「’21年、美容整形外科に勤める看護師さんを接客したときに顎の悩みを相談したのがプチ整形のきっかけ。想像していたよりも費用が安かったので即決しました」
11月中旬に1回目のボトックス注射(5万5000円)を実施。正直、顔を一目見ただけでは変化がわかりづらいが、「心境の変化のほうが大きい」と話す。

◆“プチ”よりも高コスパ?250万円・フル改造例も
このようにプチ整形で成功体験をすることで、「ほかの箇所も気になって、本格的な治療に取り組んで整形をバージョンアップさせていく方は多い」と小野医師は語る。二重のプチ整形から、総額250万円かけて顔を“改造”したという野崎雅也さん(仮名・36歳)はその典型例。
「プチ整形だと、効果が切れたらメンテナンスが必要だし、いっそのこと整形したほうがコスパはいいんじゃないかと感じたんです。費用をケチって再手術した人の情報もネットで見ていたので、先生選びには特に気をつけました」
脂肪吸引やバッカルファット(頬の深い部分にある脂肪)除去、さらに鼻は新田真剣佑の写真を持ち込み、フル改造した。営業職に就く野崎さんだが整形後は、「素の自分で勝負できるようになって売り上げがあがった」と笑う。
「以前は洋服にお金を使ってたけど、土台となる自分の体に“課金”すれば、服はユニクロで十分。若い世代にとって美容整形が当たり前に受け入れられているなかで、見た目を気にしないまま老けていくおっさんにはなりたくない」
◆「理想を追い求めたら終わりがない」
そんな彼でも、顔の輪郭を削る整形は躊躇しているとか。
「骨を削ることは、後遺症が出るリスクがケタ違いに高い。まあ、費用もかかるし整形ジャンキーには簡単になれないけど、理想を追い求めたら終わりがないです」
前出の勝俣さんも「いつまで続ければいいのかわからないけどやめられない」と話す。
「整形するほど同世代のオジサンと差がつけられて、もっといい思いができるように思ってしまう。同僚に整形のことを話すと、ドン引きされますけど、もうやめられません(笑)」
プチ整形で見た目は解消できても、悩みのタネは尽きないようだ。
◆シミを取って乳液を持ち歩くオジイサンも
最後に整形とまではいかずとも、美意識の高いオジサンを紹介したい。’21年に還暦を迎えた松尾康介さん(仮名)だ。
「頬の上のシミをレーザーで除去したら、赤みを帯びたレーザー痕が気になるようになってしまった。そのときに親しい女性から紹介されたのがフォトフェイシャル。女性の間では人気の治療法らしく、特殊な光を当てて皮膚層のメラニンを浮かび上がらせるというもの。それで半年前から始めてみたら効果抜群! 細胞が活性化されてシワも薄くなったし」
実際、松尾さんの肌は還暦とは思えないほど若々しい。
「それ以来、美容意識が高まり続けて、脱毛サロンにも通うようになりました。全身つるつるになったら、今度は肛門付近の黒ずんだ角質が気になってしまったので、今度、除去施術を受ける予定です」
今では乾燥荒れ肌に有効なヘパリン剤や乳液を肌身離さず持ち歩いているという松尾さん。娘さんは反応薄だが……飲み屋で知り合う女性からの反応は抜群とか。
◆整形に疎いオジサンは費用とリスクが高まる!?
今や若い女性の間では比較的身近なプチ整形。だが、オジサンにとってはいまだハードルが高いのではないだろうか? 男性向けの施術をアピールする美容クリニックもそう多くはない。そのため、東京美容外科の小野医師は「プチ整形なのに想像以上に見積もりの金額が高いので驚く男性は多い」と話す。
「アンチエイジングを目的にしたプチ整形の相談が一番多いのですが、中高年以上の男性だと肌のシミやたるみが進行している状態で来院する方がほとんど。なので、カウンセリングをして希望どおりにしようとすると、プチ整形だけでは収まらず、大がかりな手術が必要になるケースもあるのです。
例えば、目のクマ取りは通常の手術であれば約20万円で済みますが、中年男性だとたるんだ皮膚を切除する必要が出てくるので、その3倍ぐらいの料金になってしまうこともある」
◆リスクまで「プチ」ではない
そのため、オジサンがプチ整形にチャレンジする際には、「決してリスクまでプチではないことを心得るべき」と、助言する。
「今は儲け目的にプチ整形だけを行うクリニックも増えています。そういうところだと、例えば、ボトックスだけでは解消できないシワなのに、無理やり注射して、顔全体のバランスが崩れてしまうという整形事故が起きる危険もある。ボトックスは毒を注入して筋肉を弛緩させ、シワを軽減する治療法ですから。
特に男性は女性に比べて、整形に関する知識やリサーチが足りないまま勢いで行ってしまう場合も多いので、カウンセリングの時間を十分に取ってもらって、副作用やデメリットについて必ず説明してもらうようにしましょう」
整形前の準備は入念に!
【東京美容外科 東京新宿院院長・小野准平医師】北里大学病院形成外科・美容外科、整形外科救命救急センターなどで研鑽を積んだ後、東京美容外科に。特に鼻形成や豊胸手術の実績が豊富